ksxx5

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072



ここ最近ヒル魔は忙しい。そんなことは分かってる。
0時を過ぎて漸く帰ってきたヒル魔。これでも今日は早い方だ。
ヒル魔の目の下には酷い隈があってマトモな睡眠さえ取れてないことが窺える。


「飯どーすんの」


あまりの疲労ぶりにどーすんのかと思って聞けばどうやら食うらしい。半ば無理矢理詰め込んでさっさと風呂に行っちまった。俺と違って烏の行水のヒル魔は風呂が早い。すぐに出て来て洗い晒しの髪を軽く拭くと悪ぃ寝るとだけ言って布団に入っちまった。
そんな生活がここ最近続いている。
洗い物を片付けて風呂に浸かり汗を流す。寂しいなあ。それでも少しでも一緒に居たくて。何年か離れてる時期もあったのにそう思えることが幸せだと感じてしまう。
髪を拭いてからドライヤーで乾かしてベッドルームに行くとヒル魔はすやすやと寝息も立てないで寝ていた。


「…おやすみ」


布団に潜って額に軽く触れる程度のキスをして目を閉じる。


「……………」


暫く目を瞑っていたが一向に眠気が来ない。隣を向けば端正に整った顔。
ヒル魔の朝飯に合わせて5時に起きる為の目覚まし時計は2時前。
ヒル魔を送ってから二度寝して出勤、定時に上がってヒル魔が帰るまで軽い仮眠程度なら取る時間もある俺はあまり眠くない。


「…………なあ、寝てる…?よな」


髪が少し湿ってる。いくら夏でも風邪ひくぞ。ヒル魔の方に体を寄せるとぺったりと素肌が触れ合った。
ヒル魔は服を着るのも面倒だったのか、下着だけだった。俺も最近は暑くてあまり上は着ない。腹が弱いから下だけは履いてるけど。
閉じられた瞼、長い睫、顔色あんま良くねぇ。明日さえ終われば3連休の休み。早く終わって、しっかり食って寝て欲しい。
最近はヒル魔がこんなだからエッチもしてねぇ。
風呂に入れば例えそうじゃなくても念入りに洗うようになったのはヒル魔がいつ仕掛けて来るかわかんねーから。最近はないと思ってるしそんな負担のかけることはさせたくねぇ。でも風呂に入ればつい念入りに洗ってしまうようになったのは癖だと思う。
目が冴えてとても眠れそうにない。あと3時間ないくらい。水でも飲もうとベッドから出てぼーっとしたままグラスにミネラルを注いで喉を潤す。
冷蔵庫に入っている缶ビールが目に入った。アルコールを摂取すれば眠くなるだろ。いっそこのまま起きてようかとも迷ったが手が勝手に伸びていた。
ツマミになりそうなウインナーを適当に取って皿に移す。焼いたりすんのが面倒でそのまま。
リモコンでテレビを付けるとつまんねー深夜の通販番組しかやってなくてどうしようかと思案する。ラックにはNFLや試合のROMがあったけどイマイチそんな気分になれなくてビールを片手で煽りながら映画を探す。
一昔前の洋画の趣味はお互いに似ていてよく見るものは手前にある。これはこないだ見たしなあ。最近見てない奥のものにしようとDVDを見ると、ラベルが付いて無いものが端っこにいくつかあって。
何だろうと思って適当に見て一瞬で後悔した。
ヒル魔のやつ。何だってこんなとこにあんの。もっと隠しとけよ!!お前そんなん得意だろ!!
画面は薄暗く、ベッドの上で絡み合う二人。AVではない、ハメ撮りだ。
俺もさっさと止めればいいのに見ちまう。最近何もねーから欲求不満なのかもな。
ヒル魔がこちらに向かってやらしく笑う、それだけで身体が火照った気がした。最近ヤッてねーから尚更。自慰さえもいつやったか思い出せねー。
火がついた。
少し迷ってハーフパンツを脱いでソファーに腰かけた。自分ですんのも久々で気分が高揚する。
パンツの上からゆるゆると股間を揉むと少し頭を擡げた。
画面の中ではヒル魔がゆっくりと足を撫でている。足の指を舐めて脹脛を揉む、その手が内股に伸びて閉じようとする俺の足を開いた。
見ているこっちが、恥ずかしくなる格好をさせてヒル魔が尻辺りに口付ける。俺は足をバタバタさせて暴れてた。それでもヒル魔は止まらなくて舐め…っ、いやだのやめてだのと俺が喚いてる。あの、自分でも触れないところを余すところなく見られていると思うと羞恥で死ねるくらい恥ずかしい。ヒル魔はそんな俺の様子が好きらしく、いつもやめてくれない。無視して一通り苛める。
そのままの体勢でローションを取り出したヒル魔を酷ぇと思った。たっぷりとローションを垂らして指を突っ込むのが見えた。やらしくニュプニュプと音が聞こえてきそうなくらい指が抜き差しを繰り返す。いつの間にか指が増えていて、ヒル魔が唇を舐めた。それと同時に甘く痺れるような重さが腰を襲った。
俺まだパンツ履いたままだっけと漸く気が付いて染みが滲んでいるそれを脱ぐ。そんなになる程夢中になっていたのかと思うと居たたまれない。
セックスの最中、ヒル魔が唇を舐めるのは興奮しているからだ。俺だけが知ってる秘密。色気がたっぷりのエロいヒル魔につい求めてしまうのを知られたらかなり恥ずかしい。
右手で溢れ出しているカウパーを塗り付けながら暫く扱く。キモチイイ。
画面の俺は我慢出来ないという風に吐息混じりの声を上げてる。"もっと"という単語が聞き取れてしまって死にたい。甘く陶酔しているような、酔った声にヒル魔が笑ってキスを落とした。その顔は慈愛に満ちていてなんとも言えない気分にさせる。自分の腕がヒル魔の首に回った。ヒル魔の耳元に唇を寄せて何か言う。きっといれてとかそんなの。
ヒル魔が下を脱いでカメラを取った。画面は俺だけ映っていて腕で顔を隠してる。いやだいやだと譫言みたいに言ってカメラを遠ざけようとする。それをヒル魔は無視して無理矢理自身を捻込んだ。痛いと言うわけでもなく、俺は少し息を詰めて侵入を許した。結合部がアップで映されてヌラヌラとローションがテカってる。やらしい。ヒル魔がゆっくりと腰を進める。画面に映るそれにぞくりと後ろが疼く。右手はもうどろどろに濡れててイキたいと思った。
たぶん前を扱けば精液が出てイける。でも後ろが疼いてどうしようもない。
画面ではヒル魔がカメラを放ったらしく、ヒル魔の動きに合わせて悦に入った声が聞こえた。恥ずかしい。ヒル魔の背中に縋りついて爪を立てる。聞きたくない。甘く喘いでヒル魔を求める声。俺の声じゃねぇ。
右手に力を込めて上下に扱くとすぐにイッた。はッ、はッ、と浅く呼吸する息が荒い。DVDは止めてテレビごと消す。
ティッシュで拭うと虚しくなって泣きそうになる。あんまりだ。眠気なんかあるはずがない。


「……ふぅ」


息を吐き出して深呼吸をする。まだ、手を付けてない奥の方が焦れったい。今まで一人で触ったことはある。精液の滑りを借りて後ろに手を伸ばす。
あーもうホントよく躾られてんなあ。周りを押しながらゆっくりと指を挿れる。慣れてんのか難無く飲み込んだ。あーあー、俺ホント何してんの。指を増やしてゆっくりと挿れてから抜き差しをする。じくじくと熱がまた集まってきたのが分かった。あーでも全っ然足りねー。さっきのDVDみたいな、ヒル魔のが欲しい。生憎ヒル魔はあっちのドアの向こうでぐっすりだ。
だめだって分かってる。でもヒル魔が欲しい。熱い楔を撃ち込んで欲しい。


「…………ヒル魔…起きろ。なあって」


ゆさゆさと揺らせばうぅん…と寝返りをしても起きる気配はない。それ程までに疲れてるってことだ。普段のヒル魔ならすぐ起きてる。


「ヒル魔、ヒル魔!」


さっきより強めに呼んでみる。それでもヒル魔は眉を潜めただけで眠っている。こんなに深く眠ってるなんて。あのヒル魔が。
諦めの悪い俺はヤッてれば起きるだろうと思ってやや乱暴に下着を脱がせてヒル魔の萎えたペニスに舌を這わせた。唾液をたっぷり出して咥えて舐める。舌と手も使って睾丸を揉みながら口を窄めて舌先で先を弄る。口の周りが唾液でべとべとになる。暫く続けると少しずつ芯を持って勃った。まだ足りない。もっと硬くなって欲しくて一心不乱に追い上げる。
暑い。必死にやればなんとか硬度を持った。ふと目線を上げれば半眼の眠そうな瞳とかち合った。


「……起きた…?」


ヒル魔はまだ半分寝ているみたいだった。


「ヒル魔…起きろー?ヤろうぜ、お願い1回だけ付き合って」


なあってば。ヒル魔はまた目を閉じた。悪ぃ明日なら、なんてらしくない台詞がもごもごと聞こえる。


「…ヒル魔ぁ」


ヒル魔のペニスは挿れられるくらい硬いのに本人の意識はあるのかないのか。ヒル魔なんて寝てていいよもう。勝手にやるし。
口を離してローションをたっぷりと取る。ヒル魔のペニスに塗って、俺の後ろにも。さっきまで弄ってたからいけるくらい柔らかい。指を突っ込んで軽く広げる。ヒル魔の足の上に跨って狙いを定める。ゆっくりと体重をかけていくとぐ、と当たって先っぽが挿入った。孔が広げられた気がする。ゆっくりと飲み込んでいく。下ではヒル魔がもぞもぞして、目が、開いた?普段のヒル魔ならいい眺めなどと宣ってから動けよと命令する。そこまでできてからヒル魔は動く。今は目を瞬かせながら唇だけで俺を呼んだ。


「んだよこれ」


漸く起きたのか意識を持っている喋り方。また少しナカも膨らんだ気がする。


「ん…寝てていーから、ちょっとだけ、付き合って」


腰を全部落として息を吐きながら答える。イイ。これ、だ、奥まで埋まっている感覚がたまんねぇ。息を整えてから上下に動くと気持ちいい。おい俺まだいいっつってねーぞ、とヒル魔が言うけどお構いなしに腰を振る。あー気持ちいい。でも正直ちょっと足りない。ヒル魔に、下から突いて欲しい。イイトコ擦って欲しい。くねるように腰を動かしながらイイトコに当たるように動く。


「ヒル、魔、っ」

「俺お前のバイブにでもなってんの?」


ヒル魔がうっすら笑いながら下から突き上げてきた。


「あっ、っん」


ヒル魔はそこから腹筋だけで起き上がった。起き上がった反動でぐ、と沈み込んでみっちりと咥え込む。


「んっ…」


ヒル魔が漸くヤる気を見せて耳を噛まれた。ちゅーして身体を擦り付ける。ヤッてっていう意味を込めて。
挿入ったままベッドに横たえられて抜かれる。


「ぁ……」


反転させられて後ろからやられるとヤバい、いい。むちゃくちゃに揺さぶられて掻き回されて突かれる。自分で腰を振って動物みたいに求めて快感を追うこの、感じ…久々の陶酔する程の刺激に声が抑えられない。あぁ、すげーこと言ってる。シーツに爪を立てて涎が垂れる。ヒル魔を求めてナカが熱くなる。
何度か往復を繰り返して揺すった後、奥でヒル魔が弾ける。取り残されたくなくて自分で擦って射精した。最後まで出し切って後ろのヒル魔を見ると目がヤバい。引きずるように俺から出て適当に拭うと落ちた。
俺も自分の処理とヒル魔の処理をして、どっときた眠気に大人しく従う。もう殆ど起きる時間だなあと頭の片隅で思って目を閉じた。遅刻したのは言うまでもない。


Fin.
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