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06


【チーム龍王風にて】


埠頭の倉庫の一つの前にバイクを停めた。
ちょうど飯時の太陽が真上にある時間帯。
倉庫の扉は明け放されていて中に入るとオイルの匂いにまざって食いものの匂いが充満していた。
俺が足を踏み入れると一斉に視線が向く。
そして一斉に立ち上がって頭を下げてくる。

「ちーっす!! 涼さん、おつかれさまでっす!!」

威勢がいい男たちはカラフルな頭をしたザ・ヤンキーといって過言じゃない。
所狭しと並べられた改造しまくってるバイクの傍らでみんなは俺に向かって挨拶をしてくる。

「よー。相変わらずむさっくるしーなぁ? 男ばっかりつるんでねーで、たまには女遊びもしろよぉ?」

語尾を下げながらダルそうな調子でニヤリと笑えば頭を下げていたヤンキーにいちゃんたちが強面の顔をへらり緩めた。

「涼さんみたいに俺らモテませんからー」
「そういや昨日はあのあとどうされたんですか!? アイが―――」
「俺の女友達いつも涼さんのことばっかり話すんですよー。涼さんモテていいなー」
「あんまりヤりすぎて腰傷めないでくださいよ!」

口々に飛んでくる野次だかなんだかに「へいへい」と笑いながら手を振って歩みを進める。
倉庫は二階建になっている。
厳密に言えば倉庫に中二階を作っている、というだけだ。
広い倉庫、高い天井。
それを利用して"リフォーム"され、階段を登れば"幹部"しか入れない部屋がある。

「あ、涼さん」

またあとでなと"下っ端"メンバーに言って上っていると後ろから呼び止められる。

「どうしたぁ、翔?」

金色のツンツンヘアーの翔は幹部候補生。
青のカラコンを入れた目を俺に向けて、少し難しい顔をしていた。
翔がどうしてそんな顔してるか察しはつく。

「あの……総長のことなんですけど…」

"総長"―――この"チーム・龍王風"のいま不在のトップ。

「……あー、心配すんなって。ちょっと野暮用なだけだからさ。まー、ひょっこりそのうち帰ってくるさ」

へらへらとしながら適当装って言いながらポンと翔の肩をたたく。
翔は顔を歪めたけどすぐに「そうっすね」と小さく笑う。
作り笑顔ってことは見てわかるから、大丈夫だ、ともう二三度肩を叩いて今度こそ二階に上った。
ドアを開け"幹部室"に入り―――ため息が出た。
倉庫とは思えない広い部屋。ソファに大型テレビにたくさんのゲームに、そして社長かよって感じの執務机。
壁にはチームの名前が入った旗、時代錯誤甚だしい特攻服。

「ため息ついちゃうと幸せが逃げるよーん」

顔も上げずに言ったのはソファに寝転んで漫画を読んでいる潤。
ミルクティーブラウンの髪に女としか見えない美少年。

「まったくだ……」

相槌を打ったのはパソコンに向かってキーボードを連打している津ケ谷圭人。
銀フレームの眼鏡に冷徹そうな面立ち。プラス美形。
ふたりは"幹部"で、

「それでー、涼ちーん。ヨシくんから連絡あったぁ?」

"エロフェロモン漂う美形"らしい俺はこのチームの副総長だ。

「……」

俺はもう一度ため息をついてのんきな声を上げた潤の傍に座った。

「連絡は―――……」

龍王風を作り一代にして"最強のチーム"と言わしめるほどに成長させたトップ・総長―――ヨシ、神楽坂嘉信。
ヨシがチームを"突然"去ってもう3週間が経とうとしていた。

きっと倉庫の一階にいるメンバーは"行方をくらました"ヨシの心配をしてる。
一応野暮用とは言っているけれどある日突然、泣きそうな笑顔で―――
『みんな、ごめんな』
と去っていったアイツ。

「ヨシから連絡は―――」

潤がページをめくる音、圭人がパソコンを叩く音、そして俺がヨシのことを話そうとした瞬間、ケータイが鳴りだした。
その音にびくり、と俺たち三人は動きを止める。
鳴り響く着信音は―――あいつ専用の、曲。

俺はケータイを取り出して、ふたりの視線を感じながら受話ボタンを押した。



***

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