触れること、その意味
触れる、その動作にこんなにも緊張するだなんて
久しぶりに見た顔に胸の奥底で安堵している自分に気付く。
「おかえりなさい」
その言葉と笑顔とに迎えられると帰ってきたのだと実感が持てるのだ。
あたたかい人。
変わらずここで待ち続けてくれる強い人。
私のたった一人の大切な人。
「ただいま、兄さん」
あなたの元に帰ってこれてこんなにも嬉しい。
その手のひらに髪を梳かれるのが好き。
その腕で抱きしめてくれるのが好き。
でも自分からはあまりしない。
照れ、とは違うこの気持ちは、多分、怖れが一番近い。
自分が触れたら壊れてしまうのではないかと、馬鹿みたいにけれど真剣に考えてしまうほどあなたはいつもきれいだから。
その白を汚したくはない。
だから待つ。
あなたから触れてくれるのを。
そうしたら、私も抱きしめられるから。
この両腕で、私の世界を。
090319
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…リナリーの世界について