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じっとしていられない性格は昔からだ。
休むなんて考えられなくて
まだ事件の依頼のメールを読んではいないし、明日には県警本部に行かなければいけない用事がある。


「ジン…」

「駄目だ、ジっとしてろ」

「まだ何も言ってない…」

ここ数日新一は体調を崩し床に臥せていた。
…と云うよりも無理やり臥せられていたと言った方が正しい。

日々の不摂生な生活と、大学と探偵業の両立のせいでたまった疲労が爆発したのだ。
無理を無理と言わずに仕事をする、それがいけなかった。

「…お前が無理に働くから悪い…まだ学生ということを忘れるな」

「…そうだけどよぉ……もう随分と元気になったし…」

背中を向け、本を読んでいるジンに視線を向けるが返事は返ってこない。
新一はベッドの上ではぁ、とため息を吐き暇だ、と考える。


「なー…じゃあせめて本でも見せてくれ」

「寝てろ」

「……これ以上は眠れん」

ジンの髪をひっぱるがやはりこちらへと振り向かない。
それに苛立ち、新一は少々乱暴に彼の髪を引っ張った。

そうすると、舌打ちをし、新一の手を振り払うとようやく彼の方へと振り返る。
ジンは本を閉じ、ため息を吐いて新一を見つめた。


「お前は病人だろうが…ったく、ガキじゃねぇんだからそれくらい分かるだろ」

「そうだけど…暇だ…」

「今は熱が下がってるがまたすぐに上がる…安静にしてろ」

「…一人はやだ…」

そう言って新一の手は自然とジンの手をぎゅっと握っており、蒼い瞳は熱のせいなのだろうか、いつもより潤んでジンを見つめていた。
まるで子犬のような目をした彼の目に弱く、自然と目を逸らす。


「…どうしろってんだ?」

「…子守唄でも歌ってくれ」

「却下」

「嘘…俺が眠れるまで手を握っててくれ」


病人のくせに口だけは一丁前に動く。
そんな新一だが、やはり苦しいのか時折咳き込む。
彼の要望にジンは渋々頷くと、自然と笑みが零れた。


「ゴホ…じゃあ、俺が眠るまで傍にいろよ?」

「あぁ…だからさっさと寝ろ」

ジンの冷たい指先が新一の目を覆うと、数分が経つとすぐに新一は眠りについた。
その様子に苦笑しながらも、暫くジンは新一の元から離れることはなかった。

「早く直して、元気になれ…名探偵」

安  静


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