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テーマ「世紀末オメガバース」
BL小説コンテスト開催中!
- ナノ -





 晴日と日向。
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「……なにしてるん?」
ガチャリ、と開けた先にいたのは洗面台の鏡の前で鏡の中をじっと目を凝らすようにして見ている日向だった。
「えっ、うわっ」
慌てたようにさっと襟元を戻し、日向は顔を真っ赤に染めると、
「なんもないし!」
そう言って晴日の横をすり抜けた。
ドタバタと焦った足音が階上へと上っていく。
晴日はそれを視線で追って次の瞬間には駆けだしていた。
自室へのドアが開いて日向が中へと入り、ドアが閉まる。
閉じる寸前に手を差し込み中へと滑り込むと後手に閉めて―――そっと鍵をかけた。
「ひーな」
「な、なにぃ」
晴日と目を合わせようとせずに視線を泳がせ日向は二段ベッドの一段目にのって、平静を装うようにベッドに備え付けの本棚から参考書を手にして広げた。
「さっき、なにしてたん?」
日向の傍へと近づき隣に座ると顔を覗き込んだ。
一瞬目があって、また日向の顔が赤く染まると晴日から顔を背ける。
「なんもないって!」
「キスマーク見てたん?」
「……っ」
これ以上ないくらいにさらに赤く染まる日向の顔をにやにやと見つめながら晴日は日向の襟元へと手を伸ばした。
「ちょ、ちょっ・・・触んなっ」
襟首を広げれば一週間ほど前に学校でつけたキスマークはすでに消えてしまっていた。
「消えてしもたって寂しくて見てたん?」
「はぁ? そんなわけないやろっ」
「ほんまぁー?」
「ほんまやし! だってキスマークついてたら体育の着替えのときとか気ぃ使って大変やねんで!」
「ふーん」
力説する日向を晴日はにやにやとしたまま眺め、この前まではあったキスマークの部分に指先を触れさせた。
「ねー、またつけてもえぇ?」
「あ、あかん!」
「ほんまに?」
「……っ、ほんまやしっ」
「せやったら、絶対見えへんところにつけさせてぇさ。絶対誰も気づかへんとこ」
「……どこ?」
変な場所じゃないだろうなと焦る日向の身体を囲むように晴日は手をつくとゆっくり顔を近づける。
あのときと同じようにカチャリ、と眼鏡が触れ合った。
あのときはだけど結局触れあわなかった。
だからきっと今日も、なんていう考えが日向の脳裏に過ったが、晴日の瞼が閉じて無意識にドキリとした。
「ハル―――」
かかる吐息。
あのときと違って、触れた温もり。
「……っ」
それはほんの三秒ほどだったけれど日向にはとてつもなく長い時間に感じられた。
目を見開いたまま固まる日向からほんの少し顔を離す。
「ココ。ココやったら何回吸いついても痕のこらへんやろ?」
至近距離のまま晴日の指が唇に触れてくる。
「な、な、な……っ、いま、キスっ」
「俺たちのファーストキスやな♪」
「ッ」
「いややった?」
「……いややないけど」
キスしたんだと実感したとたんに頭が顔が沸騰するように熱くなっていくのを日向は感じた。
「かーわい、ひな。ね、もう一回せえへん?」
「え、でも―――っん」
ちゅ、と再び唇が触れ合う。
恥ずかしさに日向はギュッと目をつぶって晴日からのバードキスを受ける。
何度も触れあうだけのキスが触れ合ったまま止まって数秒。
動かないことに怪訝に思った日向がそっと目を開けると、ばちりと晴日と目があって驚きに声を上げそうになった。
瞬間開いた唇からぬるりとしたものが入ってくる。
「ん!??」
噛みそうになって慌てて開いたままにする。
一気にパニックになった頭でもこれがなんなのかわかった。
「っ……ん!」
晴日の舌が生き物のように日向の舌に絡みついてくる。
ついさっき初めてのキスを経験したばかりだというのに、舌を絡め合わせるキスなんて軽く日向の許容範囲をオーバーしている。
晴日、と言葉のかわりにその肩を叩くと、背中に手が回って抱き寄せられた。
(違う〜!! 離せってことやろ〜!)
ぬるぬると舌が動いて粘膜を刺激する感覚は妙にむず痒く、恥ずかしい。
初めてのことに日向は身体を強張らせ、それを気にする様子もなく晴日は日向の咥内を味わっていく。
交わる舌に次第に日向の身体から少しずつ力が抜けていき銀糸を引きながら触れ合っていた唇は離れた。
思わず熱っぽい吐息をこぼす日向。
上気してしまっている日向を見つめながら晴日は濡れた唇を舌で舐める。
「気持ちよかった?」
「……っ、あほ…っ!」
「なんで? 俺はすっごい気持ちよかったんやけど、ひなはよくなかったん?」
「は!? そ、そんなん……っ」
じーっと見つめてくる晴日は微かに笑っているが、恥ずかしさに日向はそれを気にする余裕もなく目を泳がせた。
「ひなー」
くすくす笑いながら晴日は日向へと手を伸ばし―――
「ッ!? ちょ、ちょ、ハル!?」
「ここ、硬くなってんで」
いきなりスエットズボン越しに下肢に触れてきた。
「なんやひなもちゃんと感じてたんやん」
「ち、ちがっ」
「でも硬くなってるやん。なー、ひな」
「なにっ、だから触んなって」
「抜いてあげよぉか?」
「……は、はぁ!?」
「だってこのままやときついやろ?」
「そんなん自然に治まるっ」
「そう?」
ぎゅっと強く日向のものが握られ、日向は「ひっ」と短い声を上げると涙目で晴日をにらむ。
「その顔逆効果」
笑って晴日は再び日向の唇を塞ぐとズボンの中に手を差し込んだ。
逃げようとする日向の腰に手をまわしつかんで、硬くなった中心に触れる。
自分じゃない、他人の手に触れられて日向は身体を震わせた。
「……っ…んっ」
直接的な刺激に中心が一層熱を持って硬くなっていくのを感じる。
「……やめ……っ、ハルっ」
「抜くだけやって……」
「で、でも……んっ」
拒否しなければならないのに与えられる刺激と、そして初めて見る男の顔で見つめてくる晴日に日向は動くことができなかった。
羞恥に顔も身体も沸騰してしまったように熱く感じる。
そんな日向を見て晴日も呼吸を見だした。
「……やっばい」
もうひな可愛すぎ、そんなことを呟く晴日は少し余裕がないように見える。
日向の半身を上下しつづける晴日の手に、日向は小さく喘ぎながら晴日を見つめふと気付いた。
「……ハル……」
「なに? もしかしてもうイクとか?」
「ち、ちがうっ……ンっ……。あ、あの……ハルは……」
「うん?」
大丈夫なの、と言いかけて言えず、躊躇ったあと日向は恐る恐る晴日の下肢に手を伸ばした。
指先に硬さを感じてまた一層顔が熱くなる。
「っ、ひな?」
「……そ、その……ハルかって……」
「え、ひな触ってくれんの?!」
「……っ……うるさいっ」
頷くことはできずにだけど―――触れてみたいという欲求に、日向は晴日のものへと指を触れさせた。
触っていなかったのに晴日のは完勃ちしていてその熱さに日向は驚いてまじまじと見下ろした。
「……なんでこんな硬いん……? なんか俺のより……大きい気がするんやけど……」
「そりゃーそうやん」
「……なんでやの」
同じ双子なのに、と日向が軽く口を尖らせるとニヤニヤと笑った晴日が顔を近づけ唇が触れるギリギリで口を開く。
「だって俺いまめちゃくちゃ興奮してるんやもん。ひなのエロい顔見て興奮しないわけないやんか? だからこんなデカくなってるんやで」
「……っ」
日向は手の中にある晴日の半身が脈打ったのを感じて思わず手を離しそうになった。
それを晴日の手が重なって止める。
「ひな、さわってくれるんやろ?」
「……っ」
期待を込めた目で見てくる晴日に日向は躊躇いながらほんの少しずつ手を動かし始めた。
同時に晴日の手は離れていき、また日向のものに刺激を送りだす。
与えられる刺激と、与える刺激。
狭い二段ベッドの下段に互いの吐息がやけにはっきり聞こえる。
手の中で硬くなっている双子の方割れのモノの熱さに身体を疼かせながら摩擦を送る。
先端からは先走りが溢れ、互いの手を濡らしていた。
最初はぎこちなかった日向の手の動きも、晴日の少しずつ余裕がなくなっていき快楽に歪む顔を見ていれば自然と速くなっていっていた。
「……っ……ぁ、やば……めちゃくちゃ気持ちいい」
晴日が呟いて空いている手を日向に伸ばした。
腰を抱き寄せて唇を塞ぐ。
思わず日向が手を止めてしまうくらいに激しいキスに、唾液が口端からこぼれた。
「ひな……。もうちょい近づいて」
「……え」
促されたのは晴日の脚の上だ。
跨るように座らせられ躊躇っているとそれまでそれぞれ手にしていた日向と晴日の半身がひとまとめに握られた。
「……ハ、ハルっ」
さっきまでとは違う刺激。
敏感な部分が直に触れ合う。
恥ずかしいのに視界に入れば妙に興奮して、そして脈動さえ伝わる熱さに日向は吐息をもらした。
「こっちのほうが気持ちいいと思わへん?」
「……し、しらへんしっ」
見上げてくる晴日に顔を真っ赤にして視線を逸らす日向。
晴日が笑いながら手を動かし始めた。
「ひなも一緒にせえへん?」
離していた日向の手が掴まれ、重なるようにして扱きだす。
「……っ、ん、ハルっ、ちょっとやめっ」
ダイレクトな刺激に頭の中が痺れてしまうのを感じていたら、不意に日向の胸に唇が寄せられた。
真っ平らな胸の先端を晴日が口に含んで舌で転がす。
「やっ……」
女じゃあるまいしそんなところで感じるはずない。
なのによくわからない刺激がむずむずと身体を襲って、下半身にも響いてくる。
羞恥と困惑に晴日にしがみつくと、笑う気配がしたけど構っている余裕もない。
ぐちゃぐちゃと互いの先走りが混じり合って擦られる。
どんどん近づいてくる吐射感に、
「ハル……っ」
と助けを求めるように呼べば一層強く刺激を送られた。
日向は耐え切れずにしがみつく手に力を込めた。
「ひな。一緒、イク?」
ちらりと視線を上げた晴日の潤んだ目が日向を捉える。
日向の脳裏に一瞬過ったのは背徳感。
だけどそれ以上に晴日と一緒に―――と思って、そして素直に気づけば頷いていた。
「可愛すぎ、ひな」
もーまじでやばいな、と晴日は笑って、キスしよ、と唇を触れ合わせた。
舌を絡めあわせながら無意識に日向も手を必死に動かす。
互いの手の温もりを感じながら、互いの半身の熱さを感じて昇りつめて。
「……っあ、も……っハル……ん」
「んっ、ひな……、く……ッ」
ふたりの手の中で膨張する半身がどくどくと脈打ち、そして同時に白濁が弾けた。



***



「だいじょーぶ? ひな」
「……ん」
手を濡らした白濁を拭きとって、吐精の解放感、その余韻のままふたりはベッドに横になっていた。
晴日は日向に腕枕をして、もう片手を腰に添えていた。
その手が戯れるように動いているけどぼうっとしている日向はなにも言わずに晴日を見ていた。
「ほんま、大丈夫? あ、出して眠くなったん?」
「……っ、そんなんやない!」
確かに吐精して脱力感はあるし、独特の倦怠感もある。
だけどいまぼうっとしてしまっているのはそんな理由じゃない。
スッキリとした表情で上機嫌そうな晴日に日向はため息をついた。
「なに、気持ちよくなかったん? んなわけあらへんよな。イったんやし」
「……だから! もう! そういうんやなくて……」
「なに。あ、まさか、後悔とかしてへんよな?」
「……」
「えー、ひな!?」
「……してへん」
罪悪感がないと言えば嘘になる。
でもそれと後悔とは別で。
「……なんか」
「うん?」
「……なんか…………った」
「……ごめん、もう一回言って? "いきなりでびっくりして、恥ずかしくて"っていうのは聞こえたんやけど、最後聞こえへんかった。ひなー?」
「……」
「なに、なんて言うたんー」
顔を覗き込む晴日に日向はこれ以上ないくらいに顔を真っ赤にさせると晴日の耳元に口を寄せた。
―――恥ずかしかったけど……気持ちよかったし……それに、それになんか幸せやった。
早口で一気に日向はそう言うと背を向けた。
少しの間を開けて、
「ひながデレた!」
と晴日が叫ぶ。
「……うるさい! あほ……っ」
言わなきゃよかったと恥ずかしさに身体を丸める日向を背中からギュッと抱きしめ、晴日は弾んだ声で囁いた。
「俺も、いますっげー幸せ」
そう言う晴日の顔がどんな表情をしているかなんて見なくてもわかる。
照れながらも日向はきっと晴日も浮かべているだろう幸せそうな笑みを浮かべた。


【END】


おまけ☆


「よし、じゃあこれから毎日触り合いっこして徐々にレベルあげていこなー、ひな♪」
「……は?! 毎日なんてするわけないやん」
「しようやー」
「せえへん」
「したくなるー」
「ばか!」
不埒な動きをしはじめた晴日の手を抓って、もう寝る、と日向は目を閉じたのだった。
くすくす笑いながら晴日も身体を寄せて目を閉じた。

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