01
あ、危ない。
そう思ったときには、彼女は顔から転んでいた。
「――……っ!」
俺は思わず辺りを見回す。
夕暮れの公園、制服姿の俺と、パンツ丸出しで伏せっている女の子。
俺、やばくない?
大丈夫?
ここは見なかったことにするべき? 逃げる?
いや、でも、あんな転び方して、絶対怪我してるはず、でも、パンツ、パンツ……!
「よ、吉田くん?」
名前を呼ばれてはっとする。
そうだ、この子は、確か同じクラスの。
「く……く、く、黒部さん?」
黒部、なんだっけ。
割と賑やかなグループにいつもいる、ギャルっぽい子。
「あの……」
言いかけて、黒部さんはスカートが捲れ上がっていることに気付いたようだった。
慌てて裾を整え、おそるおそるといったふうに問うてくる。
「……見た?」
「んみっ!? み、見てない! 見てない、よ」
声が裏返った。
自分でもわかるぐらい、顔に熱がのぼっている。
「そ、そっか……、うん、見てないならいいや……」
一瞬怒鳴られると思ったが、黒部さんは目を伏せて困ったように笑った。
あ、思ってたより。
キツイ感じの子じゃ、ない?
「あ、黒部さん、あの、怪我……とか」
「うん……腕ちょっと擦りむいたあ……」
顔は大丈夫……だろうか。
見たところ、砂はついているものの、腕以外の部分から血が出ている様子はない。
まだ心臓はバクバクいっているが、俺は、少しずつ冷静さを取り戻しているようだった。
「あっちに水道あるから……洗いに行こう?」
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