あなたとわたしの軒下で





「きっとね、言葉にしちゃえば簡単なんですよ」

アナタの耳元で、

「そうすれば今よりもっと、分かるから」

そっと囁く愛の歌。






「そりゃあ、ボクだって、カズマさんの事怒る事はありますよ」
寧ろ無い日は少ないんじゃないだろうか、と彼は首を傾げた。
「些細なことですよ。後から考えたら何でもないことでもふとしたきっかけでケンカみたいになる事もある。だって、やっぱり知っておきたいって思いますから」
だって、
「やっぱり、傍にいたいから」
そう言って笑う彼は本当に素敵だと思う。
「お互いが違う思考を持っているから、どうしてもぶつかる事はあります」
自分達の目の前を、ヨーコがゆったりと泳いでいく。
「それはきっと、相手の事を想うから」
膝に顔を埋めて自分は今、彼を想う。
「それだって、我儘かもしれないけれど、」
思い出すのは腕を振り払ってしまったあの時の彼の驚いたように開いた眼。
「でもその我儘ごと、ボクを好きだって言ってくれたあの人の為に、」

(ラブマシーンさん、)

アナタは今、どうしていますか?

「ボクがボクらしくあれるのは、やっぱりカズマさんの隣なんです」
ねえ、ケンジさん、
「アナタの大切な人がきっと今、アナタを想って途方にくれていますよ」
だから、
「早く帰ってあげましょう?」





「………はい」











……………
ケンカしちゃったラブケンと、ケンジ君のお話でした。
多分こんなこともあるんじゃないかな、と。








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