小さな最恐コンビ結成。








「おい。」

「んー?何、赤ちん…」

「何じゃない、そのぶら下がってるのはなんだ」

「え?あー…くっ付いてきたからつれてきちゃったー」

「誰だ?」

「んー、近所の子?」

『よっ!』






首に手をまわして紫原の背中にぶら下がってるのは彼の隣の家に住むモカだ。
紫原に問いただす赤司を目の前に、肩からひょっこり顔を出して片手をあげたツインテールの女の子に赤司の顔はきょとん。
そんなことなど知らぬ顔で下を覗き紫原の持つスナック菓子を見つければ必死に手を伸ばす少女の姿は愛らしい






「食べるー?」

『食べルー!』

「赤司っちー紫原っちー!」

「よぉ。」

「黄瀬に青峰か…」

「あ?なんだこれ…」





モカに気付いた青峰が服を掴んでぐいっと引っ剥がした…
突然の出来事にハムスターのように口いっぱいにスナックを頬張ったまま今度はモカがパチクリだ…訳が分からず泣きそうになる少女を目の前に
青峰は慌てだした






「え、いや…なんでこんなとこにガキがいんだよ!」

『ガキじゃないっモカッ!』

「あ?なんだよ…」

「あーあ、ダメっスよ…青峰っち、小さい子泣かせちゃ。おいで?」

『わぁっ!!』






クスクス笑って頭を撫でてくるのは黄瀬。青峰はと言えば不服そうに前を歩いている。
黄瀬の顔を見ればキラキラと目を輝かせたモカ






『わんちゃんだー!真っ黄っ黄ッ』

「イテテッいたいっスよ…てかオレ…もしかして人間とすら思われてない…?」

『わんこっわんこっ!』






ケラケラ笑って髪の毛を引っ張られ四苦八苦する黄瀬をよそに周りは歩いていく…
ちょ…待ってっ…そんな黄瀬の声など聞いてはくれない…
肩車して髪の毛をグイグイひっばられたまま学校に向かうのだった…








学校につき各々準備を始めると
パイプ椅子に座る赤司の元へとモカが近付いた





『赤ちー!』

「……。」

『あーかーちー!』

「赤司だ。」

『へへっ…』




意味を理解してるのかしてないのかへらっと笑って赤司の膝の上へと飛び乗った。





「何をしている?」

『んぅ?』

「どけ。」

『……?』

「俺に逆らうことは許さない。逆らえば誰であっても殺す。」







膝の上からどけてやりそう言い放つ赤司の姿を見て周りはそこまで言うかと思ったことだろう
言われた張本人といえば少しの間きょとんとして赤司の顔を見つめる。

しかしすぐにケラケラと笑い出した。







『へへっ!ころーす!』

「…なぜ笑ってる…」

『あかちころーすッ!…おーんぶっ』

「…面白いのか?」

『うんっ!』






ならいいかと背中にくっついてくるモカにさすがの赤司もあきらめる。
というより、少し興味でもわいたようでそっと頭を撫でたりなんかしている姿はレアものだろう…


その時、モカの瞳が何かをとらえたかのように光り出した。






『にゃんこっ!』

「…ん?」

『にゃんこにゃんこ!!』

「あれが欲しいのか?」

「うんっ!」





視線の先には緑間…の、ラッキーアイテム猫のぬいぐるみだ。
どうやら緑の眼鏡は眼中にないらしく…ネコのぬいぐるみに一直線だ。
思い切り欲しがるその姿にクスッと笑みをこぼした赤司がおんぶしたまま緑間のもとへ向かう





「緑間、それを貸せ」

「ん?なんなのだよ…」

「貸せ。」

「い、いやこれは…ラッキーアイテムだ…いくら赤司でもこれを手放すと言うことは人事を…」

「俺に逆らう奴は…」

『ころーすっ!!……ちょーだいッ』







無表情で言った赤司に言い訳を言うも聞いてくれるはずはなく、名言には可愛さが加わり小さな手が緑間の前へ差し出された。
赤司を見るとニコリと笑顔をむけられる…無言の圧力というものである。
恐ろしい世の中だ…

仕方なくその手にぬいぐるみを乗せると満足気に微笑む少女と何もいわずに元の場所へ戻っていく赤司。
無邪気に言い出したら言うことを聞かない天真爛漫な我が儘少女と
決めたことは何があっても突き通し、逆らうことを許さない赤司…








小さな最恐コンビ結成。






「ラッキーアイテム…。」

「敵に回したら終わりっス」

「あーあ、赤ちんにとられた〜」

「一番厄介な奴味方につけやがった…」

「僕の出番はありませんでした…。」

「あー居たのかテツ!気づかなかった。」

「傷付きます…」




その日緑間のシュートはほとんど入らなかったとか…。





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