I played into his hands.
「なァ…俺のこと好き?」
「…………は?」
じっと見つめられて頭が真っ白になった。
俺何言ってんだ…
「…っ悪ぃ!忘れて!」
「………………ふ〜ん?まあいいけど」
俺に惚れんなよ?ってニヤッと笑った顔が全部見透かしてるようで。
「……すっげー自信」
「俺はお前のこと好きだぜ」
「………。カァアアア!!!!!??」
「んな驚くことかよ。わざわざ嫌いな奴側に置くわけねーだろ」
「……うそ…。」
「残念だったな、ホントだ。なぁ…ルイ。うち来いよ」
ルイ、って…
「お前が前見てぇって言ってたとこの練習試合のROM手に入ってよ、今日見ようかと思ってんだけど──まあ見たくねぇなら無理に誘わねーけど」
だめだって分かってる。わかってる…
「言っとくけど貸さねーからな」
「…ッ、行く…!」
そう言うとニヤリと笑って。
「おーけー。うちな、コンビニ寄れ」
「………お前いつもコンビニじゃねぇ?」
気になって飽きねぇのって聞けば予想外の答えが返ってきた。
「……お前が作るか?」
「……えっ…」
ヒル魔に自炊しねーの?って聞けば面倒臭ぇからしねぇって返ってきた。確かにヒル魔が料理とか…似合わねー、かも…。
「……………簡単なもんしか作れねぇぞ」
「いーぜ」
ヤバい、どんどん決まってく。
「あ、皿とかあんまねーからな」
………どうしよう。
とりあえず材料を調達しにスーパーへ。
「……米は流石にある…よな…?」
「…………米?」
「炊飯器で炊くこともしねぇ感じか?」
「つーか炊飯器ソノモノがねぇ」
「………やっぱ今日は外で飯にしねぇ?」
「あ?なんでだよ」
うわ、すげぇ不機嫌。つかそんなに食いてぇのかよ?
「皿に乗ったもん食いてぇじゃねーか」
「……お前んち見てからじゃねぇと不安で」
「チッ」
「…流石に鍋はあるよな?」
「……ある。」
その間はなに。突っ込まないようにして。
「なあ。焼き肉食いたくね?」
近くの焼き肉屋が目に入った。
「家飯。」
「だから今度なー!」
「チッ」
……………なんとなく、そんな気はしてた。そうじゃねぇかなって。
でもさー。いくらなんでも。あまりにも。酷くね?
「あっ、ちょ、それ…」
「あ゙?」
「……………」
焼き肉を食いに来たはいいが悉く俺が育てた肉を根刮ぎ盗られる。
ヒル魔が自ら焼いて食うとはあんま思わねーけど。でもさ、俺の分ぐらいちょっとぐらい…
俺が肉を満足に食えたのはヒル魔がシメになってからだった。
食い終わってから結局コンビニに寄ってつまみと酒を買って。
ヒル魔んちの部屋の前まで来たら抑えてた緊張がまたきて。
ドキドキしながらヒル魔んちに入る。
「お邪魔します…」
「おー」
ごっさり物が散乱してる中に辛うじて見えたリビングテーブルに荷物を置いてるとヒル魔が早々に缶ビールを開けだした。
「ちょ、ッ」
つまみも開いて…あーあ。
チラッと覗いたキッチンは綺麗すぎた。なんつーか、ものがねぇ。これなら俺んちにヒル魔が来てくれた方がやりやすいなあ。
そんなことを思いながらヒル魔の隣の申し訳程度にあるスペースに腰を下ろす──下ろそうとしたら腕を引っ張られてバランスを崩した。
「……ッて…」
「………………」
あれ…なにこの状況…
ヒル魔が上にいて俺は押し倒されてる。
「…ヒル魔?」
「ん?」
「なに…」
「……鈍ぃなァ…」
チュッとリップ音が聞こえた。
……まさか。じっとりと汗が滲む。
「いやか?」
ちゃらけて言ってるが眼はマジだ。
「ゃ…、」
ゆっくりと押し返して座るとヒル魔の眉間が寄る、けど。
「…………っ、」
瞬発力で立ち上がって帰ろうとしたらパシッと腕を掴まれて逆戻り。
「オイコラ逃げんじゃねーよ」
「ひ、っ」
「……本当に嫌ならしねぇけど。そうじゃねぇだろ…?」
「……………。……ここですんのかよ」
「……………………」
「…ゃ!っじゃなくて………」
「なんだよ」
ヒル魔の隣に座り直す。少し、距離をとって。
「ヒル魔って俺のこと好きなのかよ?」
「言わなかったか?」
言われたような、でもホントにそーゆー意味だとは思わなかった、し…。
「好きだ」
「…ッ」
「……ルイは──嫌いか?」
卑怯だ。
「…………………カッ…嫌いなわけ、ねぇだろ…」
ヒル魔がニヤリと笑う。顎を捕らえられて反射的に目を瞑ったら触れる程度のキスをされた。啄むように唇を触れさせ合って、隙間から舌が入ってくる。
「ん……」
口内を散々犯してヒル魔は離れた。
「このままここでがいいか?それとも、」
生々しい。
「……………。」