ねいすず。 | ナノ









「大人の階段のぼろうぜ☆」
ウィンクひとつ寄こして言ったネイトが差し出したモノを見て―――激しく目眩がした。
答えはもちろん、
「しない」
に決まっている。



【sweet drag】




いつも使うラブホテル。
何回か泊ったことのある部屋。
いつもと同じように着いた部屋で、互いにシャワーを浴び、ベッドにそろって腰を下ろしてジュースを飲んでいたらネイトが突然"ソレ"を取り出して言った。
「大人の階段のぼろうぜ☆」と。
「……」
ネイトが手に持っているのは透明のパケージに入ったピンクのスケルトンタイプの―――大人のオモチャ、と言われるものだ。
「しない」
俺がそう言うとネイトはにっこりと浮かべていた笑顔を少し崩してわざとらしく口を尖らせる。
「そっけねーな。鈴哉ー、お前これがなにか知ってるか?」
「……」
またもにっこりと目を細めるネイトに俺はため息をついて顔を背ける。
「知ってる」
「だよなー」
背けはしたが、横目で見ればネイトは少し意地の悪そうな顔でニヤニヤしていた。
そしてその封を切って、中身を取り出す。
スケルトンのそれは―――球体が連なった形をしている……アナルビーズ。
その名のままにアナル用のオモチャだ。
ネイトはそれをへらへら笑いながら俺に近づけ、
「……なんのつもりだ」
頬に先端を押し付けてきた。
ひんやりとした感触とゴムの匂いに眉をひそめる。
「だってー、鈴哉ってば怖い顔してるんだもん。せっかくオモチャ買ってきたんだし、楽しもうぜ?」
な?、と俺と視線を合わせてきた。
もちろんすんなり頷けるはずがない。
なんだって突然アダルトグッズなんだ。
またため息がでそうになって、それをなんとか胸の内で収める。
「……俺がお前に使ってやればいいんだな」
そして俺が使われるんじゃなければいいんだ、とそのオモチャに手を伸ばす。
だが寸前でかわされ、ネイトは首を傾げて吹き出した。
「まっさかー」
俺は絶対いやだからな、という前にネイトが俺の耳に顔を寄せて囁いた。
「鈴哉に使うに決まってんだろ?」
耳に響く低音。
色欲を孕んだ声にバカ正直に身体が反応しかけて、慌てて身体ごとネイトから逃げるように背を向ける。
「誰が使うか。俺は絶対に使わない」
「またまたー」
なにが、またまた、だ。
「俺は絶対に使わないからな」
興味がまったくないと言えば嘘になるかもしれない。
だけどネイトが使ってくる、となれば不安の方が大きい。
ネイトを振り向かずに断言すれば俺の肩に抱きつくようにネイトが身体を寄せてきた。
両肩にネイトの腕が乗る。
片方の手には相変わらずオモチャが握られていて、視界に入ったソレから視線を逸らした。
背中に重みがのしかかってくると同時に耳朶を舐められた。
「すーずなりー」
振り返らなくてもわかる。
きっとネイトは変わらず笑っているんだろう。
俺を……煽るような眼で。
「なー、しようぜ?」
「嫌だと言ってるだろう」
「なんで?」
「なんでって、お前な……」
「だって、鈴哉」
そして耳の近くで響く声は、動いた唇は、
「っ」
俺の耳をぱくりと咥え、舌が這って耳朶を舐め、そして軽く噛んできた。
小さな痛み。
なのに、ゾクリと背筋に流れるのは不快感じゃない。
「気持ちイイこと好きだろ?」
しようぜ、ともう一度言いながらネイトはさらに背中に体重をかけバスローブの中へと手を侵入させてきた。
「ちょっと待て」
俺よりも経験値が高いネイトに触れられたらきっと流されてしまう。
慌てて離れようとしたが、それよりも早く的確に肌を伝った指は下肢に触れてきた。
ラブホテルだし、シャワー浴びたらすることはひとつ。
だからパンツは履いてきていなかった。
ダイレクトにネイトの指が俺の半身に触れ、掌で包み込むとやわやわと揉みだした。
「っ、おいっ」
肩越しに振り返って、すぐそばにいたネイトと目が合う。
やっぱり、な笑顔。
だけど前とは―――少し違う。
「鈴哉のヤラしーとこ見せてよ」
俺の目を覗き込んでそう言って、キスなのかそうでないのか下唇を甘噛みされた。
俺は深いため息をつき、
「今日だけからな……」
仕方なく呟いた。
どうやら俺は"好きな相手"の頼みには弱いらしい。
きっとあとで後悔しそうだが楽しそうな笑みを浮かべているネイトに黙って押し倒された。





―――――
――――
―――


「……ッ、あ」
静かな室内に響くのは水音と、俺の乱れた呼吸、そしてネイトが煽るように言ってくる言葉だけ。
「もう二本も飲みこんでるぜ、鈴哉」
ぺろり、と舌を舐めたネイトの視線の先は俺の下肢部。
両脚を広げられ無防備にさらされたそこ、後孔には言葉通りネイトの指が嵌っている。
指が動くたびにローションが濡れた音を鳴らす。
卑猥としかいいようがない水音と、俺の身体をすべて知っているかのように動く指に、羞恥とともに快感がどうしようもなく全身を這いまわる。
決してものを挿れる場所ではないのだからじゅうぶんにほぐさなきゃいけない。
そう分かっていても、この前戯のあいだはネイトと視線を合わせることができない。
「玩具いれるには十分かなー」
鼻歌でも歌いそうな声で言われ、ちらり視線を向ければ目が合った。
「んなモノ欲しそうな顔すんなって。すぐに挿れてやるから」
「……そんな顔してない」
「またまたー」
「……っ」
笑いながら後孔から指が引き抜かれる。
身体が小さく震え、挿ってない状態こそが普通なのに喪失感に疼く。
挿れられる側なんて考えてもみなかった、以前なら。
だけどいまはもうどちらでも快楽を得られることを身体も―――もちろん俺も知っていて、だから口には出せないけれど早く隙間を埋めてほしいと思ってしまう。
「じゃあ、いっきますよー♪」
これ見よがしにアナルビーズを見せてくるネイトにまた顔を背ける。
そんなものよりも早く繋がってしまいたい。
なんて思ってることを言えるはずもなく、後孔に触れてきた無機質な感触に目を閉じた。
「鈴哉、ほら」
ぐっ、と硬い感触が菊門を押し広げるのがわかる。
水音は聞こえてはこないけれど、身体に小さく響く挿入の音。
じゅうぶんにほぐされていたおかげですんなりと球体がナカへと侵入していくのがわかった。
「……ぁ、……っ」
指とはまったく違う。
冷たい感触がナカにあって、それが人工的なものだと思うと違和感が沸いてしまう。
「まず一個。で、二個目なー」
つぷ、つぷ、と丸いものが挿ってくる。
その形をはっきり内側で感じる。
三個目、四個目ー、とスムーズに増やされていく。
「順調じゃん。しっかしすげーな、どんどん挿ってく」
鈴哉、と呼ばれて薄く目を開ける。
と、後孔の縁をゆるり、となぞられて、
「っ、ん」
つぷ、つぷと、少しビーズを引っ張られた。
やっぱり違う。
凸凹としたカタチが肉壁をこすりながら出ていく感触に鳥肌がたった。
また目をつむると、鈴哉、と呼ばれる。
また目が合って、視線を合わせたまま、ネイトがまた、ビーズを押し込んできた。
「……っ」
「四個、五個ー♪」
どんどん挿れていかれて、増す違和感に思わず声を上げた。
「ちょ……、く……っ、ネイト……っ、待てっ」
「どうしたー?」
「くるし……っ」
途中まではよかった。
けれど自分のナカに挿入された個数とを考えると不安になってくる。
当たり前だがビーズは長い。
使うのを承諾したのは俺だし、わかってたつもりだった。
でも実際どんどん挿ってくるビーズにどこまでくるんだろう、と怖くなる。
いつもよりももっと深いところまで挿ってくるんだ。
「もう……っ、いいっ」
「なにがー? いまから、だろ?」
にっこり、と笑顔が向けられるが、その目はあきらかに俺の焦りを楽しんでいる。
このドSッ、と思った瞬間、またビーズが一気に引き抜かれた。
「ひっ……、ぁっ」
思わずシーツを握りしめる。
腰から走り抜ける感覚は気持ちいいのかそうでないのかわからない。
ただ"刺激"があるのは間違いなく、はっきりと"気持ちいい"とは思えないけれど"不快"ではなかった。
「っ……ん」
初めての感覚に唇を噛みしめていると、またビーズが挿ってくる。
「こうやって挿れて、一気に引き抜いてー、で、気持ちよくなるそうだぜ?」
「も、いい……っ」
「全部挿れなきゃおもしろくねーじゃん。な?」
「いいッ」
「はいはい。"良い"、ね」
「ちが―――ッ、な、んっ?!」
やっぱりオモチャはもういい、承諾するんじゃなかった。
いまさら前言撤回するのも情けないが、耐えられない。
本当にもういい、とネイトを見た瞬間後孔に埋まったビーズが振動をはじめた。
律動でも、さっきの出し入れとも違う動き。
「電源入れてたほうが、気もまぎれて挿るかもしれねーだろ?」
俺って優しい☆、なんて笑うネイトを足蹴にしてやりたい。
確かに感じた苛立ちは、だがほんの一瞬で霧散する。
「っ、あ……っ」
振動しながらビーズが挿ってくる。
いま何個目なのかわからないまま、直腸にもハマっているのはわかった。
ありえないところにありえないモノが侵入している。
腹部に違和感はあるのに、体内で蠢いているそれは認めたくないけれど身体を疼かせる。
「んっ……は……っ、く……っ」
眉を寄せて刺激に耐えていると太腿を指先でなぞられる。
それにさえ身体を震わせてしまった。
「スーズナリー」
間延びした声で俺を呼びながら指先は肌を滑って、ほんの少しだけ俺の半身を撫ぜていった。
「っ、あ」
「全部、入った? 見る?」
グッと腰を持ち上げようとするネイトに必死に首を振る。
これ以上恥ずかしい格好をするのはごめんだ。
「見ればいいのに。すっげーぜ? お前の、ココ」
「ん……っ、ぁ」
結合部に触れた指先。
そのままほんの少し、ビーズが嵌った横から入る。
肉壁がその分広げられて圧迫感が増した。
「気持ちイイ?」
「ッ……ぁっ、やめ、ろっ」
ビーズを中でネイトの指が押し、振動が前立腺に触れた。
腰から刺激が頭の先まで走り抜ける。
「っん、お…い……ッ、はっ」
耐え切れずに身体をよじって逃げようとした瞬間、ぐちゅ、と音を立ててまた一気にビーズが引き抜かれた。
目が眩むような感覚にシーツを握り締めて身体を横に倒した。
「逃げるなって」
すかさず俺の片脚を持ち上げてビーズを挿れてこようとするネイト。
「も、う、いいっ」
「イイ〜だろ?」
「っ、ほんっとにっ、もうっ」
振動するビーズは確かに気持ちいい。
ビーズを引きずりだされる感覚は、それが快感だとわからないままに身体を痺れさせる。
きっと繰り返し出し入れされたら乱れ切ってしまう予感はあった。
でも、だけど―――。
「もうッ」
いい、と身体を起こしてネイトの手を掴んで止めた。
長い間じゃなかったけど、久しぶりに目があったような気がする。
相変わらず笑みをたたえていたネイトは、からかうように目を細めた。
「なんだよ、もうギブ?」
「……っ、ギブでいい……。だからもう外せ……っ」
「えー」
まだまだこれからだろー、とビーズをこれ見よがしに挿れようとする手をさらに押しとどめて、ネイトの手越しに数個挿入されていたビーズを抜き取った。
「っ、……」
実際自分の体内から出る様子を見ると羞恥が激しくて顔が熱くなるのを感じる。
「これから良くなってくのにもったいねーなぁ」
ローションで濡れたビーズをおかしそうにネイトは触りながら俺の顔を覗き込む。
煽るような眼差し。
「鈴哉にはまだオモチャは早かった?」
からかう声。
乱れた息を整えながら俺はネイトに顔を近づけ、最初されたのと同じようにネイトの下唇を甘噛みした。
「……オモチャはもういい。……俺は、早くお前としたい……」
もしかしたらネイトの言うように俺にはこういった玩具を経験するには早いのかもしれない。
慣れればそうでなくなるのかもしれないが、やっぱり俺は―――。
「……おい?」
恥を忍んで言えば、ネイトは少し呆けたような顔をしたあと吹きだした。
「……なんで笑う」
ケラケラ笑って、ネイトは目の端に滲んだ涙をぬぐうと俺をまたベッドに沈めた。
「そりゃー鈴哉が可愛いこというからだろ?」
「……可愛いって……」
「そんなに俺のほうがよかった?」
「……そうだと言ってるだろ……」
「ふーん」
「……―――っ」
両脚を広げられ、後孔にネイトの熱があてがわれる。
ガチガチに硬い状態のネイトの半身に気を取られていると、先端がめりこみ、一気に俺を貫いた。
「っ、あ……ッ、ん」
ビーズで十分にほぐされていた後孔はあっさりとネイトの剛直を受け入れる。
「ふ、っあ、くっ」
そして熱く肉壁を押し広げる感触に身体は一気に昇りつめた。
「っあ、ああッ」
全身をかけぬける快感に背中がしなり、脚が震えた。
「……鈴哉?」
浅い呼吸を繰り返す俺をネイトが不思議そうに見つめる。
「お前、もしかして」
「う……うるさい」
「なにもイってねーじゃん」
「……」
「しかもこっち出てないし」
くすくす笑いながらネイトの指が俺の半身に触れてきた。
熱く滾って硬くなってる俺のは、ついいまさっき"イった"けど、なにも吐き出してない。
その事実とネイトの視線に顔が異様に熱くなって腕で目を覆うとしたらその手をシーツに縫い止められた。
「そんなに気持ちヨカッタ?」
「……」
お前があんな玩具で焦らすからだ。
なんてこと、言えるはずもない。
視線を合わせられないでいると、俺の腕を押さえる手に力がこもり、そして腰を押し付けられた。
「っん」
また少し奥へと挿ってきたネイトのもの。
大きくて硬く、熱く脈動しているのが伝わってくる。
「俺は……すっげー気持ちいい」
「……―――」
眉根を寄せて呟くネイトを、見つめる。
無意識に口が動く。
だけど声は伴わなかった。
「なに?」
問い返されて、戸惑う。
「……いや……ほんとうに……か」
「は?」
「……なんでもない」
視線を伏せたけど、ネイトの視線を感じて顔を背ける。
沈黙が数秒落ちて、空気がほんの少し振動した。
「鈴哉」
真上に影が落ちてネイトが目前に迫る。
あいた片手で顎を掴まれて視線を合わせさせられた。
気まずくて目を伏せそうになったら、それより早くネイトの声が落ちた。
「リップサービスじゃねーよ」
緩く笑う顔はいつもと同じで、"前"とは違う。
俺のうぬぼれがそう見せているのか、実際変わったのかよくわからないけど。
昔よく見ていた笑みよりも穏やかで、優しい。
「……知ってる」
だから俺がそう言えば、
「だろ?」
とさらに笑われた。
「じゃー鈴哉のためにがんばろうかなー、お兄さん」
「……はぁ?」
なんだお兄さんって、と言いかけた途端、ネイトが動きだした。
ビーズとは全然違う。
あれはあれで―――確かによかった……けど。
ネイトの熱が出ていって、また隙間なく俺の中を埋め尽くすたびに身体が震える。
ゆっくりとした律動が次第に速さをましていく。
同時に少しずつネイトの顔からも余裕さが消えていく、ように思えた。
俺は―――
「っん、あ……っ」
全然余裕はないんだけど。
体位を変えたりしながら何度も何度も貫かれ揺さぶられて、全身が性感体になってしまったようにびくついて震えて感じてしまう。
さっき達したばっかりだというのに、いつ爆発してもいいくらいの疼きに俺は手を伸ばしてネイトに抱きついた。
必死にしがみつく俺にネイトが小さな笑いを落としたけど気にする暇もない。
一層激しく突きあげられて羞恥を感じる間もなく声を上げさせられる。
やっぱり、またイキそうで、しがみつきながら俺はどうにか気を紛らわそうとすぐそばにあったネイトの顔を引き寄せて唇を重ねた。
「……っう、ん」
だがそれが失敗だったとすぐに気づく。
ネイトとキスするようになったのは最近だ。
身体を重ねる関係はずっと前からだったけど、キスは付き合うようになってから。
だから俺の経験値とネイトの経験値には大きな隔たりがあって。
「ン……っ、ぁ」
絡みついてくる舌にいいように翻弄され、咥内でも快感を与えられる。
結果自分で逃げ場をなくしているわけで―――。
「っ、ぁ……ふ……っ」
舌を混じり合わせているだけで、なんでこんなに気持ちいいんだろう。
脳内が沸騰するように溶けるような感覚を覚えながら、下は下で全身に熱を飛ばしてくる。
息が苦しくて、だけどキスを止めることもできない。
揺さぶられて迫りくる絶頂の波に少し怖くなるが、自ら腰を揺らすことを止めることもできない。
静かな部屋に響くのはどっちからしてるのかわからない水音とベッドの軋む音。
それからたいして時間はたたず、全身が小刻みに震えだした。
耐えようとしても耐えきれない波にさらわれる。
そしてそれに気づいたらしいネイトが前立腺をえぐるように激しく突いてきた。
「……ッ、ぁ」
震えを制御できないままに、目の前がスパークする。
強烈な快感は思考回路を焼き付けてしまったように頭を真っ白にした。
激しく身体が痙攣し腹部に熱い飛沫がかかるのを感じる。
次いで俺の中のネイトの半身が膨張したような気がして、そのあと小さく呻く声が聞こえてきた。


***



「空イきしたうえに、ところてんまでするなんて、鈴哉いっきに大人の階段駆けあがったんじゃねーの」
ベッドに脱力しきって寝ている俺の横に座ったネイトが、俺が吐き出した精液をぬぐったティッシュをベッド下のゴミ箱に捨てながら声を立てて笑った。
なにか言いたかったが、反論のしようがない。
実際挿入されただけでイったうえに……最後俺のは全然触れられてなかったのに欲を吐きだしてしまった。
それに自分からネイトにねだるようなことをしてしまったし。
思い返してみればいくら情事の最中だといっても……恥ずかしすぎる。
「……寝る」
これ以上ネイトにからかわれるのも嫌だなと布団を頭からかぶった。
また笑う声が響いてきて、少しムッとしながらも強制的に作った暗闇の中で目を閉じる。
声が聞こえなくなり静かになったあとスプリングが微かに振動するのを身体が感じて、抱きしめられた。
布団ごと。
「鈴哉」
そして布団越しにポンポンと頭を叩かれた。
「すずなりくーん」
「……なんだよ」
ため息をついて少しだけ顔を出す。
瞬間、口を塞がれた。
固まる俺を気にせず好き勝手に蹂躙していったネイトは屈託なく笑った。
「すっげー、気持ちよかったぜ。まじで。またシよーな」
「……」
なにをどっちをだ、と思いながら、
「……気が向いたらな」
と、呟いた。
「というか次はお前しろよ」
「えー」
笑うネイトに、ため息一つついて俺も笑った。
そしてそのまま他愛のないやりとりをして、いつのまにかふたりそろって眠っていた。


*おわり*



やまなしおちなしいみなーし\(^o^)/