07


どういうことだ、どういうことだっつーの!
あの王道生徒会の写真が二年前!
で、今はあの意味わからん軍団が生徒会だってぇ!?
俺の王道転校生による総受けで最終的には俺様生徒会長との純愛ラブストーリーをどうしてくれんだよ!
食堂イベントはどうした!
俺様会長にみんなの前でちゅーされて阿鼻叫喚!
親衛隊の制裁対象にのぼっちゃうっつー展開はどうしたぁあああ!!
イライラしながら食堂を出て急いで部屋に戻ると電話をかけた。
相手はもちろん―――。


『はーい、ヨシくん? どうしたのー? さっそく面白いフラグたったぁ?』

間延びした女の声にイライラが増す。


「……立つかこのバカやろー!!! お前、だましたなああああ!?」
『ヨシくん? お姉さまに向かってバカやろうなんてないでしょう?』
「ばかやろーだからばかやろーだろ! 俺様生徒会長なんていなかったぞ! 王道生徒会なんてなかったぞ!!! どうしてくれんだ、ゴラァ!!!」


王道なんてもん全寮制の山の中の学校ってくらいしかねーじゃねぇか!!!


『もう嘉信ったら。まだ俺様ドS総長だったときのクセが抜けてないのねぇ。もうそのキャラ古いんだからさっさと忘れなさい』

怒鳴った俺に女、もとい実姉の揚羽(アゲハ)はため息をついてくる。


「うっせぇ!!! 王道転校生は"訳ありの身元を隠した元族長"っつー設定だろうが!!!」
『そうだったわねー。忘れてたわ』
「忘れてたじゃねーだろー!!! それにテメェ絶対知ってただろ、王道生徒会が二年前のモンだって!!!」
『ヨシ、うるさい』


突然その声が冷え切って黙る。


『確かにあの写真の王道生徒会は二年前のよ。確かに"二年前"のとは言わなかったけど、あんただってちゃんと話し聞かなかったでしょ。王道生徒会に全寮制の藤林、そのワードだけで転入決めたのはあんたでしょ』
「……それはそうだけど」
『けどじゃない!!』


渇が飛んできて思わずケータイ落としそうになる。
やたら耳に響く揚羽のバカでかい声にケータイを少し耳から離した。


『王道生徒会がいないからってなによ! 全寮制の隔離された男子校というだけですごいことなのよ!?』
「そりゃそーだけど。でも王道生徒会が」
『ヨシ、あんたそこに行く前はなにしてたのよ』
「なにって」
『あんたはこっちにいたとき"なに"だったのよ!』
「……俺は"俺様クールSなメンバーからは信頼厚く敵からは畏怖され女からはモテモテの―――王道総長"」
『そうよ! あんたはやればできる子! 王道生徒会がないのがなによ! なければ作ればいいだけの話でしょ!?』
「作る……」
『龍王風だってあんたが作りあげたものなのよ! 王道生徒会だって王道学園だって、あんたさえその気になれば出来ないわけないわ!!!』
「俺が作る」
『そうよ、ヨシ! あんたなら作れる、なれる!』
「そうだ……! 俺ならできる……!!! 俺なら!!!」


血が沸き立つような感覚。
久しぶりにたぎる!!!!
そうだ、俺なら!!!


「"元族超の超俺様生徒会長"になれる!!!」
『そうよ、ヨシ!』
「そんでもって王道生徒会を作ってやる!!!!」
『ファイトよ、ヨシ!!!』
「っしゃああああ!!!!」


さっきまでの苛立ちは吹き飛んで、俺の頭の中はバラ色だ!




「俺は王道学園を作る男だ!!!」


拳を握りしめ天井高く突きあげ、叫んだのだった。



***



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