俺の彼氏
部室のドアを開けるとまず、銀が立っていた。
俺の特等席の机の上には『何か』があって、周りをカメレオンズのメンバーが取り囲んでいた。
「ルイ」
挨拶もなしに、銀が困ったように手招きする。
机の上にあったのは、、、
「…?ヒル魔…?」
「そう!けど違う!これ!」
何十枚もあるヒル魔(隠し撮り)の中から銀が取り出したのは―――
「!!」
いつこんな―!?
先日ヒル魔と行ったラブホテル。
遠出したついでに泊まったんだけど―なんで写真なんか。つーかヒル魔の隠し撮りなんて何の為に!?
「ヒル魔の弱味を探してる内に何人かヒル魔に惚れちゃったみたい」
「―――は、ぁ?」
「で、ルイとホテルイン。ロニの話によると昼まで出て来なかったって?」
「………あー…」
ヒル魔がメチャクチャにするから、立てなくて。朝になってからも暫く『休憩』してた。
「ヒル魔とうちのヘッドがよく一緒にいるってゆーのはまだ理解できる。賭け試合云々だし。でもホテルってのは―つまりソウイウコト?」
俺とヒル魔は『付き合ってる』。でも誰にも言ってねーし言うつもりもねぇ…、んだけど。
『ヒル魔に惚れてる』?そりゃ、アメフトしてるときはカッコイイ…と思う。顔立ちも綺麗、だ。けど、性格分かって言ってんのカッ!!?
「ルイなら諦めると思うけど、実際のとこどーなの」
「………………」
全部吐いちまう?賊学ヘッドが付き合ってる相手は泥門の悪魔で、女役やってますって?
―いや、それはまずい、よな…?威厳にも関わるし、何より今までの努力が水の泡になっちまう。折角隠し通して来たっつーのに。
「………………」
「葉柱は俺ンのだ」
答えあぐねていると聞き覚えのある声がした。
必然的に全員がドアに目を向ける。そこにはやっぱりというか、泥門の悪魔こと蛭魔妖一…がいた。
「最近どうも周りがうぜーと思ったらお前らか」
うそ、全然気付かなかった。
「―よくもまあ、」
机の上の『自分』を一瞥してヒル魔は言い切った。
「終わったことはしゃーねー。ただしこれで最後だ。出血大サービスしてやる。ありがたく受け取りやがれ!」
YAーHAー!と叫び、ブレザーを脱ぎ捨てた。
「…ヒル魔…?」
「触んなよ、見るだけだかんな」
ヒル魔は目の色の変わった舎弟たちに飛び切りの流し目をくれてやり、煽るようにシャツのボタンに手をかけた―――
ヒル魔が最後の布一枚に手をかけたところで、俺と銀とツン以外の一人が鼻血を出して倒れた。
どうやら今のが最後の一人だったらしく、ヒル魔は服を着出した。
「ルイは渡さねーよ?」
最後にブレザーを羽織って、見せ付けるように抱き締められた。
「なんで俺に言うの?」
へらっ、と笑う銀の顔にはいつもの表情がなくて。
「お前だけはルイ狙いだからな。しかもルイが下って分かってんだろ?」
「カァァァ!!?」
うそだろ?
「他の奴等は俺が下だと思ってたみたいだがな」
…ミタイデスネ。
「―銀…俺…」
銀の気持ちは嬉しい、けど…俺、ヒル魔好きだし………
「もういいよ、分かったから。…まぁ諦めないけどv」
「糞!」
「ヒル魔」
「あ゙?」
「3Pとか試してみたくない?」
「………」
「カッ!?な、に、言ってやがるッ!考えんなヒル魔!!」
「…糞ドレッドよりはてめーのが良いかもなァ」
「はぁッ!?阿含とか、ぜってー嫌、だからなッ!!!」
「じゃあ糞銀髪で決まりな」
「らっき♪」
「カァッ!!?」
ナンデ俺の意見は無視されるんだよ!!