02
私立・藤林学園。
全寮制の男子校。
顔で選ばれているのではないかというくらいに生徒は美形が多い。
俺様、ツンデレ系、わんこ、クール、眼鏡。
腐男子にとっては生BLが見れるんじゃないのかというような夢の場所。
そこにやってきた"王道転校生"。
きっと、"王道生徒会"と出会い、総受けフラグを乱立し、総愛されで、そしてそして―――。
「あ、神楽坂くん。お昼どうする? 食堂案内しようか?」
そう、俺に声をかけてきたのは今日からルームメイトの忍ちん。
とっても美少年ってわけじゃないけど、控え目な雰囲気のかわいい男の子。
ぱっちりした目と長いまつげ、華奢な身体。
気の弱そうな感じで、ちょっとおどおどした感じが可愛い。
ま、正直言えば王道転校生のルームメイトは一匹狼系の不良くんが良かったんだけど。
ま、いっか。
「……ありがと……。ひとりで行くの不安だったんだ」
王道といえばKYなみんな友達なノリの非王道もあるが、俺としては王道も王道が好きだ!
できるだけ目立つことなくスクールライフを送りたい〜的なー。
ほらあれだ、正体を隠し潜入した元族の美形で、ここへは仲間を探しにきたとかさ。
あるあるあるよねー!
俺はそのパターンで行く!
だってKYとかってテンション上げていかなきゃなんないのが、まぁ楽しそうだけど……。
やっぱり根は真面目で、知らないうちにフラグ乱立させていくーとかのほうが楽しそうだし!!!
とりあえずいまから食堂で、生徒会との遭遇イベだよねー!
あああ、俄然やる気出てきた!!!
ずっとポケットに忍ばせている生徒会メンバーの写真を思い出すと顔が緩みそうになってやばい。
「じゃ、行こうか」
可愛い忍ちんが俺に笑いかけるから、俺もとりあえず少しだけ笑って部屋を出た。
無駄に豪華な廊下を歩いて食堂に向かう。
近づいていくにつれ高鳴る俺の胸!
ああ、ビバ王道☆
だけど―――腐男子な俺の夢の王道ドリーム生活が崩れ去るまであと―――……。
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