確かにそこは落ち着く場所で。











『あれ、黄瀬くん…?』

「え、成宮っち何してるんスか?」

『ん?散歩ー!黄瀬くんは?』

「オレは成宮っちに会いたく来たんス!」

『ははっ冗談うまいねー』






クスクス笑って話す。
黄瀬くんとは割と仲良い…同じクラスだし
こんな近くの公園で会うなんて意外…黄瀬くんが1人で公園なんてくると思わなかった…







『部活も仕事もお休み…?』

「今日は休みっス!」

『私この公園好きなんだーあんまり人も多くないし落ち着くっていうかさぁ』

「そうっスね!なんか気持ちいいしあそこのベンチで喋らないっスか?」

『うん、いいよ?用事もないし!』







なんだか人懐っこい犬みたいなこの人の隣で話す。
学校以外で会うのは初めてだなぁ…
緊張とかはないし、私からしたらなんか可愛い奴だ
いつもと同じように話していると黄瀬くんがこっちをじっとみてくる…







『え、どーしたの?何かついてる?』

「いや、なんか学校の時と違うっスね…」

『何がちがう?変…?』

「こっちの方が可愛くて好きっス!」

『またそう言うこといってー!ダメだよ?誰にでも言ったら』

「誰にでもなんて言ってないんスけどね…」 






この人はサラッと好きとか可愛いとか言ってのける…女としては言われて嬉しくないわけないけど

お世辞を真に受けるほどバカじゃない!
気抜いたらすぐに口説き文句みたいなのが飛んでくるんだから…この人はほんとに

いつもサラッと流してるフリをするのに必死だよ私は…







「オレの言ったこといつも流すんスよねー希空っちは…」

『えーだって本気で言ってるんじゃないってわかるもん!』

「なんで、本気って言っても信じないんスか?」

『なんでって言われても…本気じゃないじゃん』

「本気っス!」

『わかんないなぁ…』







ほんとになに考えてるかわかんない。
ただ懐いてくれてるのはわかるんだけど本気って言われても反応にこまっちゃう…
黄瀬くんのことは好きだよ?好きだけどさ…

考えんの疲れて来ちゃったなぁ…
外でのんびりしていると眠気がおそってくる。





「オレが今から話すことは全部本気っで思ってることっス!」

『え…?』

「オレが今日ここに来たのは成宮っちに会いたかったからで、いつも成宮っちを見てるんスよ?…また信じてくれないかもしれないけど…」  

『…でも…』

「会えたのは確かに偶然っスけど会いたいと思って来たのは本当だし」

『……うん…』

「オレは少しでも近づきたくて成宮っちの傍に居るんスよ…?」

『………。』

「ッ!……成宮っち……?」

『………。』

「なんだ、…寝てたんスね…いきなり肩に寄りかかるから期待したのに…。」

『……んん…。』

「いつになったら分かってくれるんスかね…」





心地良い風と隣の温もりに私は意識を手放した。

彼の言葉は届かなくても…
言われたことを信じなくても…






確かにそこは落ち着く場所で。





「本気で好きなんスよ…?オレ。」






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