がたん、と音をたて兵助は八左ヱ門を机に押し付けた。
「へい、すけ?」
「はっちゃん。好き、好きなんだ。大好き」
「俺も兵助の事、好きだ…」
「違う!」
八左ヱ門がいつも通りの言葉を言い切る前に兵助はその言葉を大声で遮った。
「違う!違うよ、はっちゃん…!俺の好きはそんなのじゃない!その好きじゃない!」
兵助の表情はいつもの冷静なものではなく今にも泣き出しそうなものだった。
「違う…!違うよ、本当に好きなんだ…!」
「だから、兵助。それはただの勘違いだ。」
「…なんで?はっちゃんはなんで隠そうとするの…?」
「…隠してなんかねぇよ。」
「嘘。ねぇ隠さないで、はっちゃん…。」
「俺は…隠してなんかない。兵助もさ…本当の気持ちに気付けよ。」
八左ヱ門は静かに呟けば兵助はまた一層悲しそうに顔を歪めぎゅう、と八左ヱ門に抱きついた。
(装い、装って)(本当の心)
駄目。駄目なんだ。気付いては。
本当の気持ちはこわいから。
だから装わなくちゃ。隠さなきゃ。
よそおい