次の日、帰りのHR後のことだ。さっさと帰ろうとしていた俺を銀八が呼び止めた。

「沖田くんさ、このあと放送室行く?」

「行きやすけど」

俺がきょとんとして答えると、銀八は余裕たっぷりの笑みを浮かべた。心なしか楽しそうに見える。

「おもしろいことになるよ」

おもしろいことって何だよ。聞いてやるのは癪だったので、俺は無言でその場を後にした。


「あれ、鍵開いてら」

放送室の鍵を回してみて驚いた。前にもこんなことがったなと思いながらドアノブをひねる。あの時はみょうじが中にいたんだっけ。

「みょうじ」

俺は一瞬、呼吸をするのも忘れていた。
みょうじがいる。
一心に何かのプリントを読みふける横顔は間違えようがなかった。歌えるようになったのだろうか。
もう一度呼ぼうとした俺の声は、みょうじによって遮られた。

「あのくそ天パっ!」

持っていたプリントを俺に押し付けて、ほぼ体当たりしながら廊下に飛び出す。あっという間に見えなくなったその背中を俺は呆然と見送った。

「一体何だってんでィ」

とっさに受け取ったプリントを見て俺は固まった。銀八の気抜けするような字でとんでもないことが書かれていたのだ。

【ギターは預かった。返して欲しけりゃ川原まで来い。 銀八】

俺はプリントを握りつぶした。近くにあったゴミ箱に投げたが入ったかどうか分からない。全力で走りながら盛大に舌打ちをする。

「全然おもしろくねーんでィ!」


自重しやがれ
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