※学パロ


最近の子どもは妙に冷めている。
みんながみんなという訳ではないけれど、目の前の生徒は間違いなくそうだった。

「あ、飛行機雲」

すげえなあ、というおれの呟きに#name2#はちらりと窓の外を見た。そのまま何の反応もなく視線が原稿用紙に戻る。
特別指導室と名づけられた小さな空間には、おれと#name2#しかいない。喫煙行為について反省文の処分を受けた生徒と、その監督をする教師というのが今のおれ達の関係だった。

「わかんねえなあ」と俺が呟く。
「何が」と#name2#が尋ねる。

この静かな空間でずっと考えていたことだった。
おれは今でも世界の全てにわくわくして仕方がないのにこいつは違うらしい。むしろ正反対なのだ。表面では笑っていても本質では全てどうでもいいと思っている節がある。

「わかんねえなあ」

「先生は先生なのに分からないの? 馬鹿だね」

「うっせえな、お前。失敬だぞ」

ねえ先生。
膨れたおれに#name2#が微笑んだ。でもやっぱり表面的に見える。
ふと、こいつには世界が白黒に見えているんじゃないかと思った。
だからこんなに、色んなことに無関心なんじゃないか? 二色の世界に飽きてしまって。

「手、握っていい?」

「? 別にいいぞ」

ほら、と右手を差し出せば、ふふっと#name2#が笑った。

「先生、無防備すぎ。あたしがセクハラされた、とか言ったらどうするつもりだったの?」

「お前、そんなことするつもりだったのか?」

んじゃダメだ。
引っ込めようとしたおれの手を#name2#が掴んだ。
嘘だよ。言いながら白い指を絡めてくる。

「#name2#、お前、空何色に見える?」

「青だよ。当たり前じゃん、先生何言ってんの」

「…そっか」

おれは繋いだ手をきゅっと握った。
そっか、こいつにも空は青く見えているんだ。
ただきっと、おれとはその鮮やかさが違っているだけで。

「……先生の手、あったかいね」

「おう」

「ちょっと、汗ばんできた」

「にしし、気にすんな」

いつかお前の世界に、もっと鮮やかな色をつける奴が現れる日が来るんだろう。
おれにはそれが叶う限り綺麗な色であることを願うしか出来ないけれど。

「空が青いなァ」


モノクロのこども。
そんな世界にいるなよ、世界はこんなに輝いているのに

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