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歌川から取ってもらった資料を手にラウンジに移動してきた優希は、まるで新しいおもちゃをもらった子供のようなわくわく感で資料を見つめていた。ふ、ふふ、ついに、このときが来た……!なんとか言葉は心の中だけで、口元には軽く笑みが浮かぶ程度にとどめておいた。

ぱらりと資料をめくる。トリガーについての記述されたページには、画像と共に説明がびっしりと書き込まれていた。

トリガーのセット個数は8個まで。基本ベースは盾の二つセットと、メイントリガー。これにサブやオプションを絡めて戦っていく。優希も例にたがわず盾を二つとスコーピオンを装備しているから残りは5つだ。

弧月……も魅力的だけど、せっかくの機動力をみすみす手放すのも気が引ける。やっぱりここはスコーピオンで行こう。優希は前々から、スコーピオン二つ持ちをやってみたかった。自由度が高いスコーピオン二つであれば、さらにやれる幅は広がる。だからサブトリガーとしてもスコーピオンを使用するつもりだ。そうなるとオプションは……。

ん。トリガーセットの組み合わせについて考えながら優希がぺらぺらと資料をチェックしていると、光がなにかに遮られた。なんだろう、と顔をあげる。と。

「あ、悪い。すごい分厚いノートだと思って」
「っ…………!!!!?????」

い、いいいい、い。

「邪魔したか?」

A級一位の隊長っっっ!!!??? 手に持っていた資料がバサバサバサァッ!!と一気に落ちた。「だ、大丈夫か」驚いたように東が散らばった資料を拾う。慌てて自分でも拾うが、先にとんとんと角を整えられてしまった。ほら、と差し出された資料を「す、すす、すみば、せ」と震えながら受け取る。

「いや、驚かして悪い」
「そ、そっそおんなこと……」
「すごい分厚いけど、全部対策ノートか?」
「は、はひ……」

体がどうも言う事を聞いてくれる状態じゃないらしい。さっきからすごくがったんがったんと椅子ごと震えている。東にもそれは伝わったのか、大丈夫か?ともう一度聞いてきた。

「B級に最近上がった子だろ?」

東の言葉に、し、し、知られているだと……!?と優希は驚愕した。

「は、はははは、は、い……」
「すごいな。勉強熱心なのはいいことだ。がんばれよ」

ぽん、と肩を叩かれる。その場を去っていった東の背中が本当に遠くに行って見えなくなってから、全身から力が抜けた。ずるずると、椅子の背もたれを滑った。

「が、がんば」

がんばれって、言ってもらえた。すごいって、いいことだって。じわああ、と目に涙が溜まっていく。

嬉しい、嬉しい。がんばってることを認めてもらえた。あんなに、すごい人に。鼻の奥がつんとする。溜まる涙がこぼれそうで、資料とノートに落ちないよう、机の端に押しやった。