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「ッ、ぁっ、ン、っッ」

でもすぐに俺の意識は後孔に挿ってくるモノにすべて持って行かれる。

「イ……ッ」
強烈すぎる圧迫感。
肉を裂かれるような痛み。
思わず息を止めて全身を強張らせる。

「力抜かないと裂けちゃうよ? まぁ痛いくらいが思い出には残るかもしれないけどね」

顔を歪めている俺を気にも留めず笑いながら言った智紀さんは萎えてしまった俺のを掌でつつみこんだ。
痛みのなかに微かな刺激が混ざる。

「ほら、こっちに意識集中させて、息吐いて」

掌全体でゆっくりと上下させ摩擦をしてくる。
言われたとおりになんとか身体から力を抜こうとするけどそう簡単にはいかない。
前からの刺激に囚われかけては、後孔を押し広げてくる硬いものに囚われかけて。
痛いのかそうでないのか交互に押し寄せてくる異なる波に頭が朦朧としてくる。
次第に痛みは熱に置き換えられて鈍くなってきたが、排泄器官を侵される違和感は消えない。

「あと少し」
「……っ……ぁ、ぁ……っ」

容赦なく智紀さんは腰を進めてきた。
一秒一秒が長く感じる。
ぐちゅぐちゅと前を扱かれるたびに水音が響くから、俺は確かに快感を得てはいるんだろう。
快楽と苦しさ。
どっちつかずの状態があとどれくらい続くのかさえわからなくてきつく目を閉じた。
現実逃避をしたくて明日のことを考えようとしたけど、なにも浮かんでこない。

「千裕」

呻きなのか喘ぎなのかわからない声をみっともなく上げてどれくらいだろう。

「根元まで挿ったよ?」

グッと俺のモノをきつく掴まれ、そして智紀さんのモノを咥えこんだ後孔のふちを指でなぞられた。

「痛い?」
「っ……熱い……です」

へぇ、そうなんだ、と目を細める智紀さん。
からかうような眼差しを正面から受けれない。
顔を背けて、動くことなく俺の中に挿ったままのモノの存在を感じる。
本当にしてしまったんだ、と実感する。

「ねぇ、千裕。どっちがいい? とりあえず前、弄る? それとも動いていい? それかキスでもする?」

どれがいい、と訊かれても返事なんて出てこない。
そもそもこの人は俺の答えを必要としてるんだろうか。

「……好きに……動いてください」

ぽつりとそう言えば、小さく笑う声が響いて体重がのしかかってきた。
自然と俺の腰が持ち上げられるように浮き、根元まで挿ったはずのものがもっと深く食い込んできたような気がした。

「……っあ」
「千裕、拗ねないの。ほら、こっち向きな」

拗ねてなんてない。
眉を寄せながらわずかに視線を向けると頬に手が触れ、正面を向かされた。
目前に迫る智紀さんの整った顔。

「口開けて」

やっぱり、目が合うとダメだ。
真意がしれない、とどこかで思っているのに、見つめられるとわからなくなる。
流されてしまう。
俺の意志に反して―――いや、反してないのか、言われるままに俺はほんの少し口を開いて―――食むように智紀さんが唇をふれ合わせてきた。

「……ンっ……」

舌が入り込んできて咥内を這いまわる。
粘膜をくすぐり、舌に絡みつかれてくる動きに、すっかり慣らされてしまった俺は俺の意志で舌を絡みつかせた。



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