ネタ帳

(勝手に増えたり消えたり)





ディストピアものっぽい狛苗A




「昔の話に、パンドラの匣っていう話があるね」
 知ってる? と聞いてくる少年に、狛枝は小馬鹿にしたような視線を向ける。
「有名な話だ。何だい、キミは自分をパンドラの匣に残った希望だとでも言いたいわけ?」
「違うよ」
 苗木は先程まで浮かべていた友好的な笑みを引っ込め、首を振る。すっと、心なしか温度が下がるような心地がした。
「パンドラの匣に残ったのは希望なんかじゃない。偽りの希望だ。あれがあるから、人々はありもしない未来や幸福を期待して生きなければいけない」
 苗木の言葉に狛枝は思わず息を潜めた。狛枝が苗木に対する感情を苗木自身が抱いていたということ以上に、誰よりも希望を信じているはずの苗木からそんな言葉が出たことに驚きを隠せなかったからだ。
「フフッ、変な顔……」
 目を白黒させる狛枝をみて、苗木がふっと笑う。
 ようやく狛枝は自分がからかわれていたことに気付き、再び苗木に冷たい目線を向ける。しかし、苗木は楽しそうに笑うばかりだった。
「キミって案外わかりやすいんだね」
 まだ笑っている苗木に、狛枝は苗木の視線から逃れるように顔を逸らした。
「キミは案外、食えない人間だ……」
「そりゃあね。そうじゃなきゃ、あそこでは生活できないもの」
 また例の遠い顔をした苗木の横顔を、狛枝はまじまじと見つめた。
 今目の前にいる彼は、いつも扉越しに見ていた彼とは全くの別人に見えた。ゲートの向こう側で人々に明るい笑顔を振りまく神々しい姿は形を潜め、人をからかって笑っている、ただの普通の少年だ。
 よく見れば目の下には隈が見えるし、心なしか頬もやつれて肉が削げ落ちている。体も狛枝に比べて小柄であるし、肉付きも決して良いわけではない。とても日々贅沢な暮らしをしている人間のいでたちではない。
「何? ボクの顔に何かついてる?」
「別に、何も……」
 狛枝は再び外へと視線を向けた。先ほどまで降り続いていた雪は既に根雪に変わり始めていた。



 ディストピアもの閑話休題。
 シニカル苗木君と弱ってる苗木君にときめきを隠せない今日この頃。









ディストピアものっぽい狛苗@
(苗木君が希望の象徴として、国を統治している世界のお話)



「見て、苗木様よ」
「あれが希望の……」
 
 チッ。
 聞こえるように舌打ちをすれば、女性達は慌てて口を噤んだ。
(そんなことなら、最初から黙っていればいいのに)
 わざと睨み付けるようにして歩けば、女性達は青年を避けるように距離を置いた。そのまま通り過ぎようとすると、陰口とも言えない野次が背後から飛んできた。

「何あの態度……」
「感じ悪いわよね。ほら、彼は××だから」
「道理で」

 納得した様子を見せた女性達に、振り返って再び睨み付けてやれば、扉の奥へ逃げるように姿を消してしまった。
 ××。
 この国で汚らわしい言葉として、口に出すことも憚られている言葉だ。この希望に満ち溢れた都市には不要な言葉として、誰もが口にしなくなって久しい。

 通用口から回って正面口に出ると、ゲートの前には既に人だかりが出来ていた。誰もが希望を一目見ようと必死になる様はひどく醜かった。
 青年は大衆を横目に路地裏に続く道へと足を向けた。ひときわ大きな歓声が正面口の方から聞こえたので更に足を速めた。
 全く聞くに堪えない悲鳴だ。豚の悲鳴の方がよっぽど心地良いくらいだ。
 また一つ舌打ちをすると、青年は曲がりくねった裏通りを道なりに進んでいった。途中左右に分かれた隘路があったが、それに目もくれることなく、真っ直ぐ歩いて行く。そうして、いくらか歩いた所で青年は足を止めた。
 
 錆びれた煉瓦造りの街並みに同化した、大した特徴もない家だ。扉にCLOSEと書かれた立札があるので、やっとそこが何かの店だと窺い知れた。ショーウィンドウには申し訳程度に小さなブリキの置物が置かれていたが、長い間掃除をしていないのか埃まみれになっていた。
 青年は怪しむことなく、扉を開け、強引に中に入る。カラン、と少し錆びた鐘の音が店主に来訪を告げる。

「またお前さんか」
 新聞から視線を上げずに、老人が青年を出迎えた。眉間にしわを寄せ、何やら難しい顔をしている。青年はそんな老人の様子に目もくれず、カウンターにおざなりにズタ袋を置いた。
「ほらよ、それならこれで十分だろう」
 老人はズタ袋を一瞥すると、カウンターの下からいくらか食物を選び紙袋に入れ、カウンーに乱雑に置いた。

「いつもありがとう、助かるよ」
「ふん、どうだか」
「本当に感謝してるんだよ、ボクみたいな人間に食料を分けてくれる人間なんてめったにいないからさ!」
 青年は紙袋の中身を慣れた手つきで確認する。青年は再び老人に礼を言うと、来た時同様、颯爽と去ろうとした。青年が扉に手を掛けた瞬間、
「苗木様が即位してから、この町は変わった。もちろん、良い意味でな。儂らみたいな貧乏人も毎日の暮らしに怯えることなく生活出来るようになった」
「……ボクはそうは思わないよ」
 カラン。錆びた鐘の音が店内に響いた。



 苗木君出てくるまで、と思ったんですが、力尽きたのでここまで。
 絶望がなくなった世界で希望として君臨する苗木、そしてそれを否定的に見ている狛枝の話です。
 結構前から考えていて、オチも決まってるんですが、途中経過をどうしようかと考えあぐねているうちにお蔵入りに。









ボクの召使い@

絶対絶望少女if妄想ネタ。
ネタバレを多分に含むので、最後までクリアした方、もしくはネタバレOkな方のみ追記からどうぞ。



追記






目指せポケモンマスター!
(狛苗でポケモンパロのようなもの)



「やっぱり駄目か……」

 何度目と知れぬ溜息を吐くと、苗木は茂みに散らばったモンスターボールを集めにかった。
 苗木が一つずつ回収しているのを、少し遠くで見つめる視線が一つ。
 真っ白な毛並をした、可愛らしい容姿のポケモンだ。
 どこかウサギを彷彿とさせる容姿で、頭の横に長い耳があり、大きな尻尾はふわふわとして心地良さそうだ。
 ポケモンにしては珍しく衣服を纏っており、深緑色のパーカーが風にはためいている。
(完全に舐められてるよなぁ)

「ほら、狛枝クン」

 モンスターボールをちらつかせて、こちらを見つめている影に投げつける。
 ぽんっ。
 ボールは狛枝と呼ばれたポケモンの尻尾に蹴落とされて、茂みの向こう、森の方まで飛んで行ってしまった。
 既に辺りは夕日が差し掛かっており、探すのは難しいだろう。
 ボールを放り出した張本人と言えば、どこ吹く風といった調子でそっぽを向いている。
 かれこれずっとこんな調子だ。
 再び溜息を零すと、モンスターボールの回収を止め、寝床の準備を始めた。


 ポケットモンスター。
  ポケットに入るくらい小さなモンスター、略してポケモン。
 ポケモンはおよそ100種類以上存在すると言われているが、まだ不明瞭な部分が多く、たくさんの研究がなされている。
 今やポケモンは人々の生活に入り込み、かけがえのない存在になっている。愛玩用として、時にはパートナーとして。
 そうやってポケモンと心を通わせた者達のことを、総称してポケモントレーナーと呼んでいる。
「ボクもいつか立派なポケモントレーナーに」

 苗木は誰に知れるともなく呟いた。
 隣ではすでに狛枝がスースーと寝息を立てている。
 寝返りを打ったせいか、肩にかけていたタオルが乱れていた。
 くしゅん。
 肌寒いのだろう。狛枝は不機嫌そうに身じろぎし、体を丸めた。
 苗木はクスっと笑うと、ずれていた毛布を掛け直してやった。

「これから、よろしくね」

 まだ心を開いてくれてはいないが、根気強くやっていこう。トレーナーとしての道はまだ始まったばかりなのだから。
 苗木はよしっと活を入れると、狛枝を抱き締めて、眠りに就いた。
 狛枝は少しだけ嫌そうにしていたが、抵抗も空しく、すぐにそのまま二人は仲良く眠りに就いた。

随分前にフォロワーさんと狛苗ポケモンパロで盛り上がったので、その時少しだけ書いた物。
狛枝は支部の育て屋さんのパロにあるように、イーブイを想定してます。
しかし、どんな話をしてたのか、もう思い出せなくて、勿体ない事をしました…。








バイト中はお静かに
(日苗兄弟パロの続きのような物)



「この後ちょっと付き合って欲しいんだが」

 ホームルームが終わり、いそいそと帰り支度をする狛枝に、内心うんざりしながらも日向は声を掛けた。
 無愛想になってしまうのはご愛嬌だ。
 変態が服を着て歩いていると言っても過言ではない目の前の男と放課後を一緒に過ごすなんて想像しただけでもおぞましい。
 そのような苦行は普段の日向にしてみれば、仮に大金を積まれても避けたい所だが、今回ばかりは事情が事情だけに止むを得ない。
 腹を括るんだ、日向創。
 顔が引きつるのを自覚しながらも精一杯の笑顔を浮かべて、日向は狛枝に話し掛けた。

「え、嫌だよ。あいにくボクは日向クンなんかに割く時間は持ち合わせてないんでね」

 何言ってんだこいつ頭おかしいんじゃないか、といつもの見下した表情をする狛枝に、思わず張り付けた笑顔も剥がれ落ちそうになる。
 狛枝のこのような態度は予想していたが、実際にされるとやはり腹が立つ。
 しかし、そんな狛枝の態度を必死で気にしていない体を装い、日向は再度狛枝との交渉を試みる。
 自身のプライドを投げ捨てるのを厭わない程、この時日向は焦っていた。
 この交渉が決裂すれば日向に明日はない。
 この手だけは使いたくなかったが仕方ないだろう。
 人類の平和のため、ひいては自身の保身のためには変えられない。

「誠がバイトを始めてな、お前を連れてきてくれって頼まれたんだが、時間がないなら仕方な「苗木クンがボクを…!? それを早く言ってよ、全く日向クンは人が悪いんだから」

 弟の名前を出した途端、案の定、不機嫌な態度から一転、上機嫌になった狛枝に日向はもはや言葉も出なかった。
 しかし、今回ばかりは狛枝の弟への異常なまでの執着に助けられたというべきか。
 無事交渉が成立したことに、日向はほっと安堵のため息を吐いた。

「じゃあ付き合ってくれるんだな。バイト先は、学校を出てすぐの喫茶店だ」
「確かソニアさんが美味しいって褒めていたお店だね。それじゃ早速行こうか」

 喜びを隠そうともせず、どんどん先を歩く狛枝の姿に日向は改めてため息を吐いた。





 元々は苗木君がバイトしてる所に、遊びに来る狛枝が書きたいがために出来たネタ。
 兄弟パロも、実はこちらの方が先に出来ていたんですが、上手く形に出来なかったのでお蔵入りに…。







ボクの考えたダンガンロンパ!!
(本編捏造系オールキャラギャグ……になる予定)



 私立希望ヶ峰学園―――。
 その分野において超一流の才能、“超高校級”と称される才能を持つ高校生を集めた学園だ。
 ここに入学することが出来れば、将来は約束されたも同然とまで言われている。

 その学園に、ボクは宝くじに当たるよりも低い確率を勝ち取り、入学することが出来た。
 だからといって、ボクが他人に自慢出来るような特技を持っているわけではない。

 ボクがこの学園に入学出来たのは、運が良かったから、それに尽きる。
 何でも希望ヶ峰学園は、毎年、一般的な高校生の中から一人をクジで選んで、“超高校級の幸運”として招き入れているのだという。
 今年の幸運枠として、ボクが選ばれたというわけだ。
 確かにすごい幸運ではあるけれど、運なんて才能と言えるんだろうか。

 周りの生徒は素晴らしい才能を持った“超高校級”の生徒達ばかりで、とてもじゃないがボクみたいな一般人が上手くやっていけるとは思えない。
 でも、ここまで来たんだし、うだうだ考えても仕方ないよね。
 よし、と気合を入れて、ボクは憧れの希望ヶ峰学園の門をくぐった。
「きゃっ」
「うわぁっ!?」

 入学案内と一緒に同梱されていた地図を見ながら歩いていたために、ボクは学生の誰かとぶつかってしまったようだ。
 ぶつかった衝撃で、お互い地面に尻もちをつく。

「ご、ごめんなさいっ、前を見てなかったから……」

 慌てて立ち上がり、相手を助け起こそうと手を差し出した瞬間、ボクの思考は完全に停止してしまった。
 それも仕方ないことだろう。
 だってボクがぶつかったのは、あの舞園さやかだったのだから−――……。






 パンを口にくわえた少女とぶつかる定番ネタがやりたかったんです。
 アニメ開始前に思い付いたのはいいものの、書きあげられず没にしたネタ。
 一応、オチも考えてあるので、もしかしたら続くかもしれません。









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