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薔牡黒曲
英中+悪月
現代耀視点













今は我はアーサーの家の前にいるある。
仕事であるよ!それ以外の目的は何もねぇある!
持ってるのも仕事の資料だけある!

…違った。母さんが作ったケーキ持ってるある。小さな箱二つ。
1つは『アークに渡しといて』と言われたやつ。
もう1つは『耀の分ね』と言われたやつ。
出掛け間際に渡されたそれを中がぐちゃぐちゃにならないように気を付けながら持ってきた。

母さんがせっかく作ったからあるよ!!
断じてアークライトの野郎の為なんかじゃねぇある!!むしろもったいねぇある!
母さんのうまい菓子をあんな腐れ眉毛二号にやるくらいなら、勇洙の馬鹿にやった方がましある!!

でも、母さんが渡しといてと言ったから仕方なく渡してやることにするある。
母さんの為ある!


ピンポンとチャイムを鳴らせば、少したってから扉が開かれた。
顔を出したのはアーサーだった。


「よう。遅かったな。……って、べ、別に楽しみに待ってたわけじゃねぇからな!ただ仕事をはやく片付けたいだけだからな!!」


「そ、そんなこと一々言わなくてもわかってるあへん!!さっさと中入れるよろし!!」


なんあるかこいつ!!何百年以上の付き合いあるが、こういう所はまったくワケわかんねぇある!


無言で中に入り、お互い俯きながら進んで行く。そこで我はあることに気がついた。このままアーサーについて行けば行き着くのは執務室か客室だろう。それでは、腐れ眉毛二号に会えないではないか。


「アーサー!アークライトの野郎はどこあるか?」


「父さんか?多分自室かリビングだろうな。なんか用か?」


ズイと、我は母さんがアークライトの為に作った菓子をアーサーに見せる。


「父さんへか?」


「そうある。」


「お前が作ったのか?」


「んなわけねぇあへん馬鹿!!母さんが作ったに決まってるあへん!!!!」


「そ、そうだよな。」


ムカつくある!なんで我があんな腐れ眉毛二号に菓子作んなきゃなんねぇあるか?!
ちょっと考えればわかることある!!


アーサーは何故か安心したようにホッと一息つくと、アークライトのとこに行くために、進む方向を変えた。
あとについて進んで行くと、ついたのはリビングだった。
アーサーの言った通り、アークライトはリビングにいた。

ソファーに座りなが本を読んでいる。我達に気づくと、一瞬目線をこっちにやっただけですぐに本へと目線を戻す。


「おい!父さんお客に対してそれはねぇだろ?!挨拶くらいしろ!」


「だって耀俺のこと嫌いだろ?」


「そうあるが挨拶くらいはしてほしいある!」


「ふーん。そこら辺はユエと違うんだな。ユエは嫌いなやつに話しかけられるの嫌いだろ。」


「その母さんから土産ある!!ありがたく食うよろし!!」


「サンキュ。」


そう言ってアークライトは我からケーキの入った小さな箱を受けとると、そのままどこかへ行こうとする。


「どこ行くんだ?」


「あぁ?皿とフォークと紅茶持ってくんだよ。これ食うからな。」


「だったら我の分も持ってくるよろし!!我も食うある!!」


「何枚だ?」


「へっ?」


「皿の枚数だ枚数。一枚か二枚か?」


「…え…あ二枚。」


一瞬迷ったが、横にいるアーサーを見て二枚と答える。

アーサーになら母さんのケーキやってもいいある。
ん?でももしかしたら……



少しして戻ってきたアークライトから皿を二枚フォークを二本、そしてナイフを一本受け取った。

なぜナイフを寄越したのかわからなかったが、それは箱を開けた瞬間にすぐにわかった。


パカッと箱を開けると中に入っていたのは、直径10cmくらいの真ん中に苺がのったチョコケーキが1つだけ。

そう1つだけ。


「………1つだな。」


「……そうあるな。」


確かに今思えば、母さんは『耀の分ね』と言ってたある。
つまりこれは土産じゃないというわけあるね。アーサーにはやる気ねぇと。
母さんらしいある。

そして、そんな母さんを真底理解しているアークライトがムカついてならないある!!
こいつ始めっから1つだけしか入ってないってわかってたある!!
だからナイフを寄越したあるよ!!!


「耀食わねぇのか?俺要らねぇから食えよ。」


「ちょっと待つよろし。半分に切るある。」


「えっ?!いやいいって!お前食えよ!」


「我も食うある。でも一人で食っても楽しくないからお前にもやるあへん。」


「俺はカウントされねぇわけか。」


聞こえた声を無視して、ケーキを半分にに切る。
もしかしたらはじめから、母さんは半分ににして食えというつもりだったのかもしれない。
丸い方が半分に切りやすいから。


半分に切ったケーキを1つずつ皿にのせると、箱には苺が1つだけ残っていた。


「やるよ!お前が食え!」


「いいある!アーサーが食うよろし!!」


「いいって言ってんだろ!」


「我も言ってるある!!」


しばらく我とアーサーは苺をどっちが食うか攻防していたある。だから、我は気づかなかったある。
その間にアークライトがケーキを食べ終わり、さらにその間に違う人物が部屋に入って来ていたことを。



ひょいっと白い指が苺をつまんだ。


「「!!!!!」」驚いて苺が運ばれていく方をアーサーと二人で目で追った。
そこにいたのは…………………母さんだった。


「アーク。ほい。」


そのまま母さんはこともあろうに苺をアークライトの口に押し込んだ。
ごくんとそれを飲み込むアークライト。


「うまい?」


「あぁ。」


「えっ、えーとなんで母さんがここにいるあるか?」


「ん?あっこれ届けにね。耀忘れてったから。」


そう言って母さんがくれたのは書類の入った封筒。
どうやら机の上に忘れてきたようだった。


「…ありがとある。」


「じゃあ私帰るよ。」


「俺も行くぞ。」


そう言って母さんとアークライトはリビングを出て行った。

後には我とアーサーが残された。


「……苺なくなったな。」


「……あへん。」


「まぁ喧嘩しないですんだからいいか!!」


「そ、そうあるな!!さ、さっさと食べて仕事するあるよ!!」


苺はなくなっちまったけど、やっぱり母さんのケーキはうまかったある!

今度ははじめっから、母さんにアーサーの分のケーキも作ってもらうある。
じゃないと苺がなくて悲しいあるからな!
アーサーの為じゃねぇあるよ!我の分の苺を確保するためある!!










「お前わざとか?」
「何が?」
「ケーキが1つだけだったのは。」
「わかってることは一々聞かないで。」
「そうだな。」
「苺食ったんだからね。」
「お前が押し込んだんだろ。」
「えへへっ!!」













ユエ様激萌え。

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