ksxx5

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The devil has the best tunes.



毎週平日の深夜に来てコーラと無糖ガムだけ買って行く人。
名前は知らない。知る必要もない。
けれど狂おしい程気になって。金髪碧眼の「彼」が。

































「ねーぇ、ルイってば」
「……………」
「聞いてる!?」
「………っぁあ、聞いてる」
「じゃあ何の話してたか言ってよ」
「…っあー‥わり、聞いてなかった」
「ほーらやっぱり。もぅいいっ」
「わりぃって」


あーもうそろそろこいつも潮時かな。そんなことを考えながらバイトに向かう。


「いらっしゃいませ―」


今日も“あの人”が来た。
最近気付いたんだが、左手の薬指に指輪が付いていた。かと思えば付いてなかったり。
普通結婚指輪って頻繁に取り外ししねーよなあ?
ヤバい、ますます気になる。


「セッターボックス」
「…え、」


あるときコーラと無糖ガム以外のものを“あの人”が買って行った。


「…煙草、吸うんですか」
「悪ぃか」
「いえ、」


それから間もなくして。


「なぁ、今日何時に終わんの」


いきなり会計時に声を掛けられた。


「…えっ、‥‥‥1時ですけど…」
「‥ふーん。ならそんくれーにまた来る、ケー番渡しとっから終わったら連絡しろよ」


なにこれナンパ?
驚いたまま固まっていると、名詞の裏に何やら番号を書いて渡された。


「‥待ってっから」


名詞には代表取締役 蛭魔妖一、って書いてあった。ひっくり返すと裏には11桁の携帯と思わしき番号。


「『ひるまよういち』…?」


ずっと仕事中『蛭魔さん』のことを考えてた。
電話…した方がいい?着替えながら散々迷って外に出ると黒いベンツが止まってた。
中には蛭魔妖一。さん。


「…おい。何帰ろうとしてんだよ」


ゼファーの方へ歩き出した途端、蛭魔さんが降りてきて。


「ちょっと付き合えよ」
「………」


黒光りする車の助手席に乗せられた。


「‥‥‥あのぉ、」
「ん、なんだよ」
「なんで…?」
「ナンパしちゃ悪ぃのかよ」


やっぱナンパだったんだ。


「…どこ向かって?」
「飯食った?」
「まだ、ですけど」
「じゃ飯屋」
「てか奥さんいるんじゃ?」


こっち側からだと見えない左手薬指についている指輪を思いながら聞く。


「あー‥外し忘れてた。昨日離婚したんだよ」
「…そう、なんだ」


離婚したらソッコーで次の日ナンパかよ。


「気になる?」
「別に…」


うそ。気になる。


「食いたいもんあっか?」
「特にねぇけど…」
「ふーん?じゃあ文句言うなよ」


ケケケ、と蛭魔さんは笑って。

















ほいほいついて行った俺が馬鹿だったんだよな。









Fin.

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