祈れよ大望果たせよ宿望絶対輿望を掴み取れ



「……やあ、黒子」
「おはようございます。赤司君」
「うん、おはよう」
「早速ですが、そこをどいてくれませんか」
「駄目だ」
「どうしてですか、と私に聞いて欲しいんですか?」
「そういうつもりでもないんだけど、ちょっと、今は、……不味いんだ、お前的に」
「私的に?」
「だから、ちょっとでいいからこのままここにいてくれ。本当にちょっとでいいから後で直ぐに中に入れるから、今はちょっと」
「赤司君」
「何だ?」
「この場で私の一撃必殺渾身のラリアットを喰らうのと素直にそこを退くのとどっちがいいですか?一択で」
「どう考えても後者なんだけどだからどうしてお前は直ぐに身体に言い聞かせるようなことを率先してやっちゃおうとするのかな僕はそこを問い質したいできるなら正座でお前にも座ってもらって一時間でも二時間でもかかっていいから真剣に話をしたいと思うよ今直ぐに」
「……身体に言い聞かせるとか、やっぱり赤司君、むっつりなんですね、君」
「だからどうして僕がそういう変態みたいなことを言われなきゃいけないのかなあああ!!!?」
「いいから退いてくださいよ」
「ちっとも良くないよ!この場合僕が!」
「君がむっつりだろうとオープンだろうと私には一切関係ないですが、その性癖をもし万が一にでも黄瀬君に向けようものなら私は君のち○こを素手で握り潰すことも厭いませんが如何ですか。大丈夫、痛いのは一瞬です。多分」
「一瞬なわけないと思うのは僕だけかな!?っていうかそこ聞かれても僕はノーマルだから!黄瀬は僕らの大切なチームメイトで!それでお前の恋人だろう!」
「そう言われると照れますね」
「全く顔色変わってないけどね!照れてるの!?」
「照れてますよ。ほら、顔赤いでしょう」
「(全然変わってないんだけど……)そう、だな」
「そんなことよりも赤司君、大変ですよ」
「何がだい?」
「ここまで私と君の会話だけで終わってますよ」
「全くだね!!でもそれ僕の所為じゃないからね!」
「君の所為でしょう」
「黒子、泣いてもいいかな」
「君の涙なんて私には一ミリの価値もないですよ。常に体育館の外に蔓延っている君の自称ファンの皆さんならそれこそ血眼になって大喜びするでしょうけど。全く趣味悪いですよね」
「半分から最後の方の情報は言わない方が良かったなあ。大丈夫、僕は何も聞いてない」
「そうですか。良かったですね。で、退いてください」
「全然全く良くないけどね!そう言いながらさり気無く僕を押しやろうとしないでくれないかなこれでも僕も一応男なんでそう簡単に動かされるとか僕の矜持が」
「なんならこの場で君をお姫様抱っこして『赤司君は羽の様に軽いね』って気障に演出してあげましょうか。嫌ですが。黄瀬君でなら喜んでやりますけど」
「それは僕も全力で遠慮するから!やめて!」
「冗談ですよ」
「全く冗談に聞こえなかったよね」
「そうですか?私の演技力も中々ですね」
「(完璧な無表情のままで淡々と話されることに演技力も何もあったもんじゃないんだけど)……」
「何です?」
「何でもないよ。さ、そろそろ入っていいよ。待たせて悪かったね」
「結局何なんだったんですか?」
「それは、うん、ちょっと準備ができて無かったんていうか」
「何の準備で、」

「黒子っちーっ!」

ぐるん、と恐ろしい早さで黒子の顔が呼ばれた方角を正しく向いた。
ちょっと、ホラーを演出したみたいで怖かったなんて、思ってない、と赤司は同じように振り返った先を確認してその場にくず折れることになる。

「きっ、き、せく、」
「黒子っち、おはようっスー!」

上手く言葉が繋げられない黒子の気持ちが手に取る様に分かる。うん、だよね。僕も最初見たときそう思ったよ。だから、だからこそ黒子が来る前に外しておけ、とあんなに言ったというのに……!

「何のための時間稼ぎか!!!」
「しょーがねーだろ、赤司」

ポン、と肩を叩かれて顔を上げればしたり顔の青峰がいる。

「どーせ朝練の後に直ぐに戻すだろうし。黄瀬っつーより緑間が。それなら最初からつけてよーが外してよーがあんまり変わんなくね?」
「青峰」
「あん?」
「お前、放課後の練習前にグラウンド三〇周」
「ひどくね!?」

俺の所為じゃねえし!?と叫ぶ青峰に完璧な八つ当たりをしてしまった自覚が多少ある赤司はすまない、と心の中で謝った。あくまで心の中で。
今はまず目の前でこれから起きるかもしれない惨劇をなんとか食い止める作業が先だ。いざとなったら後ろのガングロを盾に使うしかない。

「き、きせくん?」
「なんスか?」
「そ、その、あたまの……」
「頭の?」
「み、みみ、は……?」
「あ、コレっスかー?」

ふよん、ふよん、と黄瀬が頭を動かす度に黄瀬の頭の上でそれが小さく揺れているのが良く見える。

「犬耳っスー!」

そうだけど、そうじゃないよね。
朝一番で見たときにそう思ったことをまたもう一度繰り返すことになるとは思わなかった赤司である。

「ど、どうして、そんな、」
「あ、あのね、コレ俺の今日のラッキーアイテムなんス。緑間っちが貸してくれたの。なんでも今日の俺の運勢はラッキーアイテムがあれば万事OK!なんだけど、無いと全くツイてないブルーな一日になっちゃうっておは朝で言ってたんだって。で、それを見た緑間っちが朝一に俺のとこに持って来てくれたんスよ」

似合う?と膝を屈めて黒子の視線に合わせた上で小首をちょっと傾げてみせた黄瀬のあざとさ全開ポーズ(しかし天然)に黒子の中の黒子が大変なことになりそうである。

「そ、そういうことですか。 ええ、とても。ものすごく素晴らしくあまりの輝きに目が焦げて落ちそうなくらいきっとこの世の誰よりも似合っていると思いますよ」
「ええ、それは褒めすぎっスよ、黒子っちー」

テレテレと頬を染めて可愛らしく笑いながら頬を指先で掻く黄瀬の姿に、これだよ。これが照れている図なんだよ、黒子、と言いたい。
だけど言わない赤司はちゃんと空気を読んでいる。

「黄瀬、タオルを忘れているぞ」
「あ、緑間っち、ありがとっス!」

更衣室から出てきていた緑間が黄瀬のタオルを持って後ろに立っていた。笑顔で受け取っている黄瀬は動作の度に頭の上の垂れた耳がほよんほよんと動いていて本当にもう眼福っていうか萌死する人間がバタバタ出そうな勢いである。
そして、タオルを手渡している緑間の頭の上にも、やっぱり耳があった。

「ちょっといいですか、緑間君」
「何だ、黒子」
「黄瀬君にあえての犬耳。しかもマメシバ的なたれわんこ耳をチョイスしたところは尊敬に値します良くやったグッジョブ。歩く度に動くたれ耳を完璧に再現させているこのカチューシャを作った製作者には分かっていると両肩を掴んで褒め称えたいところですが、ええ、言いたいところはそこではなくてですね、どうして君まで耳を、しかも猫耳をつけているのか聞かせてください。ペアルックか。黄瀬君とペアルックを狙っているんですかこの野郎羨ましい妬ましい。黄瀬君のデレデレわんこに対してツンツンにゃんこを演出ですか似合っているのが余計に憎いですねこんちくしょう嫌みか」
「そんな訳がないだろう馬鹿め。これは計算だ」
「なんの計算ですか」

「黄瀬、ちょっとおいで」
「赤司っち?なんスか?」
「今黒子と緑間は大事な話をしているからこっちに来てような」
「? はいっス!」

黒子と緑間の間で頭の上に?マークをいくつも飛ばしていた黄瀬を急いで手招く。素直にこちらにやってきた黄瀬によしよしと構い倒したい気持ちを押さえこんでいた赤司だが、青峰はそんな赤司をおいてちゃっかり黄瀬を構い始めた。

「黄瀬ぇ、お前犬耳すげー似合うな」
「ひゃー!青峰っち、そこはくすぐったいっスー!」
「ん?どこだ?」
「わわ、セットが崩れるから頭ぐしゃぐしゃにするのナシっスよ!」

きゃんきゃんと賑やかな黄瀬と笑いながら黄瀬を構う青峰の図が、いつの間にか赤司の傍に立っていた桃井の手によってしっかりと収められているのは言うまでもない。

「桃井、そのビデオ」
「部費で買ったヤツじゃないから大丈夫だよー私のだから!」
「そうか。ならいい」
「うん! よっし、いいよー青峰君!そのままきーちゃんのこと抱き締めるみたいにホールドしてくれると私の次の新刊に大いに役立つからもっとやって!むしろヤって!とことんヤって!」
「……」

何が大丈夫なのか分からないが、うちのマネージャー達は今日も元気な様で良かったと思うことにしておこう。
心の安定のために。
――でもあっちはあっちで賑やかそうで本当に朝から頭痛がひどいです。

「――黒子。では聞くがもし黄瀬ひとりがあのラッキーアイテムを付けて歩いていたらお前はどうする」
「可及的速やかに光の速さでかっ攫います」
「攫うな馬鹿め。いいか、お前でそこまでなんだ。他の有象無象の連中が黄瀬を見てそう思わないでいられる根拠はどこにもない。だが、あいつ一人ではなく、俺もこれを付けて二人でいればどうだ。何かの罰ゲームかそれに近い何か、または宣伝か、くらいに思われるだろう」
「確かに。黄瀬君ひとりではただの可愛い天使なわんこがうっかり地上に間違って落ちてきてしまって帰り道が分からずに泣いて困っていると思うところですが、隣に似合っているけれどどこか可笑しい、似合うからこそ可笑しい君がいることによって黄瀬君の犬耳のカモフラージュができると、そういうことですね」
「後半が全く要らん説明だが大まかに言えばそうだ。そのために俺は朝から黄瀬を迎えに行ったのだからな」
「黄瀬君同伴で登校なんてどこのカレカノですか緑間君。ホンモノの彼女を差し置いて何してくれちゃっているんです」
「ふん、おは朝を見ていないお前には到底できる芸当ではないのだよ」
「このエロメガネ豆腐の頭に角ぶつけてしまえばいいのに。……しかし君に負けた様でもの凄く不本意ですが、あのチョイスは素晴らしいです」
「ふん、俺は人事は尽くす」
「人事万歳」
「当然なのだよ」

何故か意気投合している黒子と緑間は同じタイミングで頷いて黄瀬を眺めていた。
その黄瀬の姿はどこからどう見ても可愛いわんこである。普段想像の中でしかついてない耳が現実にしっかりとついてしまっているときの破壊力の姿を皆身をもって体験してしまった。

「あれ〜、黄瀬ちん、今日はなんか可愛いね〜」
「紫原っちー!」

きゃー!と叫びながら黄瀬が紫原に抱き付いている。それを軽々と受け止めた紫原は黄瀬の頭の上の犬耳に鼻を寄せて匂いを嗅ぐような仕草をした。

「黄瀬ちん、今日はわんこなの?」
「ふへへ、今日の俺はわんこっス!」
「んー、じゃあ、はい」
「?」

紫原が黄瀬の前に差し出した手には何も乗っていない。見ている皆が首を傾げる中、黄瀬はぽん、と手を叩いてから元気よく手を上げた。

「わんっ!」

そしてそのまま紫原の手に自分の手をぽふんと載せた。

「ん〜、お手できたね、えらい〜」
「ふふふん!俺は賢いわんこっスよ!お手くらいお手の物っス!」

じゃあ、次は〜と紫原が黄瀬に反対の手を出し、黄瀬がまた同じ様に逆の手を載せている、という妖精と天使(オプションで犬耳)の微笑ましい姿を皆が目に焼き付けている中、やはりというか動いたのが黒子である。

「黄瀬君!」
「黒子っち、なになに、なんスか?」

緑間っちとお話終わった?と笑いながら黒子のもとに歩いていく黄瀬は目の前のお前の彼女が狼って言うか獣っていうかとにかくそれに近い何かであるということを知らない。
でもここは体育館で、俺たちレギュラーメンバー以外の一軍の奴らもいるし。きっとそんな無体はしないと赤司は保険に思いつつもいつでも動けるように青峰の首根っこを捕まえていた。

「いいか青峰。いざとなったらお前が行け」
「それはいいけどお前、俺は悪さをした猫か何かかよ?襟首引っ張るな締まる」

そんな結託を自分たちがしていることを露とも知らない黄瀬は黒子の前で大人しく黒子の口が開くのを待っていた。

「……黄瀬君」
「なあに?」
「本当は、後で二人のときに渡そうと思ったんです」
「え?」
「お誕生日おめでとうございます、黄瀬君」
「くっ、黒子っち……っ」
「受け取って貰えますか?」
「もち、勿論っス!!」

黒子がそっと懐から(どうしてそんなところから出てくるのか知りたくない)取り出した、女の子らしい可愛らしいラッピングがされた包みを黄瀬は受け取った。
そう、今日は黄瀬の誕生日なのである。だから今日の昼休みの時間を使ってレギュラーだけでささやかな誕生会を開こうと決めたのは黒子だったんだけど(放課後は部活がしっかりあるので終わった後は死屍累々になるためそれどころじゃないから)何先手打ってるのかなあの子。と赤司は思ったが口には出さなかった。赤司はちゃんと空気を読んでいる(二回目)。エアーをリードせずに文句を言おうとした青峰はそっと裏拳で黙らしておいたので問題はない。

「あ、ありがとうっ黒子っち!あのね、昨日も一番に電話くれて嬉しかったっス!」
「私が誰よりも先に君の誕生日をお祝いしたかっただけですよ」
「黒子っちぃ……」
「黄瀬君、それ開けてみてくれませんか?」
「え?ここで?でも勿体ない……」
「今の君にもとても似合うと思うものなので」
「? 分かったっス!」

急いで、それでも慎重に袋を破かないように開けていく黄瀬とそれを柔らかい笑顔で見守っている黒子の姿はどうみても普通の彼氏彼女の図であるのだが、黄瀬の手が黒子の渡したプレゼントの袋から取り出したものを見た瞬間にその微笑ましかった全てが打ち砕かれそうになった。

「……黒子っち、これ」
「いろいろ考えて、何度も悩んだのですが、やっぱり最終的にはこれだと思って」

黒子が渡した黄瀬への誕生日プレゼント。
その中身は、

「どうしてフリフリレースのエプロンなんだ……っ!!!」

――だった。
思わず膝をついて叫んだ自分は多分悪く無いと思うと赤司は零れそうになる何かを必死で飲み込みつつ考える。

「わー、薄い水色なんスね」
「そうです。普通だと白かピンクが主流になりますから、この色を探すのは苦労しました」
「黒子っちの色っスね」
「気付いて頂けて光栄です」

何故そこでお前がドヤ顔になるのか分からない。そして受け取った黄瀬もどうして普通に受け答えしているのか分からない。

「えーっと、どうっスか?似合う?」
「とても似合いますよ、黄瀬君」
「えへへ、嬉しいっス」

そしてどうしてその場で直ぐに身につけちゃうのか分からないよ、黄瀬。似合うけども。とてもすごく似合うけども。さっきから隣の桃井のシャッターを切る音が止まらないのが怖いんだ僕は。
どうやらバッテリーが切れたらしいビデオからデジカメに切り替えた桃井の素早さが恐ろしい。

「うっわ、エロいな黄瀬」

そしてお前はどうして皆が思ってても黙ってたことを言っちゃうのかなあ、青峰。
そう、練習着に着替えている黄瀬は、ハーフパンツをはいている。その丈は丁度エプロンで隠れるくらいの長さしかない為、パッと見には下半身に何も付けていないように見えるのだ。
その姿は確かに『エロい』と評せるものだが、それは今言っちゃいけないことだ。特にあの黒子の前では。

「――青峰君、後で覚えていてください。特に、下半身的に」

その場にいた男子全員が思わず自分の股間を守るような体勢を取ってしまったのは無理からぬことである。

「しかし何故こんなものを黄瀬に選んだのだよ、黒子」

当然と言えば当然の緑間の問いに対して、黒子は胸を張って(ほぼゼロに等しい胸だけどな!:青峰談)答えた。

「先日黄瀬君宅にお邪魔したときに黄瀬君が新しいエプロンが欲しいと言っていたのですよ。ああ、そのときに黄瀬君が私の為に作ってくれたホットケーキは本当に絶品でしたね。口の中でふんわりとほどけるようなホットケーキの感触、そして上からかけられたはちみつと黄瀬君手作りのジャムの絶妙なハーモニー。あの美味しさは言葉では語り尽くせません。「おい黄瀬、俺も今度それ食いた」「黙れ小僧」「何でモ○!?」……話がそれましたね。まあそれで黄瀬君に似合う新しいエプロン、私が選んでプレゼントしようとそのときに決めました。そして選びに選び抜いて決めたのがこちらです。どうです、緑間君。玄関を開けて『おかえりなさい』のあたたかい言葉と共にこのエプロンを身につけた黄瀬君が出迎えてくれたら……最高で最強じゃないですかその場で押し倒しますね確実に。ご飯よりもお風呂よりも先に君を頂きたい」
「後半以外に異論は無いが、普通は逆なのだよ黒子」
「私がつけても楽しくありません」
「そして頭の犬耳の所為で何か良からぬ思惑が見られる様で居た堪れないのだよ」
「それについては善処したいと思います」

きっぱりと言い切った黒子(と相槌を打つ緑間)の姿に目頭が熱くなった赤司だったが、赤司が色々な点に突っ込む前に黄瀬が黒子に向き合う方が早かった。

「ね、黒子っち」
「何ですか?黄瀬く、」

ふわり

黄瀬が身につけていた、水色のフリルがふんだんに使われたエプロンが黒子の首を通してその身につけられる。

「このエプロン。俺の為に黒子っちが選んでくれてすごく嬉しい。だけどね。俺、黒子っちもちゃんと、そんで俺よりもっともっと可愛くて似合うと思うなあ」

ね、俺のお姫さま?

そう言ってとっておきの笑顔を照れくさそうに向けられた黒子は、機能停止していた。無理も無い。あれを至近距離で受けたら被害は甚大だ。しかもオプションの犬耳が効果を倍増している。

「……黄瀬君」
「なーに?黒子っち」

それでも固まっていたのは数秒くらいで直ぐに復活した黒子は流石としか言いようがない。だがそんな感心をしていられたのは僅かの間だった。
ニコニコと笑う黄瀬の身体を一瞬にして横抱きにした黒子は、目を丸くする黄瀬を文字通りお姫様抱っこしたまま赤司たちの前を瞬く間に通り過ぎるという芸当を見せた。

「……おい、赤司」
「……」
「黄瀬ちん、持ってかれちゃったねえ」
「……」
「赤司、思考停止しているところ悪いが、あれをあのままにしておくのは不味いの「分かっているよおおおおおっ!!!?青峰!!止めろ!刺し違えてもいいから!!」
「なんでいきなり刃傷沙汰になるんだよ!?」
「お前にしかできない」
「あの状態のテツを相手にするとかマジ死亡フラグなんだけど!?」
「安心しろ、骨は拾ってやる」
「全く安心できねえなあ!?」

そうは言いつつも直ぐに黒子たちを探しに向かった青峰の背中を見送りながら、赤司は今日一日がまだ始まったばかりだという事実を太陽の角度から察して持っていたファイルを空に放り投げたくなったのだった。






20140618
黄瀬君!はぴば!です!






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