14
「忍ちん、そんなこと関係ねーよ! 俺は忍ちんがルームメイトでまじでよかったって思ってる! だってさ、腐男子と出会えるなんてめったにないじゃん! しかもすっげぇ好みもあうし!! 俺は忍ちんでよかったよ!!」
「……嘉信くん」
僕と嘉信くんはガシッと手を組んだ。
BL小説ならいま"フラグたった!?"な感じなんだろうけど、僕たちの間にたったのはゆるぎない腐男子友情フラグだ。
「これからよろしく、忍ちん!!」
「……うん! 嘉信くん!」
友情を確かめあって、もう一度コーラでカンパイした。
大好きなうす塩味のポテチとプリンを交互に頬張っていると嘉信くんが「忍ちんには話しておくな」って綺麗な顔に満面の笑顔を浮かべた。
「なに?」
「ほらこの学園って結局"王道"じゃないだろ? 王道生徒会もなくってさ」
「うん」
「だからさ。俺、"王道生徒会長"になって、王道生徒会を作ることにしたから!」
「へー! すごー……い?」
テンション上がってる状態だったから流されるように頷いて、ふと止まる。
「嘉信くんが王道生徒会長になるの?」
「そっ! んで、この学園にいる美形のやつらのなかから生徒会役員決めて、生徒会作る!」
「……」
思わずぽかんとする僕に嘉信くんはニヤっと笑う。
「忍ちん、出来ないと思ってるだろ? でも大丈夫。俺に任せて。すっげぇ生徒会作ってやるから! 毎日萌えれるような、な!」
自信満々の嘉信くんに、そういえば"総長"をしてたくらいだから出来るのかもしれない、って思えてきた。
王道転校生としてやってきた嘉信くんが王道生徒会長に―――。
そんなすごい行動力と嘉信くんの美形さに好きになっちゃう子も出てくるかもしれない!
もしかしたらもしかしたら新しい副会長と―――……それか書記か、会計か、ああもういっそ生徒会顧問でもいいんだけど!
とにかく頭の中は妄想一色。
頬が緩んで緩みまくっている僕に嘉信くんは王道生徒会を作るために助っ人を呼んだって教えてくれた。
その人は嘉信くんの幼馴染でチームでは副総長をしていた"涼"っていうひとなんだって。
……幼馴染でどこに行くにも協力し合う親友……。
『王道生徒会を作るために俺の力になってくれ!』
『当たり前だろ、嘉信。俺はお前のためならなんだってやってやるよ』
『涼!!』
抱きしめあう2人―――の妄想に頭の中を占拠されながら、その日はずっとBLのことを話して過ごした。
[
TOP][
しおりを挟む]