私が素直に歌を歌うと
あの人達は機嫌がよかった。

私は素直にステージに立ち
長い髪を纏うように下ろし
白いドレスを身につけて、私は歌を何度も歌ってみせた。


鏡に写る自分の顔は隈が酷くて、もう生きてるのかどうかさえわからなかった。


私は、生きているのだろうか。
もう、死んでいるのだろうか。


体を揺らすと手首と手足の鎖が揺れる。
軽く着たカーディガンの下で、
ミミズ腫れや痣が浮いて見えた。


色素の消えたような
何も見えない右の目に、病気のように白い肌。
骨が浮いて見える体は、もう限界なんてとっくに超えている気がする。



「おい、シェア!!
仕事だ!起きろ!!」


眠ってなんかいるものか。
荒々しく叩かれる扉の向こうから響く声に嫌悪感が湧いてくる。


「無礼の無いようにしろ。いいな?」

「・・・はい」


しばらくして枷が取られて、ふらつきながらも部屋を出た。

向かう部屋でまた今日も仕事。
中にはいつも通り誰かが待っているんだ。


私は、シェア。
慰み物として、商品として、奴隷として
人として生きることを否定された


私は、人形。



「よろしく、お願いします」



泣きたくなるのを堪えて、今日も私は笑ってみせる。
そして鳴いて見せるのだ。
首を締められた鳥のように。






幽閉された歌姫
(助けを求めることなんて、忘れてしまった)








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