棚からぼた餅。












『はぁ…』

「成宮さんどうしたんですか?」

『えっ?…テツくん…ううん、なにも』

「そうですか?なんだか悩んでるように見えましたけど」






悩んでるか…
悩んでますとも、君のことで。
優しくて男前のテツくんに惚れてしまったんです…そしてそれに気づいた私はどうしたらいいのか戸惑ってます…






「僕には言えないことですか?」

『あ、いやそうじゃなくて』

「………。」

『……ん?』

「待ってます。」

『…なにを?』

「成宮さんが話してくれるのを…」







本を持ってジッと見つめてくるテツくん…耐えきれなくなって視線をそらしたのは勿論私。
そりゃ無理だよっ!好きな人が見つめてくるんたもの!!!

そんなの軽く拷問だよっ
とにかく委員会の仕事を終わらせるべく何冊も本を持って棚の方へ…
一冊一冊直していかなければならないのだ。







『はぁ…』

「ため息多いですね。」

『へっ?テツくん!…なんで?本直そうよ。』

「直してます。」







彼の言ったとおり手には何冊も本を抱えてる。
なんだたまたま同じ棚だっただけか…
さて次はあっちだからと呟きつつテツくんから離れるも後ろをテケテケついてくる彼の姿。

なんなんだい!!!
心臓がもたんわっ






『テツくん?』

「僕もそっちなんです。」

『そっか…』






本を直していくも隣を見ればまたテツくん
なんだかどこに行っても傍にいるわけで…

不思議すぎるその現象にムキになって早足でぐるぐる図書室を歩き回ってみる…


振り切れない。
ぴったり後ろについてくるテツくんをみて足を止めた







『あのー…テツくん?』

「はい。」

『ついてきてるよね…?』

「ついて行ったらダメですか?」

『だってそんなことしてたら本が減らない………あれ?』

「僕の方はもうこれだけです。」







最後の一冊を棚にしまうテツくん…
え。…私の手にはまだドサッと本の束が…
こちらを見るテツくんの目が凄く突き刺さって痛い…

すみませんと呟き何も言わずに棚にしまい始めた私。


さっきまで偉そうにしていた自分が恥ずかしくて恥ずかしくて…テツくんに夢中で仕事が手に着いてないのは明白。
自分が嫌になってきた…







「貸してください。」

『いやいいよ…半分ずつやらなきゃテツくんしんどいし!』

「僕も男です。これくらい何でもないですよ」

『…でも』

「僕に手伝われるのは嫌ですか?」

『ううん…そんなことは全然なくて』






ただ、しっかりもののテツくんに認められたくて自分の事は自分で出来るとアピールしたかっただけだった…







「僕は成宮さんを手伝いたいです。」

『…ありがとうっ』

「どうかしましたか?」

『……照れてるの!』

「嬉しいです」





この人はわざとやっているのか!!
こんな無害そうな顔して実は私をからかって遊んでいるんじゃ…

そんなことを考えながら本をしまい終えた






『手伝ってくれてありがと!』

「いえ。」

『今度こそ私が手伝うからね?』

「………。」






あれ……?
沈黙?こんなはずではないんだけど
もしかして、地雷でも踏みましたかね、私。
どうぞ、踏んだなら踏んだと言っていただきたい…







「……がいいです。」

『え…?』

「今度じゃなくて今日がいいです。」

『でも今日はもう終わっちゃったし…』

「僕今日部活休みなんです。だからお礼に一緒にかえってください」

『え、お礼ってそれでいいの?』

「はい。」



2人で帰れるなんて緊張するけど幸せすぎる!
まるでカップルのようではないかっ
ありがたくお受け致しまして、2人で仲良く校門をくぐった。








棚からぼた餅。






「そんなにはしゃぐと転けますよ?」

『大丈夫だよー…ッうぎゃ!!』

「気をつけてください。手、繋ぎましょうか。」







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