CLAP








名前を呼ばれて、ふいと後ろを顧みた


「どうしたの、神楽ちゃん?」


「どーせあの積乱雲が綿菓子みてーで旨そうとか思ってたんじゃねーの」


失礼なことを

銀ちゃんと一緒にしないで欲しい


「どーいう意味だよ」


「そのままの意味でしょ。そんなこと考えるのアンタだけです」


そうだ 私はそんな甘党ではないし、何より銀ちゃんみたいにパーじゃない


「誰の何処がパーだって?」


自覚もないのか、可哀相に


「きっと、遂に糖が頭に回っちゃったんだよ」


ああ、到頭きたのか 悲しい現実に暫し黙祷


「回ってねーし回らねーよ!!合掌すんなァァァ!!!」


ギャーギャー煩い


「騒ぎすぎですよ、銀さん」


「全部俺の所為ですかコノヤロー」


喚き出したのは銀ちゃんじゃないか


「その原因を作ったのは誰だよ」


アホなこと言い出したのはどっかの天パだろう


「ボケちゃったんですか、銀さん」


「…お前ら俺をからかってそんなに楽しいか」


それは、精神年齢が同等の相手にするもんだって聞いたことがある


「…つまりそれの意味するところは?」


「銀さんと同じ立場にするなってことだよね」


その通り


「…上等だコルァ」


お、反撃に出た


「別に怖くないよね」


「取り敢えず神楽、お前アレな。アレバラす」


アレって何だ 別に言われて困るような事は無い


「ほーぉ、そーかそーか。じゃあいいな。アレは確か一週間前ババァの…」


ナマ言いましたすいまっせん


「判れば宜しい」


「早っ!謝んの早っ!!てか一週間前お登勢さんの?何ですか?」


そこは気にしたら負けだ新八


「すっごい気になるんだけど」


「そんで新八、お前はアレな。お仕置きだから」


「は?」


「今日寝かせねーから。覚悟しとけよ」


「いやいやいやいや意味解んないですから!」


「いーよ、別に。どうせ今解っても最終的には訳判んねーことになってっから、お前」


「ちょっ、アンタ何言って…!!」


「え、詳しく言っていいの?つまり…」


「うわぁぁぁぁ!!調子乗ってすいませんでしたァァァ!!」


「時既に遅し」


「何でだよ!!」


「苦情は一切受け付けません」


「不公平だァァァァ!!」



…一生いちゃこいてろ、バカ夫婦

















「神楽ちゃん」


名前を呼ばれて、ぱちりと目を開けた。

え、目を…開けた?


「いくら夏だからって、髪も乾かさないでこんなとこで寝てちゃダメだよ」


私の隣に膝を付き、上から覗き込むようにして見てくる新八。


その顔から視線を横にに滑らせば、見慣れた天井と窓が目に入った。


太陽は頂点をいくらか過ぎた程度で、差し込む日差しはじりじりと畳を焼いている。



汗を掻きすぎてべたべたとくっつく肌に耐えきれずシャワーを浴び、少しでも涼しい所に居ようと和室に来て寝転んだ。


電気の付いていないそこは吹き込む風も少し冷たくて、心地良いと思ったところまでしか記憶がない。


どうやら寝入ってしまったらしい。


自分の行動をぼんやりと思い出していると、新八が立ち上がりながら言った。


「お昼寝するならちゃんと髪乾かして、タオルケットか何か掛けてね。あ、あと髪が濡れたまま畳に寝転がったらダメだよ。畳傷んじゃうから」


しっかり私と畳の心配をしてから、和室を出て行く新八。



未だに意識が半分飛んだ状態のまま、居間で話す銀ちゃんと新八の声を聞く。



あの夢は、一体何だったのか。


二人は別にそんな関係じゃない。


今は、まだ。


二人共想い合っているのに、お互いに一歩踏み出せば届くことを、知らないのだ。


何とももどかしい奴ら。


多分きっと、あの夢が夢でなくなったらとんでもなく腹が立つだろうけど。


それでも、まぁ我慢してやろうと思う。

(そうなれば、文句一つ付けようのない立派な家族アル)


パピーと、マミーと、娘と、愛犬。



夢は願望の現れ、とはよく言ったものだ。


「早く気付いて、くっついちまえヨ」


隣の部屋の二人に気付かれないように小さく、夢の成就を願った。








有難うございました!!







TOP



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -