Loop&






本人たちが気付いているか知らないが
恐らく答えはそこにある








「なあ、健二」
「なに、佐久間」
「お前これ、いじった?」
「え?何、どれ」
「んー、これ、ココ」
「ん?あ、ああ、うん、変えた」
「いや、変えたってお前」
「多分、その方が佐久間やりやすいと思った」
「うーん?うん、……ああ、そうね」
「だろ?」
「ふーん、うん、あー、こうなるのね」
「そう。後は佐久間が自分で調整してよ」
「おう、サンキュー」
「はい、どーいたしまして」



「―……ねえ、佐久間」
「あん?何?」
「俺がここに置いておいといたやつ、どこ?」
「あ?どれのこと?」
「ここに置いておいた本だよ。青い表紙のやつ」
「んー?あー、あれ健二のか」
「そうだよ。で、どこ?」
「あー、どこに置いたかな……この前コーヒー零した時、慌ててどかして」
「零したの?」
「ちょーっとだけだよ。ちょっと」
「何回も言ってるじゃんか、佐久間。ここに水物は置くなって」
「いんだよ、俺は」
「よくないよ」
「だーいじょーぶだって……って、ああ、あった。ホイ」
「ちっとも大丈夫じゃないから言ってるんじゃないか……どうも」
「お前ここに本置いたままにしとくなよ。そろそろ片付けないと、埋もれるぞ、あの一角」
「……分かってるけど、家に持って帰るの面倒なんだよ。どうせここで見るし」
「不精すんなよ」
「それ、佐久間にだけは言われたくないね」
「どーいう意味かな?健二君」
「そのまんまの意味だよ、佐久間君」
「ー……あーあ、今度片付けっかー」
「そうだね」
「めんどー」
「そうだね」
「……やっぱやめない?」
「そうだね」
「……ってお前俺の話聞いてないね?」
「そうだね」
「……だーめだ。自分の世界入った。こいつしばらくこーだから、夏希先輩そこに座って待ってて貰えます?」
「……私が来たってよく分かったね、佐久間君」
「基本、ここに人間はあんまり来ないんで。来るとしたら限られるんですよ。健二に用でしょう?」
「うん、今度健二君と一緒に遊びに行くの。で、その時の待ち合わせ時間とか決めようと思ったんだけど」
「あー、……俺が言うのも変だけど、すみません。でも今の健二まだそこまで浸かりきってないから、返事だけは返ってきますよ。生返事だから頭に届いてないっすけど。……って駄目かそれじゃ」
「ううん、いいよ。ね、佐久間君。健二君が終わるまでここで待っていてもいい?」
「へ?いやそれは構いませんけど……いいんですか?」
「何が?」
「いや、こんなとこで時間潰すの、勿体ないっていうか……」
「そんなことないよ?」
「そうですか?」
「うん、二人の会話聞いてるの楽しいから」
「?????楽しい、ですか?」
「ふふ、うん、面白いよ」
「―……なんかフクザツですね。夏希先輩にそう言われるの」
「そうかな?……あ、健二君、こっち見た」
「あ、ほんとだ」
「―……な、夏希先輩!?」
「健二、夏希先輩来たぞ」
「遅いよ!す、すみません、夏希先輩、あの」
「私は大丈夫だから。それ終わってからでもいいよ?」
「あ、いえこれは終わったので、大丈夫ですから……って佐久間!何でもっと早くに言ってくれなかったんだよ!」
「俺は最初から気付いてたけど」
「は!?」
「え?いつから気付いてたの?」
「夏希先輩が部室の前のドアに立っているくらいから?」
「すごいねー、佐久間君」
「何で教えてくれなかったんだよ!その時に!」
「お前ねえ、彼女が来てくれたことくらい、自分で気付かないと色々駄目だろー」
「……かっ……いや、その、」
「あ、あはは、ご、ごめんね、健二君。ちゃんと声かけようと思ってたんだけど」
「いいいえ、すません俺が気付かないせいで先輩をお待たせしてしまっていや本当に」
「さーて、俺は飲み物でも買ってきましょうかー」
「さ、佐久間!」
「30分ってところか?」
「……ありがと」
「じゃー、先輩。ごゆっくりー」
「あ、うん。有難う佐久間君」



「ねえ、健二君」
「なんですか?」
「健二君と佐久間君って、すごいね」
「は?」
「うん、色々」
「え?」







……………
そんな物理部会話でした。
延々とぐるぐるとめぐってまわっているようです。










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