外は蝉の鳴き声がうるさくて、体育館の中はボールやシューズの音が心地良い。本格的な夏入った今日も烏野高校排球部は練習を続けている。


「休憩!」


大地さんの声が体育館に響き渡る。部員にとっての休憩時間は、マネージャーにとって一番の活動時間。私は冷やしておいたドリンクやタオルを潔子さんと手分けして配っていく。


「じゃあ、咲子よろしくね」

「はい!」


私は田中と西谷以外の2年生と1年生の担当。田中達は潔子さんの元へとダッシュしていた。縁下にドリンクを渡せば、苦笑しながらありがとうと言われた。そして次は1年生。


「練習お疲れ様」

「あざーーっす!」


今日も元気な日向くん。彼を見てると私まで元気になれる。さっきのスパイク綺麗に決まってたねと声をかけると、照れ臭そうにもう一度お礼を言ってくれた。


「先輩、僕にもタオルください」


日向くんを見て和んでいると、頭上からは落ち着いた声が聞こえてくる。後ろを振り向けば、相変わらず大きい月島くんとにこにこしている山口くんが立っていた。

「はい、どうぞ」


タオルとドリンクを一緒に渡すと、少し驚いた顔をした月島くん。何だろう。何かしたかな。


「どうかした?」

「…タオル、冷たいですね」

「あ、うん。冷えてた方が気持ちいいかなって。乾いたタオルもあるけど…持ってこようか?」

「いいです」

「…そっか」


やっぱり月島くんはちょっと冷たい気もする。でも冷たいタオルをそのまま使ってくれてるっていうことは、気に入ってくれたのかなー…なんて。そして、最後は


「咲子さん」


影山くん。彼も目つきが少し怖いけれど、とってもいい子。ドリンクとタオルを渡せば、ありがとうございますと言った。


「今日のトス、どうでしたか」


影山くんは練習熱心で実力は申し分ないのに、いつもコートの外で見ている素人の私にまでアドバイスを求める。私もこれでも1年と4ヶ月はマネージャーをしている。今まで色々な選手を見てきて感じたこと、思ったことを影山くんに話す。


「…こんな感じ、かな」

「ありがとうございます」


影山くんは軽く頭を下げてお礼を言う。私はいえいえと言ってその場を離れようとした。けど、


「影山くん…?」


影山くんが私のジャージの袖を引っ張っていた。なんだなんだ。影山くんは下を向いていて表情はわからない。


「気分でも…」


悪いの?そう聞こうとした時、彼は顔をあげて少し頬を赤く染めてこう叫んだ。


「今日、一緒に帰りませんか!!!」


おっと、そう来たか。なんとなく、彼に好意を持ってもらえてることは気づいてたけど。まさか部活の休憩時間にこんな大声で誘われちゃうとは。後ろから近づいてくる、面白いおもちゃを見つけたような笑い声を出している2人をどう対処しようか。帰りの時間に期待を膨らませながら、私は影山くんに微笑みかけた。






(時間をずらして校門で待ち合わせ)
(さあ、恋をはじめよう)













あとがき
ハイキュー夢も3つめになりました。早く原作を読みたいです。夏は彼らは何をしてるのでしょうか…本編と食い違う描写があったらすみません。読んでくださりありがとうございました。

2014/07/03 羽月

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