教室H
珍しく緑のネクタイをしているヒル魔。俺の視線に気付いて少し弛めてから外した。
「………手出せ」
「…?」
わけが分からず手を出すと金色のボタンが一つ渡された。
「…なに?」
「俺の第二ボタン」
いらねーなら返せって言う。
「…いる」
イチオウな。
「…なあ。このままヤろうぜ?」
ニヤッと意地悪に笑うヒル魔。それに合わせて笑って。
「……いいぜ」
「来いよ」
「……ってここかよ!」
ヒル魔に連れられてやってきたのは泥門の教室。夕暮れ時の教室はオレンジ色に染まってる。
「…ここではヤッたことなかったろ?」
まあいいか、なんて思うのは相手がヒル魔だから。わかってんのかよ。
無理やり連れ込まれて保健室や体育館裏、屋上や部室でヤッたことはある。特に部室では数え切れない。
もう残ってる奴らなんていねぇだろ、そう思って承諾したんだけど。
「んっ…」
教室の真ん中あたりでキスされた。
クチュ…と舌が入ってきて犯される。
「……は、」
舌の裏をなぞられて吸われて、もうわけわかんね。
クラッと腰から力が抜けたところでヒル魔に支えられた。そのまま机に座らされると唇にまたキスが降ってきた。啄むようなキスの後ゆっくりと首筋に向かって噛まれた。
「ッ…ヒル魔…?」
学ランを脱がされてシャツの下からヒル魔の指が入ってくる。
腰骨を緩く、確かめるように触れられ、なぞられて。
「んッ…」
ヒル魔の指が突起に到達した。
こねくり回して摘む。痛いくらに捻られて気持ちいい。
「あ……、」
「エロくなったよな」
ヒル魔に笑われて、それにも感じる。そんな風にしたのお前なんだから。責任取れよな。
「気持ちいい?」
「…っ、ん」
突起に吸い付かれて慌てて声を飲み込んだ。
ぺろっと舐められて吸われて、最後にヒル魔の尖った犬歯で噛まれた。
「………アっ、んン!!」
「……早ェな…」
「……………うるせェ、」
緩慢な動きでゆっくりとベルトを緩めてパンツをズボンと一緒に落とす。
「あ、あ、ぃい…!もっと・くれよ…」
体を預けて支えにしている、今にも壊れそうな悲鳴を上げる机。ギシギシ言う音が心許ない。それも全部掻き消すくらい肌の打ち合う乾いた音が耳に響く。
「あっ!ア、っ…んン…!」
ぬちゃっぬちゃとやらしい音に混じって聞こえるヒル魔の熱い吐息。それに混じって無機質な電子音。無意識的に取って通話ボタンを押す。
『あ、葉柱さん?今どこっすか?打ち上げ始まっちまいますよ!』
あぁ、親切にも連絡してくれて悪ぃが遅れるか行けねーって言ったはずだ。
「あー…、そう、だな…っ」
返事に迷ってると携帯を取られて勝手にヒル魔が告げてた。
「取り込み中だ、じゃあな」
そうだ、けど…っ
しかも切ってるし…
「なんだ?聞かせたかったのかよ」
「ん、な、わけ…っンぁっ、あっ、あ!」
スパートをかけられて机がガタガタ煩い。自分の声が遠くに聞こえる。俺こんな声出して大丈夫かな。うるせぇよ、バカ。
「あっ、アッアッ、イっ!!!」
「…ック」
「いった、あっ、んん…」
ヒル魔はイクとき噛んでくる。痛ぇんだよ、血出るし…でもそこまで嫌じゃねぇのが自分でもきめぇって思う。
ヒル魔が抜けたところから太腿に伝う精液。外でヤるときはゴム使って欲しい。マジで。
パンツは使いモンにならねーしそのままズボンを履くとまたナカから出てきて汚れるし。
「…ん、っ」
「………白ランだから目立たねぇけどなァ。お前ンな顔晒してっとバレんぞ?」
「いーんだよ、今日ぐれぇ。それにすぐ帰るし」
「ヘェ…洗ってやるよ」
それってイコール俺んちでまたヤるってことだよな?