present!!! | ナノ



「みんな何カップが好き?」

「あまりにも唐突すぎないか。」




コノハの突然の問いかけに、一同はにやあと笑ったり顔を青くしたり、
実に様々な反応をした。





    どれを選ぶ?






「なんやねんコノハそのすばらしい話題おいちゃんも入れたって!!」

「ラウロ気持ち悪いよ。まあいいさ。特別にこのコノハさんが入れてあげよう。」

「つーか女性がいる前でそんな話題振らないで欲しいッスよ。
 ソフィアさんは耳塞いでたほうがいいッス。」

「コノハさんだって女性だよーんだ。」

「あ、あはは…。あの、コノハちゃん?どうして急にそんな…」

「いい歌を聴いただけだ…」



できるだけクールに、という感じでコノハはふふふ、と笑ったのだが、何分議題が議題。
とてもクールには見えず、むしろ頭の悪いエロ餓鬼にしか見えないのだ。
だが、それは事実なので仕方がない。現にコノハは頭の悪いエロ餓鬼である。



「それでー、じゃあまずはFカップ好きの人きょーしゅ。」

「あ、俺F好みやでー。」

「親父うざ。まあいいさ。コノハさんがキミの性格を教えてあげよう。」

「なんやそれうざ。」



うざ、うざ、と互いに罵り合いながら地味な蹴り合いをはじめたのは、
無論我等が最低親子五十嵐コトバとコノハである。
バチバチと火花を散らせつつも、コノハが大きく口を開けた。



「Fカップ好きは自分に素直!思ったことを隠せない。
 でも、理想と現実は大分違うから夢から醒めなさい!!」

「なんやそれごっつい古い歌やん!!なんでお前が知っとんのや!!」

「コノハさんが今をときめく女子小学生だからだよ!!」

「なんやそれうざ。このクソ餓鬼Fカップ舐めんやないで。」

「違うよおれはFカップを舐めてるんじゃないよアンタを舐めてるんだよ。」

「うざさマックスやでそれは!!」

「はいはい次々!E好き挙手!!」



このクソ餓鬼待たんかワレェうるさい死ねぇと五十嵐親子が髪を引っ張り合っている中、
ゆるゆるとやる気なくひとつの手が挙がる。
その者の隣に座っていた者は笑顔が引きつり、また近くに座っていた者は湯のみを落とした。



「俺、Eとか好きだ。」

「嘘やああああああああああ!!嘘って言ってや俺ええええええええ!!
 いややああああ!!純粋そうな顔してそれ!?なんやその好み!!
 お前はもっと優しい子やと思ってたのにいいいい!!なんやそれえええええ!!」



やる気のない手の正体は、無言でホラーゲームを黙々と攻略していた旧スピリチュアだ。
今もテレビから目を離さずに敵をばったばったとなぎ払い、
なおかつコントローラーを握る指はとてもすさまじい動きをしている。
コノハはやっとの思いで父親との喧嘩を振り切り、スピリチュアの横に滑り込んだ。


「あばばー、意外すぎるよスピー。
 それじゃあこのゲームもおっぱいを目当てに買ったというのだね?」

「どう思う…?」

「わぁなんだこの子すっごいうざい!!」



画面の中ではカメラを持った女の子のなんだかいいアングルが映し出されている。
恐らくスピリチュアがそう見えるように操作したのだろうが、彼の顔はやっぱり無表情だ。
コノハはそんな彼を笑顔で見ると、口を開く。



「Eカップ好きは少しお利口さん。Fカップ好きより少しはお利口!
 それでもまだまだ夢見がちだから大人になりなさい!!」

「これ以上大人になれっていうのか…」

「少なくともおっぱい目当てにホラーゲームを買うのは止めなよ。」

「違う、胸目当てで買ったんじゃない…。買ったゲームに胸要素があっただけだ…」

「何胸要素って。すでにプロだよコイツ。
 駄目、コノハさんこの子と話してらんない。次!!D!!Dが好きなの!!」



コノハが画面から目を離すと、スピリチュアはゲームを再開した。
たまにわざと攻撃を受けてセクシーボイスを聞こうとしている気もするが、気のせいということにする。
D、という言葉に手を上げたのは、なんともひょろっちい手だ。
コノハがそんな感想を持ったことに気がついたのか、手の持ち主はむっとして言う。



「なんやねんその顔は。」

「別に。五十嵐家に生まれたことを後悔してるだけだよエロじじい。」

「なんやこの子。言葉の暴力とちゃうんのコレ。」



コトノハだ。
ふん、と鼻をならして緑茶をすすると、コノハに目だけを向けた。



「別にええやろ。ぺったこよりはあった方が好きやし。」

「別に悪いとは言ってないよエロじじい。ちょっと会話に入ってきたことが予想外だっただけだよエロじじい。」

「ちょいと黙らんかコノハ。」



ほんまに困った子やな、とコトノハが毒づくと、コノハも負けじとホントに困ったエロじじいだね!と反撃した。
また緑茶をすするコトノハの湯のみの底を押さえて飲むのを止められなくすると、コノハはニヤリと笑って言った。



「Dカップ好きは大分お利口!Fカップ好きよりいくらかクール!
 そこまで現実分かっているならもうひと頑張りです!!」

「ぐべ…っ!!こ、このクソ餓鬼ぃ!!窒息したらどないすんねん!!」

「大丈夫だよもう死んでるから。」

「たとえ話や!!俺ぁ2回も死にたないからな!!」



アホぉ!!とコトノハが叫んで投げた湯飲みをコノハはとりゃあああという掛け声とともによけると、
自分の近くにあった花瓶を反撃として投げたが、それをコトノハも見事によけた。
その花瓶は、嗚呼悲しきか今日の夕食について考えていたイクセルに直撃した。



「あ!!ごめんCカップ好きのイクセル!!」

「何故知っている。
 つーかもっと誠意を込めて謝れアンポンタンめが。」

「誰がアンポンタンだプー太郎め。」

「プー太郎言うなアンポンタン。」



自分の好みを言い当てられたのが悔しいのか、イクセルはペンを置いて椅子から立ち上がった。
彼が書いていたメモには、何故かオムライスの絵が描かれている。よっぽど食べたかったのか。



「なんで知ってるかって、そんなの簡単じゃないか。
 イクセルの持ってるエロ本の女の人はみんなCカッ」

「五月蝿い黙れえええええええええ!!貴様どうやってアレを見つけた!?
 確かに誰にも見つからぬようあそこに…!!」

「あるぇ、コノハさんを誰だと思っているのかしら。コノハさんですよー。」

「ちくしょおおおおおおおおおおおお!!」

「イクセル。Cカップ好きは正解に近い。もっとも限りなく正解に近い。
 でも、Cに満たない女性も多いので、油断は禁物だよ。よかったねイクセル。」

「何もよくない!!」




畜生めが!!とイクセルは地面を思い切り叩いた。
コノハがぽん、と肩に手を置くと、俺に触るなあああああと無駄に騒ぐ。
まったくもって騒がしい奴である。困ったちゃんめ。



「みんな、おっぱいチョイスのセンスでその後の人生は大きく左右されるんだよ。
 まるで、左右のおっぱいのように…」

「いやらしいわぁ。」

「てか10歳の女の子にそんなこと語られたくねえッス。」

「そういう二人はどうなのさ。」

「僕はBッスかね。」



リコの言葉に、コノハの目がきゅぴーんと光る。
そして獲物を見つけた、とでも言いたげなしぐさで、リコににじり寄る。



「まんまと罠に引っかかりおったなリコめがあああ!!
 Bカップ好きは中途半端!!好みとしては中途半端!!
 なくてもいいけど、ちょっとはあった方が…、そんなの微妙すぎ!!」

「酷ぇッス!!」

「だからお前はいつになってもリコなんだよ!昇進できないんだよ!!」

「胸の好みの所為で昇進なんて嫌ッス!!」



大いに引いたリコの反応にコノハは満足そうにうなずくと、最後に大魔王に向き合った。
彼は相変わらず、いつものように笑顔でコノハを見ている。
そして、小さく首を傾げると、どうしたん?と当たり前のように言う。



「分かってるんだよ、ラウロ。キミはいくら隠しても無駄なんだから。」

「なんや、ばれてしまってたんかぁ。」

「今までので手を挙げていないということはキミは巨乳好きではない!!
 すなわちA好き!!食らえラウロ!!
 Aカップ好きは卑屈過ぎだよ!自分に自身がない証拠です!!
 おっぱいは決して怖くなーい!!勇気を持ってください!!」




コノハがなぜか無駄に息を荒げ、どうだ、とでも言いたげな顔をした。
ラウロはそれに、ゆっくりと細い紅い目を開き、口を三日月型にする。



























「アホやな、コノハ。
 Aもあるなんて許されへん。乳はできればない方がええんや。」






























「こ、このエロリコンがあああああああああああああああああああああああああ!!」












これが彼等の、平和な日常である。











どれを選ぶ?
(どれも選ばへんで俺は!!乳はない方がベストなんやから!!つるぺったんばんざーい!!)





























つるぺったんマンセーなラウロに心底萌えました、黒霧です。
クロス様の子ってとっても可愛いんですよ萌えなんですよハァハァ…!コノハちゃん!そんな昔の歌知ってるとかすごい可愛いよ!!こんな素敵小説貰えて凄い…光栄です…!
相互ありがとうございます!!

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