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最近、体の調子が良くない。


なまえが白黒無常と時を共に過ごして早二か月。最初は驚き続きな毎日だったがこの頃は慣れてきていることが日常になりつつあるなまえである。仕事から戻ると謝必安と范無咎がなまえを出迎える。社会人で一人暮らしだったなまえにとっては家に帰ると人がいることが心のゆとりになり、少しずつこの状況を受け入れつつある。そんななまえだが最近身体の怠さが取れない。仕事の疲れでも溜まっているのだろうと感じてはいたが何度睡眠をとっても怠い。まるで不眠症のような症状だった。そんな状態を見て二人は心配してくれているみたいだった。ベッドに入っても眠れない。そんな辛い状態でもあり、眠れない状態も嫌だった。そしてある日、なまえは二人に対して初めてゲーム以外のお願いをした。


「謝必安さん、無咎さん、今日一緒に寝てもいいですか?」


突然のお願いに驚く二人。しかし、二人は似たような顔を見つめ合ってニンマリと微笑む。すると、謝必安はベッドに座りなまえの腕を引き自分の膝へと導く。そして自分の膝へとなまえの頭を導く。所謂膝枕状態である。一方、范無咎はベッドの傍にある椅子に座り足を組みながらなまえの顔を覗くように見つめる。


「これで少しは落ち着きますか?なまえさん」
「なんで膝枕なんですか…」
「私たちの住んだところは寝れない子供には膝枕をすると良いと習慣があったんだ」
「私は子供じゃないです。立派な大人です。無咎さん」
「いいではありませんか、偶には子供に戻ることがあっても。其の度に私たちがお供しますよ」
「お前は仕事でこの頃疲れている。この頃は余り笑顔も見れていないからな。私たちはなまえが心配だ」


「だからこのままゆっくり休め」范無咎の押しの言葉を最後になまえは久しぶりの眠気を感じ目を瞑る。なんだか今日はよく寝れそうな予感がした。




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謝必安の膝の上で吐息をかきながら眠るなまえ。息に合わせて胸を上下に動かす姿を見て白黒無常はなまえは生きている人間なのだと改めて実感する。謝必安は自分の膝で眠るなまえを顔を撫でる。椅子に座っている范無咎もなまえの柔らかく女性としては少し短いナチュナルショートの髪を優しく撫でる。二人のなまえを見つめる瞳は愛おしそうにまた獲物を捕らえたような鋭さも混じっていた。


「もう少しですかね?無咎」
「焦りは禁物だぞ、謝必安」
「ええ、解っています。ですが、とても楽しみです」
「嗚呼、私も楽しみだ」
「時間までになまえを傷つける輩は全て排除しなくてはなりませんね」
「そうだな。手始めになまえの仕事場の連中とかはどうだ?」
「そうですね。ここまでなまえを苦しませてきたのです。先日なまえが話した上司から排除しましょうか」
「そいつを排除したら、次は仲の良い奴らも排除しよう」
「そうですね。なまえには私たち二人がいれば充分ですよね」
「早くなまえが私たちを受け入れてくれる日を祈っている」
「私も同じです、無咎。やはり私たちは似たもの同士ですね」
「嗚呼、笑ってしまうほどにな。まさか、好きな相手も同じになるとは思いもしなかったが」
「二人で分け合いましょう。大好きななまえを二人で…。これまで行ってきたようにこれからも」
「嗚呼、謝必安となら私も納得だ」


眠っているなまえを見つめながら、なまえの知らないうちに白黒無常はなまえを侵食する。なまえの気の疲れも仕事から来るものではない。謝必安と范無咎が企んだことだ。なまえが寝静まった真夜中に謝必安と范無咎は自分の持っている鎮魂傘で少しずつなまえの魂を吸い取っている。悪魔のような微笑みをこぼす二人の姿などなまえは気付かないですやすやと眠る。



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