樽俎折衝





「でもさ、それだとここのスペース付かれたらヤバイんじゃない?」
「そこは俺がカバーする。マークを外すんならそう難しくない」
「涼太は前だけ見てろ。俺たちが必ずパス回してやるから」
「へーた……」
「こらそこ見つめ合うな、ウザい。後で五十嵐と後川にも作戦伝えないとなんだから、さっさと決めんぞ」
「あの二人の連携が入るとなると、それだけで攻撃パターンが結構増えるっスからねえ」
「だから今決めるのは俺たちのフォーメーションだっつーの」
「うーん、ここまではまあ順当にきたけど」
「対三年戦になると、これだけじゃ心許ない。あっちには笠松先輩がいるんだからな」
「キチローは本当に笠松センパイが好きっスねえ」
「っば!お前、お前だってそうだろーが!涼太!この馬鹿!アホ!」
「なんか色々突っ込みたいんスけど、……可愛いからいいかな、へーた」
「やめてやれ。放課後に使いものにならなくなったら、困るのは俺たちだ」
「あーそうかー」
「……おい、お前ら何言ってんだ」
「んーこっちの話―」
「何だよこっちの話っておいこら!」
「んで、へーたはこっから動かないでしょー」
「ああ、まあ早川先輩が相手になるとリバウンド勝負になるからな」
「俺を置いて話を続けるな!」


「……それと同じことが言いたいんだけどな?君たち」
「「「あ、先生」」」
「ようやっと気付いてくれたか。うん、先生は嬉しいぞ。そして時間を見ろ。もう三限は始まっているんだよいつまで作戦会議してんだ!今すぐに教科書開け!」
「待って下さいっス!先生!」
「何だ黄瀬!」
「俺たち、今日は何が何でも勝たないといけない大事な勝負があるんス!だからこの時間はそれの為に使いたいんス!」
「阿呆か!学生の本分は勉学だ!」
「大丈夫っス!次の期末考査では俺先生のテストで九〇点以上必ず取るから!今日だけは勘弁して下さいっス!勿論こっちの二人も平均以上は取るから!」
「教師と取引とはいい度胸だな、黄瀬」
「そう悪い話じゃないと思うっスよ?」
「そう言いながら小首を傾げるな瞳を潤ませるなキラキラしい顔を近付けるななんの脅しだこれは!」
「「「キャー!黄瀬君!可愛いー!」」」
「こら佐藤、吉見、樋口!お前らノるな!そして叫ぶな!」
「ありがとっスーでもカッコイイの方が嬉しいっスー」
「手を振るな黄瀬えええ!」



「小倉先生は黄瀬に任せておいて、俺たちは作戦決めんぞ」
「そうだな」
「おい、加藤」
「あん?何だよ、芳沢」
「お前ら朝練終わってから何真剣にやってんの?」
「俺たち、今日の放課後の部活で、学年対抗の総当り戦やることになっているんだよ。んで、負けた学年にはエゲツナイ罰ゲームが待っているから絶対に負けられないわけ」
「あー、なーる」
「どこでも同じなんだなー、そういうの。俺んとこもやったわ」
「北爪。サッカー部もか?」
「おー、なんとか二位に食い込んだけどなー」
「俺たちも負けてらんないな」
「おう、こうなったら何が何でも勝ちにいくぞ!」
「頑張れよ!バスケ部一年!」
「おう!任せろ!」
「黄瀬、応援に行ってもいい?」
「えっ、委員長が応援に来てくれるんスか?すんげー嬉しいけど、いいのかな」
「こら話は終わってないぞ黄瀬!仲河も委員長ならこいつら止めろ!」
「すみません、無理です」
「即答か!」






20121118





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -