はるひな〜腐男子くんの場合〜


【以上をもちまして午前の競技は終了しました―――】

放送部のアナウンスが流れだして一斉に昼休憩に入る。
よく晴れた秋空の日曜日の今日は体育大会だ。
俺の名前は潮崎良雄。みんなからはよっちんと呼ばれてる!
ちなみに俺はつい先日この高校に転校してきたばっかりで友達がいない!
というわけでよっちんと呼ぶのは前の学校の友人で、現時点この高校で呼ぶものはいない!
というわけで俺はひっそりと校舎の片隅で弁当を広げていた。
ぼっちだけど別に寂しくはない!
スマホでブクマしてるサイトを見る。更新チェックだ。
見るのは主にBLサイト。
そう俺は腐男子だ!
だからぼっちで片隅でスマホいじってるほうが気が楽だ。
だって顔ニヤニヤしまくってるからなー。
お気に入りサイトが更新されてて午前中の疲れもぶっ飛ぶテンションでニヤケて更新分を読む。
うおおおお!と心の中で叫んでいると、

「この辺でええんちゃう?」

声と足音が聞こえてきた。
そっと壁から覗くと―――なんてことだろう!
同じクラスの眼鏡くんとそしてなんとその双子の片割れ(そしてこれまた眼鏡)ふたりが床に腰を下ろすところだった。
双子!
しかも眼鏡!
これを萌えずになんとしようか!!
晴日と日向という名前らしい双子。
同じ"日"が入ってるところに双子っぽさを感じるよね!
うあー、双子揃うとマジ威力がでかい。
写メ撮りたい、写メ!
男の体操服姿なんてどうでもいいが(俺別にゲイじゃないし)ふたり男揃うと萌えになるから不思議だ!
ハーフパンツに白いシャツいいねー!
あーもう双子マジ天使!
写メとりたいよー!
くそうだがシャッター音鳴るな。
歯切りししながら様子をうかがっていると、ふたりは午前中の競技について話ながらお弁当を食べだした。

「はい、ひな。アーン」
「は?! いややわ、恥ずかしい!」
「なんで。誰もいいひんしいいやん」
「でも…!」

――アーン!?

俺と同じクラスの晴日が日向に笑顔で卵焼きを差し出してる。
それを日向は躊躇ったように慌てて――って、オイクソ可愛いんだけど!!!!
手に持っていたスマホからツイッターにログイン。
俺の視界は双子にロックオンのまま、片手で高速で文字を打つ。

【双子萌え! アーンで食べさせようとしてる! やべぇ!!! hshs】

ツイートしつつ見ていると、

「ほら、ひな。早よ食べへんと俺食べられへんやん」
「じゃあハルが食べればええやん」
「俺はひなに食べさせたいん! ほら、早く! あーん?」
「……っ」

晴日の押しに仕方なさそうに照れくさそうにしながら日向はしぶしぶ口を開けていた。
もぐもぐ食う日向に「美味しい?」って晴日が楽しそうに顔覗き込んでて、「うん」って頷く日向に「俺も食べたい。食べさせて」って口を大きくあける晴日に日向が「え、自分で食べぇや」「なんでぇ?!ひなー!」って甘えるように晴日がねだって、結局「仕方ないなぁ・・・」ってやっぱり照れくさそうにしながらも食べさせてあげる日向に晴日が「うまい。ひなが食べさせてくれたから何倍も美味しい」なんて言って、「あほ!」ってやっぱり日向が照れていて―――。

って、リア充爆発しろ!!!!!!!!!!
と心の中で叫んだ。
イヤ嘘です、嘘じゃないけど嘘です。
羨ましいっていうかリア充め!っていうのは嬉しさあまり萌えあまりの暴言です!
なにこの双子、俺を萌え殺す気なのかオイ。
モエコロなのか。モエコロ。

「あ。ひな。ご飯粒ついてる」
「どこ?」
「ここ」

晴日が口元を指し示す。
日向がご飯粒を取ろうとしたら、

「ちょお待って。俺が取る」

そう晴日が制した。
日向が頷く間もなく晴日が顔を近づけた。
え、なんで顔近づけんの。
っていうのは俺の心の声だが、日向も同じに違いない!
だってギョッとしたような顔して目をきょろきょろ泳がせまくっている!
おおおおい、晴日くんお前はいったいなにを。
ま、ま、ま、まさかこんな校舎内で、口で取っちゃうなんていうハレンチなことをするつもりじゃあるいまいな!
そ、そんな君たちは双子だぞ!
世間がそんなハレンチなのは許さんぞ!
もちろん俺は許すが!!!
とりあえず俺は目を最大限に見開いて心臓バクバクしつつ双子を凝視。
焦らすように晴日が顔を近づけて、日向は思わず目をつぶってて、俺はもちろんガン見で――米粒が取られた。
普通に、晴日が指で取って、食べた。

「……」
「……」

俺の今の気持ちをなんと表現すべきか。
晴日、てめぇ俺の純情を返せコノヤロォオオオ!
どれだけ俺が胸キュン待機してたと思ってんだよ、ばかやろうおおおお!
日向だって、え、みたいなきょとんとした顔してんじゃねええか!
くっそぼけもうもう! 可愛いなチキショー!

「どうしたん、ひな。なんか期待したん?」
「は!?」

――しかも、確信犯!

ニヤニヤしてる晴日に日向は顔を真っ赤にさせて晴日を睨んでる。
だけど日向の睨みなんて全然効いてない気にしてない様子で、

「ひな」
「なにぃ?」

晴日は笑いながらごく自然に、あっという間に、気が抜けてた俺の目の前で、あっさりと日向にキスした。

「……」

キスです。
接吻です。
口づけです。
もちろんまうすとぅーまうすです。
え。

「うわっ、なにすんの、ハル!!」

顔を真っ赤にさせた日向が口押さえてうろたえている。

「ひながキスしてほしそうにしてたからやん」
「してへん!」
「続きは家に帰ってからやなー」
「はぁ!? っ、ばかハル!」

ニヤニヤニヤニヤしてる晴日と、完熟トマトのように顔を赤くして怒っているけど、照れてるっぽい日向。
え。
双子、双子がキス。
双子=近親相姦。
え、なにこれ現実。
続きって、え、なにそれ。

「もう! いいから早よ食ってみんなのところ戻んで!」
「はいはーい」

二人のやりとりなんてもう耳には入ってこず、俺は――真っ白な灰になったのです。


***


「あー! 潮崎、お前こんなとこに居たんか! もう午後の競技はじまんで!」

屍と化していた俺の肩が揺さぶられ、俺はようやく現世へと意識を取り戻した。

「……峰岸」
「おお! お前探したで。どこにもいいひんし。ほら、戻んで」
「峰岸……」
「な、なんやの」

クラスメイトで、わざわざ俺を呼びに来てくれたらしい峰岸の腕を俺は掴んだ。
もうとっくに双子はいなくて俺は心の底から湧きあがってくるマグマのような熱いものに堪らず叫んだ。

「お、お、俺は!!! 双子を見守り隊隊長に就任するうううー!!!!」
「……は?」

ぽかんと呆け「やっぱ潮崎って変」と呟く峰岸なんて視界に入らず、双子でリアル近親相姦なんて茨の道だけども、この俺が末長く見守りつづけることを心に誓った!!

神様! あの二人に幸あらんことを!
そして、そして――

またあの二人のイチャラブ萌えを俺に下さい!!!


【はるひな〜腐男子くんの場合:END】


腐女子腐男子ってこんなかんじだよね!?
だよね!?と思いながら書いた自己満w
潮崎くんは勝手に私が作りましたwwwww
京都訳してもらって価値がでる!


雪檸檬さま【lemon cide
あわりさま【Reverb

 

TOP][しおりを挟む]