媚薬なHONEY☆おまけA


「……べ、べつに」
「へー、別に?」
「……」

視線をさっと逸らす修悟に一歩二歩と近づき距離をなくしていくと、その分距離を置こうとする修悟。

「捺も昔はずいぶん遊んでたみたいだし、優斗さんもキスうまそうだし、な?」
「な、って何がだよ」
「思わず勃たせるほど良かったんだ?」
「勃たせてねぇ!!」
「優斗さんに睨まれてたくせに」
「……うっ」
「修悟」
「な、なんだよッ」

煙草を消して修悟の腕をつかむと、一層修悟は顔を強張らせた。

「お仕置きな?」
「はぁ!?」
「友達にキスされて勃たせるとかあり得ない」
「はぁあああ!? ふざけんな! 俺は間違えられただけだろ! 不可抗力だろ!!! だ、だいたい、別に俺はわざと勃たせたわけじゃねーだろ! あのボケがむかつくことに妙に上手いからだか―――……ッ、う、ンッ」

焦ったようにいい訳しはじめる修悟と一気に間合いをつめて、朱理はその口を噛みつくようにして塞いだ。
確かに捺と修悟のキスは不可抗力でしかなく、本人たちにとっても忘れたいものになるだろう。
だけどあのとき不快になったのは優斗だけじゃない。
修悟の咥内に舌をねじ込み、荒らす。
引き離そうとする修悟の腰を抱え込み蹂躙していけば、しばらくして力が抜けていった。
いつ誰が通るともわからない裏路地に唾液の交わる音が静かに響く。
絡みついてくる舌を甘噛みすれば、し返され、吸い吸われて、夜の街の一角だということもどうでもいいというくらいにキスに没頭した。
そして修悟の息があがったくらいにキスは終わったが、密着した身体の一部の硬い感触に朱理は目を眇めた。

「どっちがよかった?」
「はぁ!?」
「修悟」
「お前は……バカか!」

呆れたように修悟がため息をついて身体を離す。

「本気で訊いてるんだけど」

そこまで捺に対抗意識を抱いたわけでもない―――が、それでも優斗があのとき"わざと"キスした気持ちはわかる。
とどのつまり、やはり対抗意識になるわけだが。

「……ッたく」

忌々しそうに舌打ちした修悟は朱理を見ると深いため息をついて背を向けた。

「いいからホテル行くぞ」

―――その気にさせたんだから責任とれよな。
と、続く言葉に朱理はうなずくかわりに肩を並べ歩き出す。

「じゃあ答えはホテルで」
「……アホ」

呆れたように呟く修悟は、答えなんてわかりきっているとでも言いたそうな横顔をしていた。
朱理はふっと口角を上げ―――

「お仕置きプレイどんなのにするか決めなきゃな」

と、いつものように冷静な口調で修悟に告げて。

「…………はぁ!?」

明るいネオンの街並みに、なんで俺が!!、と修悟の悲鳴じみた絶叫があがったのだった。



*おまけ☆おわり*

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