バカヤローと言ってやる





手を、見る。
何の変哲もない自分の手を。
この手で、あの時自分は健二の背中を叩いたのだ。薄く痩せた、広いとはお世辞にも言えない華奢な背中を。
逃げることも出来たのに、あの時自分を留まらせたものは何だったのか。
夏希がいたからか?
いや違うと漠然と思う。
では何だ?


『うまくいく確証はないので、先に退避を・・・・・・・・!』


家族全員がもう駄目だと諦めかけた時、健二は最後まで立ち向かう事を選んだ。
負けたら自分もどうなるか分からない状況の中で、夏希を、侘助を、自分たちを生かす為に、そこに残ることを躊躇いなく選んだ健二の横顔が目に焼き付いて離れない。
あの時、自分の中でごとりと何かが動いたのだ。
画面を見つめる真剣な眼差し。
その瞳に吸い寄せられた。
触れたいと、思ったのだ。



「・・・・ホント信じらんないよ」
「?   何が信じられないんだ?」
「父さんは知らなくていいことだよ」

ただでさえ厄介な相手がいるっていうのに、これ以上フラグを立てられちゃ困るんだよ、本当に、

「健二さんって・・・」














……………
拍手に入れていました。
そんな翔太と健二と佳主馬。








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