ほわいとでーの贈り物

@無双伊達主従
@3月拍手log



「……よし、あと少ししたら声をかけるぞ」
『政宗様、いかがなさいました?』
「ぬわっ!?」


三月十四日、政宗は洗濯物をたたんでいたなまえを眺め何かを決意したように拳を握りしめているところ本人に気がつかれた様子。

逆に声をかけられ腰を抜かしてやがる。

『だ、大丈夫ですか!?』
「…ばっ、ばば馬鹿め!急に声をかける奴がおるか」
『も、申し訳ありません』
「なーに、勝手に驚いて腰を抜かしたんだ。なまえちゃんが謝ることなんとなんにもないぜ」
「黙れ、というより何故いるのだ孫市!」


何故だって?そんなのきまってんだろ

「奥州の美人双子姫(妹)に会いに来たんだよ」
『妹なら兼続さんのところにいますよ』
「な!?」
「わかったならさっさと帰れっ」

愛しの妹ちゃんに会えないなんて俺ってついてないぜ。

「せっかく来たんだ、政宗がその手に握っている贈り物を渡すのを見守ってから兼続の邪魔をしにいくとするよ」

そう言うと顔を真っ赤にする政宗。
照れてる、照れてる。


『贈り物?』

首を傾げるなまえちゃんに慌てふためく政宗、見てて面白いぜ。


「ほーら、政宗。」
「貴様…後で覚えておれ。なまえ、こい!」
背中を押してやるとすごい嫌な顔をしてなまえちゃんを呼んだ。

『え?』
「早く来ぬか」

理解出来てない彼女を政宗がなまえちゃんの手を強引にとり、外に連れて行ってしまう。

ま、庭に出ただけで見えるけど。
手を離し向かい合うと真っ赤になりながら何かを言っているみたいだ。


*ここからは莢目線で。

手をひかれ庭に出る。見上げた政宗様のお顔はほんのり赤い。

「なまえ、手を出せ」
『手ですか?』
「そうだ、手じゃ」
『こうですか?』
「や、やっぱり目をつぶれ」
『?』
「目をつぶれと言っておろう!」
『わ、わかりました』

急に手を出すように言われたかと思えば今度は目を閉じるように言われる。

「よいか、儂が良いと言うまで目を開けるでないぞ」
『はい』

目を閉じていると目の前の政宗様がどんな顔をしているのか分からない。


『!』

しばらくすると髪に何かが触れた気がした。さらに、手に何か置かれる。

「目を開けてよいぞ」
『は、はい』


許可がおりたので目を開けて見ると皿のように作った両手の上には手鏡が乗っていた。

『これは…?』
「…鏡を見てみよ」


言われたように鏡を見てみるとさっき触れられた辺りに綺麗な髪飾りがさしてあった。

『ま、政宗様、これは…?』
「先日の礼だ」
『私…何かしましたか?』
「正確に言えばお前達が儂に手作りの菓子をくれたであろう。もう一人の馬鹿に昨日礼をよこせとわめかれたのだ。それでなまえにも礼をしようと買ってきたんじゃ」

私に背を向けそう言う主は耳まで真っ赤になっている。

『私は別にそう言うつもりでは』
「い、いらぬなら捨てればよい」
『いいえ!絶対捨てません』


そう言えばフンッとそっぽを向いて部屋に入ってしまう。

『えへへ』


もう一度政宗様にさしてもらった髪飾りを撫でて、孫市さんにからかわれているのかご立腹の政宗様のもとへ向かったのです。



(ところであの子には一体何を)
(お前と似たような髪飾りと菓子を)

なまえちゃんにあげる髪飾りを一緒に選んでもらっていたら、ついでに買わされた政宗様です。


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