ksxx5

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ヒル魔さんの葛藤




くっそ。なんで俺がこんなことしなくちゃいけねーんだ。
それもこれも、あいつが悪ぃ。
……俺も悪かったかもしんねぇけどよ。


「糞」


甘臭ぇんだよ。


「全部1個ずつ詰めろ」


ショーケースを指しながら口早に言って。
早く帰りてぇんだ、さっさとしろ。舌打ちをしたら店員が怯えた顔でお会計を…と言った。






































ピ―ンポ―ン













「…ヒル魔」


ガチャ、とドアが開いて、中には驚いた葉柱がいた。


「…なに」


まだ怒ってんのか。


「…悪かった、」
「‥‥‥俺のこと、あんま苛めんな。ばか」


一呼吸置いて、葉柱ははにかんで。


「つーか何持ってんの?」


差し出せば、葉柱の顔が一瞬で綻んだ。


「これ、駅ナカ限定100個のクリームブリュレじゃん。しかもこっちのは青山の美味いって評判のケーキ屋のやつ!これも美味いって評判のロールケーキ!こっちのは代官山にあるケーキ屋のやつだろ、これ食ってみたかったんだよなあ」


ペラペラと予約待ちがどーとか、即完売するからとか、聞いてもねーことを喋る。


「…これどーしたの」


漸く落ち着いて。


「やるよ」
「まじで!!?」
「おぅ」
「まじで、まじで、食っていーのかよっ!!?」
「いーっつってっだろ。それとも何か?俺が食うとでも?」
「………思わねぇけどー‥でもヒル魔が買って来たんだろ?」
「つーか甘臭ぇから早く受け取れ」


有無を言わせず上がり込んで。


「コーヒー」


言えばケーキの入った箱をテーブルに置いてキッチンへ。
鼻唄混じりに口ずさんで、コーヒーを持って来る。


「はい」


俺の前にコーヒーの入ったマグを置いて。
何から食おっかな〜♪と如何にも楽しそうだ。


「誕生日よりすげーかも」


パクつきながら嬉しそうに頬張る葉柱。
生クリームがついてるのにも構わず、食い続けてやがる。


「…ッ」


あ、やべぇ。今のキた。エロいんだよてめぇ。
あンときの顔に似てんだよ。ブッ飛んでイッちゃってるときと。


「美味ぇ?」
「おぅ!」


あーーーやっべーヤりてぇー
でも怒るんだよなあ、ケーキ食ってるときは特に。


「…なァ、」
「ヤらねーぞ」


っあ゙ー!くそっ!糞っ!!


「…ン?」


ヤベ、気付かれたか?後ろに移動してんの。


「食いてーの?」
「…口移しでなら」
「ばか言ってんじゃねーよ」


あ、やべぇ!今のやべぇ!!


「………っしゃーねぇなー」


お!?まじで?


「…はい、あーん」
「‥‥‥」
「美味い?」
「……糞甘ぇ」


くそっ!違ぇんだよ!!!糞っ!
スプーンじゃ意味ねぇんだよ!


「‥‥‥‥‥ひるまー」
「あ?」
「あり、がと…」
「…おう」


…ま、いいか。
食い終わるまで待ってやる。から、早く食え。










Fin.

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