「さあ、今日は待ちに待った遠足だぞ!この中に前日眠れなかった人がいるんじゃないのか?」

遠足の引率担当、もといこの学級の担任、上白沢慧音はいつもよりテンションが高かった。

「私も前日なかなか寝付けなかったぜ。」

「あんたの電話の相手をずっとしてた私は寝不足よ。」

霊夢の目元にはうっすらとクマができていた。

「魔理沙も楽しそうだけど一番遠足を楽しみにしてたのは先生だったりして…。」

早苗が小声でいうと霊夢や魔理沙だけではなくその周囲にも笑いがおこった。

「どうしたんだお前たち。私の顔に何かついているか?」

「別に〜♪」
「なんでもありませーん!」

「?まあいい、そろそろ出発するぞ!!」

慧音がそう言うと生徒たちはぞろぞろと歩きはじめた。

「先生、そういえば今日はどこへ行く予定なのですか?」
と霊夢が聞いた。

「今日はな、近くのキャンプ場まで行く予定だぞ。他校の生徒も来ているから迷惑をかけないようにな。」

「はーい。」

学校を出て30分、そろそろ生徒も疲れてきたところ。

「霊夢ー、早苗ー、つかれたー…」

「何言ってんのよ魔理沙。パチュリーだって歩いてるじゃない。」

「そんなこと言われても疲れちまったもんはしょうがないんだぜ。」

「先生、『近く』のキャンプ場ではないのですか?」

「ん?『近く』だぞ。まだ30分しか歩いてないじゃないか。」

「だってさ、魔理沙。」

「ちぇっ…」

まだ目的地まで距離があることを悟った魔理沙はへとへとだった。

「ははは。霧雨はもう疲れたのか?意外に体力ないんだな。私もまだまだ若いってことか。」

慧音先生、さすがです。


――――――

目的地のキャンプ場につくころには生徒の大半が屍となっていた。

「せ、先生歩くの速い…。」
「どこが『近く』のキャンプ場なのよ…。」
「もう動け…ない…。」

このあとみんなでバーベキューをしたり遊んだりするという予定があるが、誰一人として喜ぶ者はいなかった。

ただ、この人は別として。

「みんな体力ないな!生徒であるお前たちが楽しまなくてどうする?」

先生の体力は底無しか。と誰もが思った。


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