HIRUONA
……おいマジか。
「…………っ…」
途切れ途切れに聞こえる吐息。
たぶんヒル魔。っつーかヒル魔。絶対ヒル魔。
オナ中。
どうすっかなあ…確かにミーティングが遅くなって遅刻したのは俺だし悪ぃのはわかってっけど…
……入り辛い。
「ん……」
「──!」
艶っぽいヒル魔の声に俺までヘンな感じ。あーおさまれーナニ勃ちそうになってんだよ俺。
掌がじっとりと汗ばんできた。
「………いつまでそうしてんだ?さっさと入って来いよ」
ドアの中から声がして渋々部室に足を踏み入れる。
「…気付いてたのかよ…っつうか、入り難いじゃん…」
「あぁ?気にすんなよ。もうイクから。それに、お前が遅ぇのが、悪ぃ」
ヒル魔は器用に右手でパソコンをタイプしながら左手でシコってる。
「……器用だな」
「は…ッ、こんぐらいAV見ながらやんのと同じ・っ…」
「パソコンでやってんのはAVかよ」
「…いや‥、つか黙れ・ッ」
喋んねーと気まずいじゃん。
部室で2人っきりでお前はオナってるし、俺どうすりゃいいの。
しかもヒル魔の声が結構エロいし。
「お前が手伝ってくれれば早ぇぜ」
「………それやれって言ってんの?」
「……まあな」
「……………手なら貸してやらなくも「口」
「〜〜っ…」
「俺他人の手でイケねぇんだよ、女にやらせるときも口だし」
「一応聞くが拒否権は「ねぇ」
バサッと着ていた白ランを脱ぎ捨ててヒル魔の足下にしゃがむ。
ハア、と溜め息を吐いてから先走りで濡れたヒル魔のJr.を咥える。
「……!いきなりかよ」
お前がやれって俺に強制したんじゃねーか。
舐めていると先走りの量が増えてきたのがわかった。もう早くイッちまえよ。
「……は、っ」
手も使ってヒル魔を追い立てる。乱れたヒル魔の荒い吐息にこっちまでヘンな気分になる。
ヒル魔の指が髪に差し込まれて乱れる。耳の後ろを撫でてから項を引っ掻くようにしていく手。
どんな顔してんだろ、と好奇心と興味で口に含んだまま目線を上にやれば色っぽいヒル魔の目と合った。
「…!」
やべ、って思ったすぐにヒル魔に頭を押さえられて喉の奥まで突っ込まれる。
「…んんンーっ!!」
どこにそんな力あるんだってくらいヒル魔の力が強くてもがいて叩いてみても離してくれない。
「…出すから‥飲めよ………ッ!」
マジかよ。涙目の俺の咥内に熱くて、苦いものが。口いっぱい。
「……!」
ヒル魔はまだ離してくれない。いい加減苦しくて、口ン中のモンを飲み込めば漸く腕の力が緩まった。
「……は、テメッ!」
出したモンを全部飲まされ終わってから解放された。
ヒル魔のシャツを掴んで一発殴ってやろうかと思ったらヒル魔の方から近付いてきてキスされた。ヒル魔の口ン中にはどうやら水が入ってたみてーで、口ン中が少し潤ったのと同時に零れた分が顎を伝って冷てぇ。
「………っ、ん…ぅ…」
無理矢理飲まされた水が無くなった後も執拗に舌を追い掛け回されて絡められて口内を蹂躙された。離れようとしてんのに腰と頭にある手が邪魔だし離してくれない。
なんでこんな力強ぇのお前…?いいように扱われてる自分にも腹が立ってムカムカイライラする。
「……は、ッ」
最後にちゅっと舌先を吸って離された。
「…ぉ…おま…お前…な・に…してん、の、っ?」
「ん?キス」
顎をヒル魔の指に拭われて、次にヒル魔の持つティッシュに、指もやって、くれ?て?
「すげー良かったぜ」
そんなことを指を舐めながら言われて。
「ぁ、ぅン……」
「やるよ、まだ苦ぇんだろ?」
水の入ったペットボトルを渡されて飲み下した精液独特の苦さが広がった。
「……ならやらせんなよ…」
ペットボトルを一気飲みして紛らわす。
「やってくれたじゃねーか」
「…………………」
「まあ半強制だけど」
「カッ!"半"じゃねーよ」
「悪ぃって。ヨすぎて調子乗った」
白ランを羽織って襟を正す。
「……いつもこんなことしてんのかよ」
「疲れるとタマんだよ俺」
「…フーン」
「お前大丈夫か?すぐバイクキツかったらちょっと休んでもいーぜ」
「あ゙ァ!!?」
「俺は事故んなきゃいーけどな、お前それで帰れんのか?」
「…カ?」
"それ"と指された方を見れば見事にテントを張ってて…
「抜いてやろうか」
「なっ、いらねぇ!」
「んーじゃそのまま帰るか?」
「……………ちょ・と、トイレ貸してくれれば「ここでしてけよ」
「カ!!?」
「トイレもここもあんま変わんねーだろ」
「はァ!?いやいやいや…何言って…」
「抜いて貰ったオカエシ」
「……尚更怖ぇよ」
「お前らんとこなら部員同士マスのカキ合いとかすんだろ?それと同じだ、深く考えんな」
ヒル魔の手がベルトのバックルにかかる。カチャカチャと外してジッパーを下げる音がしてズボンと一緒にパンツも足元に落とされた。
「……ふーん。お前使ってんの?」
ホントこいつは…!人が気にしてることを…
「うっせーな!色素薄いんだよ!」
肌も白くて…嫌いだ。
「…って!や、ちょ・ヒル魔っ!ヒル魔!」
ヒル魔の口が躊躇無く俺のを口に含んだ。
うわ、すげ…変な声出そう。つーかもうイキそう。
「…ァ・ん、っ〜〜〜〜!!?」
うわ、なに今の!!?俺!!?女みたいな声出してた…
ヒル魔は丁寧にイイトコを刺激してくる。
「…ん、っ」
イキそう…ちらっとヒル魔の方を見たらバチッと目が合ってそのままイッた。
「〜〜〜〜っ、ごめんヒル魔…」
「……………」
「……ヒル魔?」
ヒル魔は俺が出した精液を掌に吐き出してそのまま内股から手を差し込んで。
「ちょ、ちょっ…!ヒル魔!!?」
「あ゙ん?ンだよ」
「や、なにって…」
流石にわかる。
「ヤりたくない…」
「なんで」
「なんでっ、て……なんで…?」
「ならいーじゃねーか」
「…………怖ぇ、し」
「大丈夫だって、ちゃんと慣らすし」
「…………」
「後ろでイクとすげーイイんだよ、味わったことあるか?」
「……ねぇ、けど…」
「じゃあ1回やってみろよ」
「………痛くすんなよ」
「ん」
ヒル魔はそう言うとさっきの精液をケツに塗り始めた。
「…上脱いどけよ」
そのままの流れでカジノテーブルに手を付くように言われてヒル魔にケツを向けてポーズをとる。
………凄まじく恥ずかしい。
本来出口として使われている場所に指が入ってくのがわかって怖ぇ。
「……、っ」
あー俺ってば何してんの…ホントに。
***
いやいやいや、マジで何してんの…?
「飯食いに行こーぜ、奢る」
「……………は?」
は?はァ?なんで?
「……なんで?」
「詫び…つうか」
悪ぃって思ってんのか?もしかして?
「……ああでも言わねーとヤらねぇだろ」
「そりゃ…」
「何食いてー?」
「何でもいいのかよ」
「おー」
「……七色パフェ」
「はァ?」
「賊学近くにある茶店」
「喧嘩売ってんのか」
「"詫び"なんだろ」
「ルイちゃん?」
「あー、お久しぶり…デス。奥いいっすか」
「ドーゾー」
「七色パフェ1つ、と…」
「…コーヒー」
「以上で」
「………っつーかなんでここなんだよ」
「どこでもいいって言ったのヒル魔じゃん」
お前が奢るなんて言うし…下手に場所選べねー
「こんな近場だと思わねーだろ」
「いーだろ、無理矢理ヤッた礼なんだろ?」
「チッ、ンだよ。嫌だったのかよ」
「…違ぇけど…いや…普通嫌だろ」
「ヨかったろ?」
「…………まあ…ヨくなくもねぇっつーか…」
「お待たせしました〜七色パフェルイちゃんスペシャル!」
「…すんません」
ヒル魔はコーヒーを一口飲んでから肘をついてじっと見て来る。
「………………なに」
「…美味いか?」
「うん…」
「ふぅん」
「食う?」
「いらね」
ヒル魔の眉がピク、と動いた数秒後。
「ルっイっちゃーん!いる〜?」
「いるわよーヒル魔君と奥」
「なんだよ、帰れ糞ドレッド」
「うっわひっでールイちゃん何食ってんのパフェ?俺も同じの〜!」
ヒル魔の眉がますます吊り上がった。
「お待たせ〜七色パフェ阿含君スペシャル!」
「サンキュー」
ドン、っとパフェが置かれてヒル魔の顔が歪んだ。
「……ヒル魔も食う…?」
「いらねぇ。コーヒーブラック」
早ぇなー、ヒル魔はもうコーヒーのおかわりを頼んでる。
「……で?てめぇは何の用だよ糞ドレッド」
「用が無かったら会いに来ちゃいけねーのかよ。お前なんか大した用なんかねぇのにいつも呼び出し「うるせぇ」
「…理不尽だよなー。ルイちゃんよくこんなやつに付き合ってやれんね」
「……まー そんな苦でもねーし」
「ルイちゃんやっぱドM?」
「知らねぇ…」
「っつーか折角ルイちゃんと遊ぼうと思って賊学行ったらもう泥門行ったっつーし?泥門行ったらいねーし?そしたらここに入るのが見えたんだけどさ、何。デート?」
「違ぇ」
「えっじゃあなに、っつーかお前甘ぇもん嫌いだったよな?確か。だからずっとコーヒー飲んでんのか?」
「悪ぃか」
「……コイツ中学ンとき「阿含」
「ンだよつまんねぇー。お前ちょっと甘いモン食ったら性格も変わるんじゃね」
「んぐっ!!?」
「ってめ!!」
あーあ…帰りたくなってきたなー