喜捨 「なあ、旦那。オイラ達はどうして 一つの物体になれねーのかな、うん」 どんなに抱き合っても、どんなに押しくら饅頭をしても、どんなに身体を重ねても。 オイラ達は粘土のように一つになることは出来ない。 肉体的な壁が、立ち塞がる。 「……お前は俺を愛してないのか?」 「何を言ってるんだい?オイラはこんなにも旦那を………!!」 「だったらもうそんな壁もう超えてる」 ―――ああ、そうか。 オイラ達はそんな断絶なんてとうの昔に超えていた。 フィジカル的な、個人主義なんて断絶を超えられるのは、そう愛、慈悲だけ。 今更、旦那に気づかされるなんてな。 次の瞬間、息を吸い込むことが楽になった。 愛は慈悲であり、また慈悲は喜捨である。 |