新年カンパイ!? 02
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パンパンと柏手を打ち拝礼してから守たちはおみくじを引きに行った。
「リュートはなにお祈りしたの?」
「……無病息災」
「へー。俺はね、今年も一年みんなで笑っていられますように! と、あとリュートといちゃいちゃできますように!」
「……バカ」
「あ、リュート。おみくじおみくじ!」
棒のおみくじをそれぞれ引いていく。
「なんだった?」
「大吉」
「いいなぁ」
「なんだよ」
「俺、吉」
「……」
リュートはそのままおみくじを財布にしまい、守は木の枝にくくりつけて境内をあとにする。
神社周辺には露店もわずかだが出ていて賑わっていた。
「なんか食う?」
「別に」
「あ! フランクフルト! すっげぇでっけー! あれ買おうよ! 美味しそうだよ」
リュートの答えも待たずに守は露店へと走りだしていく。
その後ろ姿を呆れながらも少し笑ってリュートも後を追った。
「熱そー!」
早速守が買ったフランクフルトは普通のよりも大きいものだ。
露店ののれんを見ればジャンボフランクフルトと書いてあった。
「いただきまーす!」
通行の邪魔にならないよう道端に寄ってかぶりつく守は頬を膨らませて満面の笑顔を浮かべる。
「うまい! なんだろう、やっぱ露店で買うのって妙にうまい気がするんだよな」
「……普通だろ」
「はい、リュート。あーん」
「は!?」
「あーん」
にこにこ笑う守に仕方なくリュートは口を開けた。
「美味しい!?」
「……ッ、あつ……ッ、んっ、ちょ……っでか……っ、ん……っ」
涙目になってジャンボフランクフルトを頬張ろうとしたが、その熱さに結局食べるとこができずに口を押さえるリュート。
「これ熱すぎだろ! 守、お前よくこんなのすぐ食えたな……っ、な、なに!?」
俺は無理、と守を見上げたら、何故か息が荒くなってる守がガシッと肩を掴んで顔を寄せてくる。
「は……!? お前、なっ!? ばか!! 人目考えろッ!」
突然キスしてきようとしてきた守を再びリュートは巾着で応戦した。
「……ってぇ。ひどいよ、リュート」
ちょうど頬にぶつかってしまい押さえながら守がうなだれる。
「ひどいもなにも、こんなところでなにしようとしてんだよ、お前は!」
「だって……リュートが目潤ませて"熱くてでかくて咥えきれない"とか言うから」
「……お前、いっぺん死んで来い!! だれがなに咥えッ……!! ばか!!」
幻聴にもほどがある!!
と顔をこれ以上ないくらい赤くさせリュートは顔だけじゃなく身体ごと守に背を向けた。
「……ごめん。でも……リュートすっげぇいい匂いするし、すっげぇ綺麗だし……、なんか色っぽいし、可愛いし、フランクフルト咥えそこなうし……可愛いし……俺ムラムラして……」
「……」
「……」
「……ごめんなさい」
半泣きくらいの声が響いてきてリュートは深いため息をついて振り返る。
「ったく、バカすぎだろ」
「……だってチューしたいし……ベタベタしたい。リュートは?」
「……っ」
袖を掴まれてうかがうように見つめてくる姿は大型犬がはしゃぎすぎて怒られて耳を垂らしてる姿のように見えて、もう一度リュートはため息をついた。
「……べつに……したくないわけじゃないけど……。俺が言いたいのは時と場所を考えろっていうことだ……。だから……」
「じゃあ、ここじゃなきゃいいんだよね!」
「へ? そうだけど……」
「じゃあ、ココ行こう!! ネイトから割引券貰ってさ!」
そう言って守が取りだしたのはラブホテルの割引券だった。
「……」
「ちょっと待ってて、これ食っちまうから!」
「……」
固まるリュートの前で、守は一気にフランクフルトを食べてしまうとリュートの手を握った。
「場所変えてイチャイチャしまくろう!」
「……は? え、ちょっと」
いまから!?
焦るリュートを気にもせず守は気がはやるのか、わざわざタクシーを止めて"ラブホテル"へと向かった。




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