「撃て!」


「父上…」
『親父様!』『輝宗様!!』

撃てる訳がない、なのに撃てと叫ぶ父。

「政宗、父を撃て!そして天下をとれ」

何故こうなった。どうして。

「全員、構え!」
『政宗!?』
「命令じゃ!!」
『………………っ』
「………………撃てっ!!」

鳴り響く銃声、倒れる二つの姿。

「…何故じゃ」

何故、あの瞬間父は笑っていたのだ…。


*****

「父上っ」
『…政宗様、大丈夫ですか?すごい汗です』

あの時の夢を見た。父をこの手で討ったときの。

あの時からたまに見ている夢。


隣に座る莢が心配そうに手拭いを差し出した。

「…すまぬ」
『いいえ』
『大丈夫?』
「ああ、悪い夢をみただけじゃ」

わしと莢の後ろの壁にもたれかかっていた茅が、少しだけ眉を下げ問いかけてくる。

ここは真田の領地、上田城。友である雑賀孫市に連れられてやってきた場所だ。

そしてこの場にはわしと双子、孫市以外に三人の人物がいる。

「こいつは事情があって素性は明かせねえが政宗っていうんだ。その横に座っているのが…」
『政宗様にお仕えしております莢と申します』
「んで後ろにいるのが茅ちゃん!可愛いだろう?」
『茅です』

孫市がわしらをその三人に紹介する。

すると少し派手な格好をした、前田慶次という男が紹介をはじめる。

慶次以外はこの上田城城主の息子である真田幸村、上杉から援軍に駆けつけたという直江兼続というらしい。


こやつらは、自軍の倍にもなる大軍相手に喧嘩を売るらしい。


紹介も終わり戦に関する大体の話が終わった。

暫くは自由にしていていいということなのでわしは部屋から出ることにした。

「莢、行くぞ」
『政宗様?』
「少し疲れた…」
『わかりました』

莢に声をかけると立ち上がった。

「孫市、わしらは少し出てくるぞ」
「ああ、わかった。じゃあ俺は茅ちゃんと楽しく遊んでようか」
「わかっておると思うがそやつに変なことするなよ」

わかってるってと笑う孫市に背を向け部屋から出た。






>>もどる<<
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -