10 −非日常という現実−



長いキスを交わして、でもなかなかさっきまでのように触れてくれないから俺から触れながら身体を絡み合わせて、啓介さんの身体に跨った。
そして自分で脚広げて見せつけるように後孔に指を突っ込んで水音をたてながらほぐした。
「……陽、いつもそんなにいやらしいのか?」
「だって啓介が触ってくれないからだろ」
呼び捨てでいいって言われたからか気づいたらタメ口になってたけど啓介さんは何も言わないし、俺は焦らされすぎて思考力が低下していた。
「……早く挿れてくれよ」
なんとなく、啓介さんとは身体の相性がいいんじゃないかって気がする。
触れられるたびにいままでなかったくらい身体の芯から疼くから。
がっつくんじゃなかったの、と言えば可笑しそうに啓介さんが笑って俺の腕を引いた。
啓介さんの胸に倒れ込みまたキスされて身体の位置を入れ替えられる。
そして、脚を広げられ後孔に硬いものが宛がわれた。
「……陽」
ぐ、と先端が挿りこんでくる。
押し広げられる圧迫感に眉を寄せ、でも辛いだけじゃない吐息をこぼしていると。
「―――」
啓介さんがなにか、呟いた。
だけど聞きとれないまま啓介さんの半身がゆっくりと後孔にうまってきて、俺の意識は全部そこへと持っていかれた。








呆然と、"父親"を見下ろす。
事故にあったっていう話だけれど顔はそんなに傷ついていなく、37歳には到底見えないいまにも目を覚ましそうな顔で目を閉じていた。

―――俺は地獄に堕ちるかもしれないな。

そう、"啓介さん"が言ったのは、いつだったっけ。


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