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転校生がやってきた。
ボサボサの黒髪、瓶底眼鏡。
地味で野暮ったそうな容姿。


まさしく"王道"。

「神楽坂嘉信(カグラザカヨシノブ)です」

と、弱々しい声で彼は名乗った。


「……よろしくお願いします」

僕の目は彼に釘付け。
だって、まさしくガチで王道な転校生を見れる日が来るなんて思ってもみなかった。
しかもここは全寮制の男子校で、ああでも……。


「……よろしくお願いします。朝中忍です」


そして僕も小さな声で返事をした。

夏休みの最後の週、2人部屋に1人で入寮していた僕の新しいルームメイト。
それが王道転校生である神楽坂くんと腐男子で王道大好きの僕の出会いだった。


でもまさか―――あんな"非王道"な毎日を過ごすことになるなんて、夢にも思わなかったけれど。


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