Lilly | ナノ






「なまえ、好きよ。愛してる。」


本来なら私しかいない部屋に一人、訪問者。ナターリヤ・アルロフスカヤ。特に親しくない彼女の訪問には驚いたけれど、その唇から紡がれた言葉にもやはりまた、驚いた。愛してる。そういうのは女である彼女が私に言う台詞ではないと思う。だって男が相手ならともかく私は女。そういうのを好む人がいるっていうのも聞いたけど、まさか知り合いにそんな人がいたなんて。


「…風邪でもひいたの?」


そう、まあ状況を悪化させないくらいの返答をし彼女の前にコーヒーを置き、向かいのソファに体を埋める。


「…そうね。私もおかしいわ。私は兄さんが好きだった筈なのに。」


どちらにしても禁断の愛ね。


「でも、毎日毎日貴女しか浮かばないの。貴方が姉さんの所に来てからずっと。これは貴女を愛しているって事なんだわ。だって兄さんと同じ感情なんだもの。」


それはきっと愛ではない。貴女がお兄様に抱く感情というのはきっと敬愛の意味であり、尊敬に値する相手への感情なのでしょう。だから貴女は単にライナと話している私に何かしらの敬意を感じただけなのよ。そう思ったけれどその言葉は口から出ることは無かった。出る前に、ナターリヤが口付けしてきたから。いつのまに移動したのかしら。

女の子ってどうもせっかちね、と、押し倒されながら考える。直ぐに関係を求めるんだから。もっと焦らさないと駄目なのに。そんな思考を何処か平和なところでしながら、諦めたように私はナターリヤの背中に腕を回す。ああもう。


「コーヒーが冷める前には終わらせなさい。」
「無理ね。だって私は貴女を永遠に愛し続けるのだから。」









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