真夜中の攻防 この話しは、以前に書きました『フォークひとつ』の続きになります。兎×栗鼠のターンになります。 ですが、ギャグです。 本当にギャグです。 純粋に兎×栗鼠を好きな方は読まれない事をおススメします。 そっと閉じてお戻りください。 勇気のある方は、どうぞ。 「ただいま帰り…まし、た……」 玄関を開けたら、 「おかえりなさい、カズマさん」 家の中が豪雪地帯へ変貌を遂げていました。 「…あ、あの、ケンジさん…」 「なんでしょう」 すごくいい笑顔なんですが、ケンジさん、どうしてアナタの後ろに吹雪というか、般若というか、とにかくそういったオプションが見えるのでしょうか、あれ、僕、今日疲れているのか…な… 「そ、その、どうして…」 「分かりませんか」 溜めがありませんね、素晴らしい切り返し方です流石ケンジさん。 …ってそんなところで現実逃避している場合じゃない。 「僕が、原因…」 なんですねそうですか僕何かやりましたか昨日の事は今朝許してもらえた筈だし、この前の夜の件は暫くお預けくらってでもそれでお咎め無しにして貰ったし、あれ、じゃあ一昨日のアレの事か…? 「そんなに考え込むくらい思い当たる節があるんですね」 「いいえ、そんな事は!」 「じゃあ、分かりますか?ボクが今何に対してこうなっているのか」 「…スミマセン、ワカリマセン」 「…そうですか」 そう言って頭を足元に向けたケンジさんの視線の先を追ってしまったため、僕とした事が反応が少しだけ遅れました。 「…っ!?」 今眼前を高速で黄色の尻尾が過ぎ去っていきました。 「…っち、流石ですね、カズマさん、よくぞ避けてくれやがりましたね」 難しい言葉遣いですねケンジさん…隠しきれない殺気をひしひしと感じます。 「いや、すみません、つい条件反射で…って!ケンジさん!ちょっと今のは身の危険を本気で感じましたが!」 「当たり前です」 そう言って前傾姿勢になったケンジさんはこう宣われました。 「本気です」 マジですね。 「せっ、せめて理由をっ!理由を聞かせて下さい!!」 繰り出される尻尾の二撃目を辛うじてかわしてケンジさんに問いかけようとしましたが、 「問答無用です」 振りが早いですね、ケンジさん、ちょっとこれ僕本気出さないと不味いんですが…! 普段のおっとりした外見からは想像もつかないスピードで繰り出される尻尾の攻撃ははっきり言って本気で痛い。以前に一度くらった事がありましたが、あれは効きました…。 何度目かの攻防の後、なんとか間合いを測ってケンジさんに対面するチャンスを作る事が出来ました。今、この時を逃したら、弁明の機会は無い…! 「ケンジさん!理由を!教えて下さい!」 「本当に分からないんですね…!」 あれ、なんか周囲の空気の温度が更に下がった様な気がするのは僕の気のせいではない…ようですね…。 「あ、あの、ケンジさ…」 「カズマさん」 「はい」 「アナタこの間、ラブマシーンさんと何のお話をされましたか?」 「え?何の…」 何の話…?…あいつとこの間話した話って……………………………………………………アレか! 「あいつ喋ったんですか!?」 「問題はそこではありません」 「…すみません」 「ラブマシーンさんは、純粋な方です!そのラブマシーンさんに、なんて破廉恥な言葉を教えてしまったのですか…!」 「ちょ、ちょっと待って下さい!ケンジさん!」 「…なんですか」 「ぼ、僕は確かにあんな事を言いましたが、その内容については詳しく教えていません!」 「………そう言えば…詳しく意味は知らない、と仰っていたような…」 ケンジさんが躊躇っている…この機を逃したらもう釈明の余地は作れない…! 「確かに僕の不注意でした…。すみませんでした、ケンジさん」 警戒心はまだ解いてはいけない。油断をしたら狩られる。それが戦いに身を置くものが身につける判断能力だ。 「……カズマさん、」 ケンジさんが僕を見る。 …心なしか青褪めて見えるのは気のせいでしょうか。 「はい、何でしょうか」 「詳しく、教えていないと、今、仰いましたね」 「…はい、それが何か…」 「…………………ケンジさんが、」 「え?」 「ボク、話を聞いて直ぐに此処に戻ってきてしまったんです…!」 「あ、あの、それが、何か…?」 「分かりませんか!?つまり、今!この時!」 ラブマシーンさんは、きっと、いえ必ずケンジさんにこの単語の意味について質問をなさっているでしょうって事です!!! 「一度疑問に思ったら、とことんまで知りたがる方だと、ケンジさんから以前聞いた事があります…!」 ケンジさんと僕は、二人して顔を見合わせて青くなりました。 「どどどどうしてくれるんですかカズマさん!ボク、次にケンジさんにどんな顔して会えばいいんですか!!!?」 「僕のせいですか!?」 「当たり前です!」 こうなったら… 「せめてカズマさんに報復しないとボクの気がすみません!」 「えええ!ケンジさん、それってちょっと…!」 「いいからそこに直りなさい!」 「ケンジさん…!」 ああ、獲物を狙う目ですね………あの、僕一応『キング』って名前についているんですが… その夜、某キングの住まう一室から、轟音が轟いたと噂が立ったとか立たなかったとか。 …………… 妹からのリクエストでケンカするキングとケンジ君でした。 私がラブケンばっかり書いているものだから、たまにはキングとケンジ君を書けと怒られまして、それで書いた内容がこれってどうなの私。 読んだ後の妹の一言。 「この後を10頁くらい書いてもいいよ」 ……………原稿やらせてください… |