ポーカーフェイスな彼
「…ッ!」
ヒル魔の指が手に触れてビクリとした。
ほんの些細な―指先が触れ合うだけでも俺の躯は敏感に感じる。
「………」
それを見たヒル魔はニヤリと特有の笑みを浮かべて。それから指先を口元に寄せた。
んー―と考える仕草なんざ普段からしたことねーのにカリ、と指を咥えて。完全に目線はパソコンに向かってんのにそれ以外の気配は俺を捕らえて放そうともしない。
「………」
ヒル魔の手が伸びてペンを取る。何かを書いた後また口に寄せて。
今度ははっきりとこっちを見た。
舌を出して舐め上げ口付け、逸らさず見つめてくる。
「…っ」
舐めるみたいな視線は躯中を這い回り、熱くなる。
次にヒル魔は数え切れねー携帯の中から1つを取り出して。カチカチと素早く打ってまた元の鞄に戻すとパソコンに向き戻った。
ピロリン♪
メール受信を知らせる音が鳴って。
【受信メール1件】
見れば。
差出人:ヒル魔
目の前の悪魔サマから。
件 名:no title
本 文:
お前今すげー可愛い顔してる
やべぇ勃つ
俺以外誰にも見せんな
― END ―
「〜〜〜〜っ、ハァ!??//////」
「葉柱ー立ったついでにこれ買って来い」
驚愕と羞恥でビックリして立ち上がったら、ピシッとメモを渡された。
見れば手短にコーラ、無糖ガムとだけ。下に小さくなるべく遠くのコンビニで買って来いと。
…きっと、顔は赤い。見なくても分かる。
顔と身体の火照りを冷ますには丁度良いと思ってソッコーで部室から出る。一瞬見えたヒル魔は、それはそれは愉しそうに笑ってた。