もう戻れない
「痛てぇ…痛てぇよヒル魔―――」
いつからだろう、ヒル魔がああなったのは。
「縛りてぇ」
普通にセックスして、お互い1回ずつ抜いて、2回目に雪崩れ込もうとしたとき。ヒル魔が言った。
何でもないみたいにそう言って麻縄を取り出した。
ヒル魔はたぶんソッチの気だろうと付き合う前から薄々分かってた。だから大人しくしていたんだけど。
麻縄がコードになり、鎖になり、俺は幽閉されているみたいにジャラジャラと鉄を纏う。
鞭で打たれ、躯中が生傷だらけ。痣も消えず、増えるばかり。
いつ終わるんだ―――?
もう、日の間隔が分からない。
タスケテヒルマ、ヒルマ――――――――――
* * * * * *
足りねぇ足りねぇ足りねぇ―――!
お前は繋ぎ止めとかねぇと逃げそうで。
苦しそうに喘ぐお前を見たくねぇのに、手が勝手に動く。
今日もまた増やす。
決めたんだ。
もうお前を離さねぇ、何処にも行かせねぇ…!
嫉妬深いってお前知ってんだろ?
Fin.