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その9


機密区分:極秘
複写:全8部作成のうちの第2部
KUSC/MP−0485925121 1999年4月15日
 宛:九州生徒会連合中部戦線司令部(KUSC/CENTCOM)
 発:九州生徒会連合陸軍憲兵隊本部(KUSC/MP)

  内容:物資貯蔵所における襲撃事件に係る中間報告書


 去る4月14日、生徒会連合・自衛軍合同第一物資貯蔵所において発生した襲撃事件について、憲兵本部は現時点までに判明した事実についてここに報告する。

1.全般

 4月14日2300時 貯蔵所よりの定時連絡入電せず。
     2315時 中部戦線司令部より確認信号を発進するも応答なし。
     2330時 再度確認信号発信、応答なし。司令部は異常事態と判断した。
     2334時 付近を巡回中の陸上自衛軍部隊より一個分隊を派遣、現地との連絡回復および調査に当たらせる。
     2346時 調査隊より貯蔵所詰め所にて戦闘と思しき跡を発見するも、警備兵の姿を見ず。司令部は引続きの調査を下命。
 4月15日0002時 調査隊より警備兵の遺体数体と所属不明の兵士数名の遺体を確認したとの報告あり。遺体にはいずれも射殺あるいは刺殺された形跡があった。
     0015時 司令部より憲兵本部に対し、憲兵隊の出動要請あり。一個小隊を派遣し周囲の封鎖及び現地調査を下命した。同時に第八師団より歩兵一個中隊が出動。周囲警戒にあたった。
     0035時 憲兵隊現地到着。調査開始。
     0145時 警備兵全員の遺体収容を確認。
     0225時 所属不明兵士の遺体、20体を収容。
     0240時 弾薬集積部より時限式と見られる爆弾を発見。直ちに爆発物処理班の出動を要請すると共に貯蔵所内の全物資の点検を開始。
     0350時 爆弾処理完了。
     0550時 全物資点検完了。異常を認めず。
     0600時 封鎖解除。一部を除き補給業務を再開。
     0945時 金峰山付近にて自衛軍トラックと思しき破損車両を発見。現在鋭意調査中である。


2.我が軍の損害及び押収物および遺体
 (人員)
  陸上自衛軍:戦死13名(貯蔵所内10名、南熊本駅5名)
  生徒会連合:戦死12名(貯蔵所内8名、南熊本駅4名)
  計:25名
 (物資)
  携行糧食:約2,000食分紛失
  薬品:約200名分紛失
  その他:数十箇所において弾痕を発見。ケースの破損がみられた。
  ※詳細については調査中。
 (押収物)
  遺体:20体を確認
  武器:連射式ボウガン8、AK−74J(弱装弾装備)12、その他携行武器多数を押収。


3.現在までの調査結果

(1) 身元不明と考えられていた兵士は、装備・衣服及び携行品から幻獣共生派の中でも最過激派として知られる「影旅団」の1グループではないかと推定される。この点については過去の押収物および調査報告と比較してもほぼ間違いないものと思われる。

(2) 今回の襲撃は貯蔵所を襲撃し、これを奪取または爆破する事で我が軍の兵站活動を混乱せしめる事が目的であったと思われる。

(3) 影旅団は貯蔵所に侵入。その後警備隊との戦闘に突入しこれを全員殺害するも、旅団もまた損害著しく撤退したものと思われる。その際貯蔵所を爆破せんと爆弾を設置するも爆弾自体の不良または仲間割れ(コードが切断されていた)、あるいはパニック状態下での確認ミスにより不発に終わった。
  ただし、なぜ我が軍の兵士の遺体が数ヶ所にまとめられていたかについては疑問なしとしない。

(4) 金峰山付近で発見されたトラックは自衛軍の73型2トントラックだったが、所属部隊名及びナンバー、エンジン刻印等は全て消去されており、詳細は不明。しかし、内部より奪取されたと思しき物資の一部が発見された事から、影旅団が逃走に利用したものと判断される。


4.現場概略図(略)


5.今後の対策

(1) 憲兵隊は本件について引続き調査を継続せるも、昨今の戦況が不安定な中においてどれほどの成果が挙がるかについてはいささか疑問の余地がある。また、憲兵隊も人員の不足甚だしく、調査に充分な人数が割けないのが実情である。

(2) 司令部の判断が必要なのは当然だが、戦闘の根幹たる補給拠点の警備については今以上の強化が必要なものと愚考する。ついては憲兵隊は強化に対して協力を行うに吝かでない事をここに明記する。

以上

    署名:九州生徒会連合陸軍憲兵隊本部 憲兵万翼長  片岡和弥(印)
    
    副署:陸上自衛軍第八師団憲兵中隊長 憲兵大尉   佐藤大介(印)





1999年4月14日
機密区分:秘
複写:全2部作成のうちの1部

1999年4月14日の出動に係る戦闘報告書

 司令部の命により、我が第5121対戦車小隊は戦闘に出撃致しました。以下に今回の戦闘に係る報告を行います。

1.出撃地区 八代戦区


2.経過概況

 4月14日2000時 幻獣出現予備警報確認。
     2015時 第一種幻獣出現警報発令(V1)。出撃準備を下命。
     2115時 出撃準備完了。
     2120時 出撃。
     2210時 戦区到着、部隊展開完了。
     2215時 幻獣、実体化開始。戦闘開始。
     2218時 滝川機、速水・芝村機発砲開始。
     2222時 壬生屋機大破。壬生屋百翼長は脱出せるもミノタウロスの強打を受け昏倒。スカウトによって救助される。
     2227時 滝川機被弾。コックピット内において装甲破片が散乱、滝川百翼長は軽傷。戦闘可能。
     2231時 指揮車被弾。加藤十翼長が右腕に擦過傷を負う。
     2236時 スカウト、左翼より攻撃開始。格闘戦に突入。
     2241時 滝川機中破。戦線より離脱。
     2244時 速水・芝村機被弾。速水千翼長は貫通した破片により重傷を負う。
     2245時 速水・芝村機ミサイル発射。敵に打撃を与える。
     2247時 敵、撤退開始。以後は追撃戦に移行する。
     2258時 敵撤退。戦闘終了。


3.戦闘詳報(略)


4.戦果並びに損害

(戦果)          
 撃破 スキュラ     1  撤退 スキュラ    3
    ミノタウロス   4     ミノタウロス  4
    キメラ      6           計 7
    ゴルゴーン    4
    ゴブリンリーダー 4
    ゴブリン     8
    ヒトウバン    7
           計 34

(損害)
 大破(修理不能)
  ウォードレス「互尊」狙撃仕様 2
            戦車兵型 1
 大破(修理可能)
  士魂号M型重装甲型(壬生屋機)

 中破
  士魂号M型軽装甲型(滝川機)
  士魂号M型突撃仕様(速水・芝村機)

 小破
  指揮車

 人員損害
 戦死 0 重傷 1 軽傷 6(パイロット2、スカウト2、指揮車2)


5.整備計画書(略)


 上記の通り、我が小隊は極めて大なる戦果を挙げたものの、損害もまた無視できない状況となっております。幸いにして壬生屋機は回収に成功しましたが、人員はともかく全可動士魂号並びに指揮車が損害を受けた状況では今後の出撃にはなはだ不安があるといわざるを得ません。
 そこで意見具申として、戦力の回復を目的として、5.の整備計画書に基づき数日間の全力整備を実施したいと愚考致します。

以上

 第5121対戦車小隊 小隊司令 上級万翼長 善行忠孝(印)


(指導教官による付記)

 善行小隊司令の意見は、全く妥当なものであると判断致します。
 
   陸上自衛軍第一ニ教導隊 5121対戦車小隊付指導大尉 坂上久臣(印)

    陸上自衛軍第八教導隊 5121対戦車小隊付指導中尉 本田節子(印)


(司令部よりの返信の一部)

 ――フン、まあ妥当な提案だな、いいだろう。

(つづく)


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